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旅行へ、慮行へ

たまにね、遠くに行ってみて
もう帰ってこない、みたいな。
ひとりでいっちゃって、あとはどうにかなるっしょ

高校生くらいのとき、本気でそう思いながら
できずに、ただ夜の遅くまで遊びに出かけて
家族を心配させるだけの自分と
どこか本当に遠くでやっていきたいと思う自分とで
それなりに普通をやり過ごしてきた。

みんな若いときには、一度くらい思うのかな。
このまま自分の旅みたいなもんに出ようって。


大人になりました
ひとりでも、だれとでも
遠くにいくことは、自分の帰る場所に安心があるから
楽しめることなんだなと分かって
旅行が好きでしょうがないんです。

知らない土地に、知らない地図で
あ、この辺からあの辺って、意外と近いんだねとか
あ、これアイツらがよく買ってくるお土産じゃん、とか
そして、あの雑誌、あの番組、あのカレンダーの7月や8月に見た景色

忘れられない旅があります。

800キロも離れた、県外の出先
友達に会いにいく旅行で
勝手にとても早く着いた朝、何の計画もなく、
まだ旅行の経験も少なかった10代のあの日
ひたすら歩いてみた
バスがついたところから、友達と会う場所まで
実はまだ数駅先の、そこまで
適当に標識と看板と、住所を見ながら。

楽しすぎた。
何を得たわけでも、何をしたわけでもないけど
この通り沿いのあの場所に、しらない喫茶店と
古いラーメン屋があってね
信号待ちの間に見る、東京とか、大阪とか、福岡とかとも違う
準都会みたいな郊外の片側二車線道路
地元とも似てるし、何年も見てきたような街だったけど

何が違ったのかな。
自分の足で、来たからかな。

いこうよ、旅に。
この暗いニュースの後で


忙しいときは旅行なんてできないし
いざ時間ができたって、外には出れない今だし
こんな日に、こんな時に、行きもしない旅行の計画を
活きもしない旅の妄想で

そんな楽しみとか、どうですか?

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