いい写真は誰でも撮れる その3 への旅
11月に入ったばかりの週末に羽田に向かっていた。
幡野広志さんのワークショップその3に参加するためだ。
その1もその2も受講してからの3回目。
先月、いちばん最初の「その3」を受講したアダプターがアーリーな方がたからの、「落とし穴!」「シビレた!」という、ちょっと今までにない、刺激的な感想を目にしていた。どんな講座なんだろうか。期待と緊張がほどよくバランスしたまま飛行機に乗った。
前泊で東京に入るスケジュールだったので、空港から横浜を経由して鎌倉まで足を伸ばした。初めて大仏を観て江ノ電に乗り、七里ヶ浜という場所で降りて海を見た。
旅と写真は相性がすごくいい。知らない場所へ行くとシャッターを押す回数も増える。いつもと違う状況でたくさん撮ることで、撮影にもいい意味で慣れていくと思うし、セレクトも現像も数をこなすことで上達すると思う。
これまで2回のワークショップに参加して、その1では無意識に付いていたクセに気づく作業、その2では光の読み方と具体的な撮り方を教わった。そして今回はそれらを受講した人しか受けられないその3。
幡野さんは僕たちを、どんな場所へ導いてくれるのだろう。
海を見てまた江ノ電に乗り、藤沢で小田急線に乗り換えてホテルのある町田に着いた。いい感じの居酒屋をチェックしていたけど、明日に備えて夕飯を買ってホテルで食べ、早めに眠った。
翌日。早朝にチェックアウトして、小田急線で代々木上原を目指した。途中ふた駅ほど手前の下北沢で降りて、ゆっくり歩きながら写真を撮った。一直線に目的地に向かうより、時間の猶予を作って写真を撮るのが楽しい。
開始時間の30分以上前にアンドレシピさんに着いた。1番乗りだ。ほどなく同じ徳島から来たえんどうさんが到着。なんと赤坂から歩いて来たのだという。みんなびっくりしてすごい!と盛り上がった。まけた。おなじ徳島なのにこっちは下北沢。いやなんの勝負だ。
ワークショップが始まった。内容について話すことはしないけど、写真との関わり方を間違えずにすむように、幡野さんがとても丁寧に、心をくだいて作ってくださった講座だった。「落とし穴」の意味もよくわかったし、すごく「シビれた」ワークショップだった。
その熱意に応えるように、いつにも増して参加した人たちが集中していたように思う。いい質問がたくさん出て、写真とずっと付き合っていこうという気持ちが満ちていて、とても心地よかった。
今までもそう思ったけれど、この日はとくに強く感じた。ほんとうに、ここに来てよかった。
写真を深く知ることは、自分と向き合うことにつながっている。
これまでのワークショップを経てきて写真と付き合うようになって、落ち着いて周囲を見る力が養われたように思う。それは、その場所で写真を撮っている自分を客観視することでもある。自意識を適度に遮断して、状況に身を任せる事ができるようになってきたと感じる。
僕は音楽も趣味にしていて、人前で歌うことがある。そんな時にこの力はすごく役に立つ。歌う自分をみんなが見ている状況を、後ろから眺めている感覚だ。ステージングがとても楽になった。知らない街で、たまたま席がとなりになった人に話しかける、みたいなことにもあまり抵抗がなくなった。
これからも、楽しく写真と付き合っていこう。被写体に敬意をはらうこと。撮らせてもらっているという意識を忘れないこと。その上で、たくさん撮ること。写真を好きでいつづけるために。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
あらためて、ワークショップを開いてくださった幡野さん、美味しい料理を作ってくださった小池さん、サポートの辻さん、狩野さんに感謝します。そして今回も参加を勧めてくれた妻と、るすばんをがんばったうちの猫もありがとう。これからも撮らせてね。