見出し画像

育ってきた環境が違うから正義が変わるのはイナメナイ

今週はゆったりした土曜日の夜を迎えることができたので、久々に映画を観ることに。観たのは「ブラッドダイヤモンド」。

今回の視聴で3回目になるが、いろいろと人生経験を踏んだからなのか分からないが、今までとは違った味わいを楽しめた。

まずは簡単に作品の紹介から

ブラッド・ダイヤモンドは、2006年公開のアメリカ映画。監督は「ラストサムライ」や「恋に落ちたシェイクスピア」を手掛けたエドワード・ズヴィック氏。

主演はレオナルド・ディカプリオで、これまたぼくの好きな映画「グラディエーター」でも活躍したジャイモン・フンスーも出演。彼が重要な役割を担う。

ストーリーはこんな内容。

1991年から2002年まで内戦が続いた西アフリカのシエラレオネを舞台に描かれたアクション&ポリティカルサスペンス映画。
シエラレオネ政府軍と反政府勢力である革命統一戦線(RUF)との交戦が、ダイヤモンド鉱山の支配権をめぐる大規模な内戦に発展し、10年以上も内戦が続いたシエラレオネ内戦。この内戦をもとに書かれたたストーリー。ちなみに死者数は多くの市民が犠牲になり、その数は7万5,000人以上にのぼる。
この大規模な内戦で荒廃した国で、ダイヤモンドの密輸業者(ディカプリオ)が地元の漁師(ジャイモン・フンスー)に、彼が発見した巨大な宝石と引き換えに、内戦が原因でバラバラになった家族との再会を持ちかけることで物語が動いていく。

面白かったところ

まず面白かったのは、アクションシーン。銃撃戦やジャングルを駆けるシーンは激しく、エンターテイメントとして優れていた。

内戦中の話とあって戦闘シーンやグロテスクなシーンが多い分、迫力もある。序盤にRUFと政府軍が交戦するのだが、舞台が街中ということもあり多くの市民も巻き込んだ撃ち合いとなる。もちろんディカプリオも巻き込まれるわけなのだが、フンスーとともに逃げるシーンは見応えがある。

暴力的なシーンが多い一方、この映画では「家族愛」も深く掘り下げられていた。

いつも温厚で冷静なフンスーが家族のこととなると激しく感情的になるシーンが頻繁に描かれている。子供もいないしましてや結婚さえしていないのだが、それでも胸に刺さるものがあった。最後まで息子を信じ続ける姿に心動かされた人も多いはず。

その他にも、真実を突き止めて紛争を止めようとする本来のジャーナリズムのあり方を垣間見れたり、武器の購入や内戦の資金調達としてダイヤを不正に取引する政治やビジネスの裏側を知ることができたりと、さまざまな角度から楽しめる映画になっている。

そんなわけで2時間半以上ある映画であるが、退屈する箇所がまったくなかった。

正義と悪

「正義とは何か」というものも改めて考えさせることにもなった。

この映画では革命統一戦線(RUF)が子供を拉致してRUFの傭兵に育て上げる様子を、たっぷり時間をかけて描いている。

子供を傭兵にすることは実際のシエラレオネの内戦でも起こっていたようだし、別の紛争でもよく起こっていることだと聞く。最近ではIS(イスラム国)がRUFと同じように子供を洗脳して傭兵として育て上げていることが広く知られている。

わずか10歳ほどのこどもたちが、自分の身体と同じほどの大きさの重火器で人の命を奪うシーンは映画とは分かっていても心が痛かった。

10歳の男の子が、10年間その組織で傭兵として洗脳され働き続けるとどうなるだろうか。たぶん彼らが毎日やってきた行為が生活の一部になるだろう。そうすると、それの行為が彼らにとっての「正義」となるのではないだろうか。

自分たちの声を届かせるために争い、自分たちが想う自由のために、ときに人の命を奪う。たしかに人の命を奪う行為は「悪」である。今の時代だとマジョリティはそう考えるはず。

でもそれを行う彼ら自体が「悪」と言い切れるのだろうか?

ベンジャミンを通して伝えたかったこと

RUFに洗脳されたこどもたちを更生するために尽力するベンジャミンという男性が物語の途中で登場する。彼はディカプリオにこんなことを尋ねる。

ベンジャミン「Would you say that people are mostly good?」
ディカプリオ「No. I'd say they're just people.」
ベンジャミン「Exactly. It is what they do that makes them good or bad. A moment of love, even in a bad man, can give meaning to a life. None of us knows which path will lead us to God.」

要は、「人はただの人間である(だからいいも悪いもない)」というのが彼らの共通見解。

良い・悪いが決まるのは彼らの振る舞いであり、彼ら自身ではない。残酷な行為をする人間でさえも慈愛の心を持ち得ていると、ベンジャミンは語る。

ここからは自分の見解であるが、ではなぜ殺戮を行う人がいる一方で、マザーテレサのような心優しい行いをする人がいるのか?

やはり育った環境が大事なんだと思う。生きている環境が心を左右する。もし自分がRUFに攫われて、教育(洗脳)されてしまったら、今と同じような心を持っている自信はない。

今の自分があるのは、生きること自体に苦労せず、家族から無償の愛を受けて育ったからだと思う。(別に自分がマザーテレサであると言っているわけではないです)

だから、そういった環境、具体的には、争いをしないことには生きていけない環境、兵隊を増やすために子供を洗脳しなければならない環境を、この世界からできるだけ減らす必要があるのだ。

そんなことをベンジャミンとの会話を通して、この映画は伝えたかったのんじゃないのかなと思う。

じゃあ紛争をなくすためにはどうするべきか、貧困を減らすためにはどうすればいいのか。それらの解までは描かれてはなかったけども。

さいごに

ごちゃごちゃとややこしいことをタラタラと書きましたが、ブラッドダイヤモンドはアクションあり、涙あり、深いテーマありと内容も面白い上、役者の演技も上手いし、撮影している舞台も興味深い場所なので、本当に観ていて飽きない映画です。

冒頭で書いたように、今まで観たときにはあまり考えなかったことを、今回はかなり深く考えさせられることになりました。噛めば噛むほど惹きつけられる映画なのかなと思います。

折をみてまたこの映画を観返したいし、今度はどんなことに心を打たれるのかが楽しみです。

と、なんとなくまとまりがない投稿になってしまいましたが、映画を観るのは好きですし、学べることも多いので、またボチボチ投稿したいと思ってます。

まぁ、もう少し映画の感想の書き方をうまくなりたいなぁ、なんて思いますが。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?