見出し画像

私はまた、泣けるだろうか。私はまだ、泣けるだろうか。

プレイステーションが2019年12月3日、発売25周年を迎えるということで、プレステと私。を勝手に振り返ってみようと思う。

6歳上の兄がいたおかげで我が家にゲーム機がやってくるのは早かった。兄当時11歳、私当時5歳の時に買ってもらったファミリーコンピュータで、二人でドット絵のマリオブラザーズのプレイに夢中になったことを今でも覚えている。それからしばらくゲームから遠ざかっていたが、PSが新発売された時久しぶりに両親に買ってもらった。それからPS2、PS3、PS4と買い続け、今もプレイヤーだ。

受験勉強の合間にこっそりプレイした「がんばれゴエモン」、自分のリズム感の無さを思い知った「パラッパラッパー」、イライラとストレスをサルの捕獲で発散した「サルゲッチュ」、初めてマルチプレイした「モンスターハンター」このモンハンはマルチプレイした時に、モンスターを狩るのが下手過ぎてカラーボール係(先にマップに出てモンスターを見つけ、カラーボールを投げて他プレイヤーに居場所を知らせる係)にしかなれなった思い出がある。これでもカラーボール係としてはかなり優秀だったんですよ。そんなわけでPSには思い出がたくさんある。

その中で、一番思い入れがあるのが「ファイナルファンタジーX」。発売は2001年。ちょうど私が新社会人になった年で、向いていないのになぜか金融機関に就職して、今もそこで働いていらっしゃる新人いびりで有名な先輩が教育係になってしまい、毎日苛め抜かれていた時だ。早く家に帰りたい。それだけしか考えていなかった。月曜日が来るのが嫌すぎて、今でも何となく月曜日が嫌いだ。当時、休みの日にふと立ち寄ったゲーム屋さんにあったFFX。「世界一ピュアなキス」のキャッチコピーを見て、大好きだったFFⅧと同じ感じかな、と思い購入。それから主人公たちとの旅が始まった。

控えめに言って、相当やりこんだ。オートセーブ機能がなくてセーブポイントまで行かないとセーブできなかったから、ポイントにたどり着けないときは電源を入れっぱなしにして会社に行った。また、攻略ウィキも充実していなかったからスフィア盤の順番で失敗してやり直し、リュックが生成する薬のかけ合わせを必死で調べて試し、ユウナとアーロンに憧れ、ユウナがシーモアと結婚させられそうになる場面のムービーを見て本気で泣いた。何より、1人だった主人公が仲間に出会い、思いを同じくしてそれぞれの人生を模索していく姿に共感しまくった。私の人生はこれでよかったのか、これからもこれでいいのかとよくプレイしながら考えた。ものすごく神妙な面持ちでプレイする姿を見た友人からは、「悩んでるんだろうなと思ってやりすぎ注意とか言えなかった」と言われた。あの時、間違いなく私は彼らと一緒に旅をしていた。怒って泣いて悩んで苦しんで、そして決断して前へ進む彼らに勇気づけられた。仮想空間の彼らに力を借りて、現実で新人いびりの先輩に対抗するには仕事を覚えるしかないと思って勉強した。そうして先輩の仕事をとって、ようやく平和が訪れた。だが、仕事はやめよう。もうちょっとちゃんと考えて仕事を選ぼう。そう思ってプレイし続けた。結局ド下手すぎてエンディングテロップを見たのはプレイから1年後。それと同時に仕事を辞めて、しっかり自分と向き合ってから新しい仕事に就いた。

それから今まで本当に色んな事があった。まさかこんな場所に立っているとは予想だにしなかったけれど、この場所はしっかり考えた結果の場所。後悔はないし、大袈裟かもしれないけど、あの時のあの決断をするに至ったFFXがなかったら今の自分もいなかったと思う。そのくらい私にとっては大切なゲームだ。この記事を書きながら、久しぶりにFFXを調べてみたら、随分前にリマスター版が出ているではないか。キャッチコピーは、

僕はまた、泣けるだろうか。僕はまだ、泣けるだろうか

年末に買おう。多分、きっと、絶対泣く。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?