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Tシャツがダメになって、大ゲンカ。


(Tシャツのおはなし。その34)
Tシャツがダメになって、大ゲンカ。

お気に入りのミュージシャンのTシャツが
ほしい。そんなときは、いまなら、
ネットをちょちょいと
検索すれば、かんたんに手に入ります。

でも、昔は違いました。
ロックTシャツのショップなんて、
ほとんどなかった。私の住んでる大阪なんて
おそらく一店もなかったんじゃないかな。

楽器店やレコード店、雑貨屋で
たまに見かけることがありましたが、
売っているのは、超メジャーな
ミュージシャンのものばかりでした。

手に入れる方法は、たったひとつ。
お気に入りのミュージシャンの
ライブに行くこと。そうです。
会場で販売されているツアーTシャツを
買うという方法です。

でも、そこにはサイズという壁が。

海外のミュージシャンのツアーTシャツ。
いまは、4サイズぐらい売られていますが、
昔は、フリーサイズか海外のM・Lサイズ
ばかり。小柄な私が着ると、Tシャツが
歩いているようなスタイリングになる。
そういうわけで、なかなかお気に入りの
ミュージシャンのTシャツを手にすることが
できなかったんです。

で、ある年に、念願のTシャツを
手に入れました。ジャクソンブラウンの
Tシャツです。正直、ものすごく気に入った
というわけではなかったんですが、
サイズがピッタリ。次の来日がいつになるのかもわからないので、すごく大切に
着ていました。

当時は、独身で親と同居。
洗濯は母親がやってくれていました。
Tシャツの洗濯について、それまでなにか
言ったことはなかったんですが、
そのTシャツに関しては
「とにかく大切な一枚だから気をつけてくれ」
と頼んでおきました。

もう展開がみえると思いますが……。

ある日のこと、
真っ白だったTシャツが、

ガーン!!!

ところどころブルーに染められて
いるではありませんか。

色落ちする服と一緒に洗ってしまった、
という、あるある洗濯トラブルですね。

あれを見たときは、ほんと
ショックでした。いまでも覚えてる
ぐらいですから。

なんでやねん、なんでやねん、なんでやねん、
と連呼していると、
出ました、親の常套句。
「文句言うんやったら、自分で洗い!」

まあ、その通りなんですが、
そのときは、その言葉に、
さらに頭にきて、大ゲンカ。
母親とは
その後、何日も…
いや、何ヶ月もかな?
口をきかなかったと思います。
一枚のTシャツがそれだけ大切だった
ということですね。

今の時代なら、「しょうがないなあ、
また買うからいいよ」で
すむかもしれませんね。

いろんなTシャツが気軽に買える時代に
なって、うれしいんですが、
その一枚一枚を大切に思う気持ちは、
失ってしまったかな。










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