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「イケてる」をサンプリングするプロダクト文化

この記事はQiitaで開催中のWano Group Advent Calendar2021の22日目の記事です。

はじめに

こんにちは、TuneCore JapanでUI/UXデザインを担当しているタキザワ | Masaya Takizawa @mntdsgnです。2021年5月から、TuneCore Japanの開発チームに加わりました。久しぶりのインハウスデザイナーで、かなりプロダクトにコミットできる立ち位置なのかなと思っています。

山路を登りながら、こう考えています。この世の中の業務システムや管理画面は、複雑なタスクや機能が追加・増殖されて行ったり、ユーザービリティへの考慮の抜けにより、どうしても、複雑で、使いにくく、わかりにくくなりがちです。エンドユーザーやよくあるUIに寄り添っているかと言われるとそうでは無いものが生まれてしまいがちな社会です。そんな管理画面を、もっとイケてる感じにするために、1プレイヤーとして頑張るだけでなく、少しでも周りに良い影響を与えられないかと日々考えています。

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管理画面あるある

ヒップホップとサンプリング

趣味の話をします。僕は、音楽が好きで、特に、イケてるビートをサンプリングし、自分なりに解釈し、新しい物語を作っていく、ヒップホップの文化が好きです。過去への最大のリスペクトを感じます。

サンプリングは、自分をプロダクトのナラティブ(物語)の中に存在させ、さらにその物語を続けていくことなのです。
先駆者が成功した方法を真似ることによって、早い段階で結果を出すことが出来ます。そして、徐々にそこから自分オリジナルを混ぜていく。

Mark Ronson

プロダクトデザインとサンプリング

イケてるプロダクトを作るためには、チームの「イケてる」の美意識を揃えて、「イケてる」を具体的に言語化することが、地味に効くのでは?という仮説を持って日々を送っています。
デジタルプロダクト開発において、プレイヤーとして活動することに合わせて、世の中のイケてるプロダクトをサンプリングする文化を、もっと醸成していくことが大事だと思います。

サンプリング文化を醸成する

どちらかと言うとSales Drivenな会社で、デザイン(適切な問題発見と問題解決のプロセス)に、よりフォーカスしたプロダクト開発を行うためには、ボトムアップで、泥臭く、カルチャー作りに貢献するような活動をしていく必要があると思っています。その中で、チャンネル「#イケてる」を始めたことが、結構、プロダクト品質やプロダクトカルチャーに貢献していると思うので、ここに書きます。
今のチームは、デザインラダーの図を採用すると、まだまだ「ステージ2」って感じもしますが、どしどしデザイン文化を作り、問題発見と問題解決のプロセスをアップデートしていきたいと思っています。

「#イケてるチャンネル」はかなり良い

そんな中で、ふと「#イケてる」というチャンネルを開設しました。「#イケてるチャンネル」は、世の中のイケてるものをただ共有するチャンネルです。最初は、スモールスタートで、盛り上げてくれそうな3, 4人を、CS、Devチームから募りました。今は、30人近く参加しています。以下のような会話が起こり、チームが活性化し、プロダクト美意識が爆上がりしているのを感じます。かなり良いです。

- UXライティングを意識するための「イケてるサンプリング」
UXライティングというジャンルの影響を受けます。CS, Devチームとの会話っでも「ライティング」というワードがよく出るようになり、「ライティングで、解決できるんじゃないか?」的な会話が増えました。UXライティングにおけるベストプラクティスをサンプリングする力が上がります。「Slackみたいな書き方すな〜!」っていうのと「これ、Thundercatのベースかと思ったわ!」は、同じ感覚だと思います。

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イケてる成功メッセージ
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イケてる許可モーダル

- 情報設計、オブジェクト指向UIを意識するための「イケてるサンプリング」
どうしても、管理画面は、タスクの寄せ集めで、タスク指向になってしまい、ごちゃごちゃしてしまいがちです。オブジェクトを洗い出し、シンプルなUIを実現する議論を、Devチームと始めています。そんなきっかけの一つとして、SoundcloudやSpotifyの情報設計をサンプリングする文化ができてきています。

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SoundCloudの情報アーキテクチャ

改善のリリースはまだですが、どしどし、使いやすくして行きたいです。OOUIとDDDを学んで導入し、10歳プロダクトを整理していきます。

- UIのバイブスを感じる「イケてるサンプリング」
日々、プロダクトを使う中で、「イケてる」を意識し、言語化する文化が生まれます。これが、結構大事な気がしてます。こういったものを、サンプリングしていきたいです。

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SlackのUIのバイブスを感じる
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checkboxの依存関係のバイブスを感じる

- Adobe XDからFigmaに移行した「イケてるスタイル」
Figmaの普及もここで。デザインを、問題発見・問題解決の秘訣と捉えると、デザイナーを一人増やすより、チームのメンバーのプロトタイピング、仮説検証スキルを上げた方が早い説に基づいて、Figmaを布教。Demo Tapeは、皆んなが作れた方が良いじゃん?って感じです。プロトタイピングの能力を、うちに秘めた特殊能力として、マウントを取ることもできるが、できるだけ知識は共有して、焦っていきたい、これが俺のスタイル。

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Figmaというツールを感じる

- Notionの活用レベルが上がってるの「イケてる文化」
Notionの悩みも共有されます。Notionのリレーショナルデータベース活用が進みます。例えば、Meeting Notesは、全社で完全に一つのDBで運用しています。SP-404のようなツールを使うのがイケてる!そんな感覚です。

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Notionで遊ぶ

- イケてる勉強会「イケてるアワー」も開催
テーマを民主的に決める勉強会を毎月開催し、15名以上の方に、お話しいただきました。データ分析から、UI/UX、音楽系の話までなんでも楽しく発表する会です。

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勉強会の開催

ちなみに、以下の記事を、サンプリングしました。
「発表するトピックを投票制で決める」というDAO的な仕組み(民主的なやり方)を、今も回せています!感謝!

最後に

そもそも、基本的な道具を作るという行為において、基本的には、既に存在する道具をサンプリングするのが良いと思います。ヤコブ・ニールセンも言うように。

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SNSのUIはよく似ている

前職(SoftBankのB2Bシステム)でもそうでしたが、意外と、その辺が、日本という社会において、認知されていないような感覚を持ちます。タスクや要件を詰め込みすぎて、複雑で、オリジナリティの高い管理画面はかなり多いです。美しくサンプリングしていくことの重要性を痛感します。

サンプリング文化は、良いプロダクト文化を作っていくと思います。
デジタルプロダクト開発におけるJ DillaやMark Ronsonのようなスタンスで、勉強を続けて行き、このパーティーやカルチャーを盛り上げます。

めちゃくちゃ普通のことを書いてしまった気もしますが、これからもよろしくお願いします。


会社について
TuneCore Japanは、誰かの音楽を、誰かに届けるためのサポートをしている会社です。アーティストが、それぞれの方法で、もっとマネタイズできる社会を作ることが、僕たちの目標です。そのために、ディストリビューション事業だけでなく、その他多くのアーティストをサポートする機能や企画も行っています。最高に素敵なビジョンを持つ会社です。このプロダクトを前に進めることで、たくさんのアーティストに喜ばれ、たくさんのリスナーを幸せにできる。そんな未来をつくりたいです。

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