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スターター管理のTips

スターターを起こす方法はいたって簡単。粉に水を混ぜ日に数回攪拌して適温に置く。たったこれだけの手順だが、単純な作業だからこそちょっとしたことが気になったりするものだ。そこで、家庭製パンのスターター起こしやリフレッシュのときに気になるちょっとしたTipsをいくつか集めてみた。これって気になるけどどうしたらいいのかな、のヒントになればとてもうれしい。

▪️容器について

①ガラス製

経験則だがプラスチック製の容器を使ってスターターを保存するとなぜだか時間が経つにつれて酵母の元気がなくなっていく。理由はよくわからないが確実に弱っていく。以前、大きさと使い勝手がよかったのでジップロックのスクリューコンテナでスターターを保管していたことがあるが、日に日に弱ってしまいガラス瓶に移し替えてリフレッシュしたところ見事に蘇った。
<Tips>スターターはガラス製の容器で育てよう

②ボウルかビンか

スターターを起こす時の最初の2、3回をステンレスやガラスのボウルで行うレシピを見かける。たしかにスターター起こしには新鮮な空気が必須なので理にかなってはいるのだが、家庭製パンレベルの場合は、ボウルではなくビン、つまり口径のあまり広くないものを使うことをおすすめする。理由は2つ。ひとつめ。パン屋レベルの量を毎日焼くのであれば、スターターも大量に必要になってくるのでボウルを使って多めに仕込む必要があるが、家庭製パンの場合、大量のスターターは必要なく、むしろほどほどの大きさのビンで仕込むことにより量を増やしすぎないほうが管理が楽だ。ふたつめ。家庭のキッチンには雑菌もたくさん棲んでいる。特に高温多湿になりがちなニッポンの台所。ボウルよりもほどほどの大きさの口径の蓋つきのビンをつかうほうが衛生的だ。
<Tips>スターターは蓋つきのガラス製のビンで育てよう

③口径

では「ほどほどの大きさ」とはどのくらいなのか。雑菌はとりこみたくないからジュースジャーや麦茶入れがいいかな。うむうむ、わかる。レーズン酵母や果物で起こす液種は、後々注ぎやすいように細長いガラス瓶で起こしたりするものだ。だが、粉から起こすサワードゥのスターターの場合は細すぎ&長すぎるビンはNGだ。リフレッシュの時に粉と水を入れた後、ビンの底のほうからしっかりとかき混ぜて新鮮な空気を送り込む必要があるからだ。さらに、できれば手、細かく言えば第三関節くらいまでをビンの中まで突っ込めるくらいの口径の瓶だとリフレッシュしやすい。元気な酵母にはそれなりに粘り気というかチカラがあるので、指先しかはいらないような瓶だと、スプーンの持ち手の先っちょを持って混ぜなければならずうまく攪拌することができない。
<Tips>スターターは口径が7cmくらい〜の蓋つきのガラス製のビンで育てよう

④高さ

口径と同じくビンの高さにも気をつけよう。リフレッシュの時に底からしっかりかき混ぜるには、あまり高さのない、けれども、スターターが3倍くらいまで発酵したときにあふれない、絶妙な高さが必要になる。よって、ビンの高さえらびは起こすスターターの量による。ざっくりした目安だが、起こすスターターの量とビンの容量が1:3くらいがよいと感じている。つまり、リフレッシュ前のスターターがビンの高さの1/3程度になるようにちょうどよい高さのビンを選ぶか、もしくは、ビンの高さの1/3程度になるように粉と水の量を調節する、ということだ。繰り返しになるが、家庭製パンの場合は、スターターを増やしすぎないほうが管理しやすいので、ビンの容量の目安としては500ml〜1Lを超えないくらいのものがよい。
<Tips>スターターは高さが13cm程度 容量500mlくらいの蓋つきのガラス製のビンで育てよう


▪️管理について

⑤蓋をしめるかしめないか

さて無事にビンを選べたら次に気になるのが蓋だ。こちらは答え明快。スターターを保管するときはきちんとしめる。リフレッシュするとき、起こすときなど積極的に発酵させるときは軽くのせるだけにしておく。リフレッシュ時の目的は、酵母にエサと新鮮な空気あたえてパワーアップさせること。蓋を「きちんと閉めない」のは大切なポイントだ。
<Tips>スターターをリフレッシュするときビンの蓋はきちんとしめずにのせておくだけにしよう

⑥ビンを洗うか洗わないか

リフレッシュのたびに新しいビンに変えるべきかどうか。衛生面からつい都度交換したくなるがここはさほど気にしなくて大丈夫。糠床と同じく、蓋を閉めて冷蔵庫で保管しているビンの中は乳酸菌発酵により酸性にかたむいているので、カビが発生しにくい状態といえる。それでも何度もリフレッシュを繰り返していると、ビンの口のほうにひっついたスターターがかぴかぴになってくる。気になるようであればこのタイミングでビンを交換してもよい。もしくは、湿らせだガーゼやキッチンペーパーでカピカピなところに湿り気をあたえて、グッと拭き取るだけでもよい。このとき間違ってもアルコールスプレーなどを使ったりしないように。
<Tips>スターターをリフレッシュするときビンは交換しなくてもよい

⑦室温か冷蔵庫か

数年間リフレッシュし続けているスターターには愛着もわき、つい見えるところに置いておきたくなる。だが、家庭製パンで使うスターターは、リフレッシュする時以外は冷蔵庫の奥の方で静かにそっと保管しておこう。温度を下げることにより酵母を半ば冬眠状態に仕向けて保管しておくことは、長く使い続けるためのとても大切なポイントだ。室温のように、酵母にとって快適な環境に置いておくと、酵母はどんどんエサを食べてどんどん活動してそしてどんどん弱ってしまう。
<Tips>スターターは冷蔵庫で保管しよう

⑧混ぜるモノ問題

リフレッシュする時には、粉と水を足したあとビンの底の方からしっかりと混ぜる必要がある。このとき深さのあるスプーンを使うと粉が絡んで混ぜにくい。かといって、菜箸で混ぜるのも衛生的によくない。細めのゴムベラが使いやすいが、ニッポンのサワードゥにおすすめなのは中華料理の道具店で購入できるステンレス製の「餡ベラ」だ。もともと点心の餡を包むときに使うものだが、長さが酵母用のビンにちょうどよいし、しなり具合も使いやすくゴムベラよりも生地離れがいい。ステンレス製なので熱湯消毒もできて衛生的なのもいい。ちなみにもちろん餃子を作るときにも大活躍してくれる。
<Tips>スターターをリフレッシュするときは中華料理の餡ベラがおすすめ

▪️おすすめの道具

①どこの100均でも見かける高さ13cmくらいのガラス瓶
コスパ最高
蓋もビンも熱湯消毒OK

②メイソンジャー16oz
なにより見た目がいい
スタイリッシュ
底から口までまっすぐに立ち上がっている「ワイドマウス」タイプが発酵具合が確認しやすい
蓋の形状も酵母の管理にピッタリ

③750gのBONNE MAMANのジャムの空き瓶
完全にジャケ買い
赤いチェックの蓋にテンションがあがる
ジャムもとてもおいしい

④アンベラ
横浜中華街の名店「照宝」のものがおすすめ
男前で使いやすい

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