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元日に片田舎へ大仏を見に行ったらベトナム人が大集結していた件

せっかく福岡に帰省したので、姉や甥っ子たちとどこかに行こうという話になりました。車で田畑を横目に車で約1時間で、目的地の南蔵院に到着。山に囲まれた、商業施設はおろか民家すらほとんどない田舎です。

そもそもここへ来るきっかけとなったのは、「おっきい寝仏があるところがあって、そこの住職が宝くじ当たったとテレビで見た。行ったらご利益があるかも」という姉の一言でした。

あまり信心深くない僕は同意したものの、「聞いたこともないし、つまらなそう」と心の中では何の期待も持っていませんでした。

駐車場から中を見遣ると、どうやら結構な数の人が来ていることがわかりました。

中に入るために丘陵の小道を登っていると、すれ違いの人々がベトナム語をしゃべっているのを発見。「あ、ベトナム人がいるよ」と僕。また別のベトナム人グループとすれ違ったので「またいたよ」と僕。さらにその後ろからもベトナム人グループが。

「なんでこんなにベトナム人だらけなの?」
頭の中がクエスチョンマークでいっぱいです。

そうするうちに寝仏のある広場へ着きました。全部でざっと200人以上はいたでしょうか。ここでもあちらこちらに20代と思しきベトナム人の男女グループが楽しそうに写真を撮りあっています。ベトナム人の割合は3分の2ほどでしょうか。南アジア出身者っぽい人もちらほら。ここでは、物静かでお年寄り中心の日本人は完全にマイノリティです。

いてもたってもいられなくなったので、お寺の方に聞いてみると、「去年にはもう大勢(外国人が)来るようになりましたよ。どこの国の方か判りませんが。電車で来ていらっしゃいます」との返答が。

姉は甥っ子たちはお金を払って寝仏の中に行くとのことでしたが、自分はむしろなぜベトナム人が大挙して来ているのかという謎のほうに興味があったので、引き続き外にいてベトナム人にアプローチすることに。

最初に話を聞いた男性は、たどたどしい日本語で、自身が福岡市に隣接する古賀市に住んでいて、今日初めて来たと教えてくれました。

もう一人話を聞かせてくれたフイさんという男性は、福岡市中心部の天神から来ていました。正月に開運を願うのはベトナムの風習であり、正月神社へ行く日本人が多い中、彼らはここを選んだとのこと。

「福岡中からベトナム人がここに来てるよ」とも。

神道を信じているわけではないベトナム人にとって、コロナ禍でも感染対策をあまり気にせず気楽に来れるのがここということなのでしょう。

近くに篠栗線の城戸南蔵院駅があるので、博多駅からは快速でわずか20分という好立地です。

△ 城戸南蔵院前駅で長蛇の列を作るベトナムの人々

なぜこれほど寝仏がベトナム人の心を惹きつけるのか? ベトナムで仏教は主要な宗教ですし、近隣国タイの寝仏は観光地として有名ですよね。そういうこともあり、「わかりやすい」んだと思います。

もちろん、単に「インスタ映えするから」という要素もあるでしょう。

あと、この南蔵院は広い敷地の中に不動明王像や稲荷や巨大招き猫までありとあらゆる見どころがあるので、大仏以外の部分を含めた魅力が口コミで広まっているのではないかと想像します。歩き回ってみて、「仏様のテーマパーク」という言葉が浮かんできました。

在日ベトナム人の数が急増しているということは頭の中ではわかっていたのですが、意外な場所で彼ら彼女らのグループに遭遇して驚きました。仏教国からの移住者がこれから増えてくると、日本のお寺事情も随分変わってくるのではないでしょうか。

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