iti - vol.2|Small is Beautiful. ぼくらが日本に届けたい新たな価値観
【Small is Beautiful -より小さく よりスローに-】
このメッセージを届け始めてから約4年の月日が経った。最初は1人で細々と始めたニュージーランド写真展『Small is Beautiful』。今ではこの想いに共感してくれる人が少しずつ増えてきて、1人から2人。2人から3人。少しずつだけど、その想いが広がってきたことを肌で感じる今日この頃。
そして自分の中で新たな挑戦として、盟友のオア明奈さんと共にスタートした『iti』。起ち上げから今日でちょうど2週間が経ったところなんだけど、Instagramのフォロワーが1000人を超えました!フォローしてくれた皆さん、本当にありがとうございます!
『iti』のインスタグラムページはこちら
『iti』はニュージーランドの「エリア」ではなく、「暮らし」をガイドしていくライフスタイルメディア&ブランド。ニュージーランドのスローな暮らし/先進的な考え方/穏やかな人間性/人にも地球に優しいアイテムなどを発信しているので、ブランドコンセプトに共感してくれた方はぜひフォローしてみてね。
そして前回は『iti』の誕生秘話(明奈さんとの出会いやメディアを起ち上げた理由など)について書かせてもらったんだけど、今日は『iti』のブランドコンセプトである ”Small is Beautiful” に込めた思いについて詳しく書いていきたいと思う。
今日の話は少し長くなるけど、今の生き方や働き方、暮らしに違和感を感じている人にとって『Small is Beautiful』という価値観にはたくさんのヒントが詰まっていると思うので、ぜひ最後まで読んでみてね。
※前回の記事はこちら↓↓↓
1. ぼくがニュージーランドに行くまでの物語
ぼくが初めてニュージーランドを訪れたのは2013年9月。今でこそ「ニュージーランド写真家」として活動しているぼくだけど、それまでの4年間は至って普通のサラリーマンとして働いていた。
両親からは幼い頃から「いい大学に行きなさい。大手企業に勤めなさい」と口酸っぱく言われ、むしろそれが ”当然” とでさえ思っていた。中学・高校とそれなりに勉強をがんばったし、それなりの大学に入学。就職も順調に決まり、実に無難な人生を歩んできた。
でも、社会に出てからは挫折の連続だった。
“超” 縦社会の会社に就職したぼくは、帰宅は毎晩12時を過ぎ、休日出勤も当たり前。休みを要求しようものならば「今の若者は…」「これだからゆとり世代は…」と散々バカにされた。
小心者だったぼくは、次第に「何も言わない方が身のため」だと思うようになり、先輩や上司の意見にただ従うようになっていった。そしていつの間にかまるで ”感情のないロボット” のように生きていた。
「社会で生きるとはこんなにも辛く、苦しいものなのか…」
そんなため息ばかり、愚痴ばかりの社会人生活を続けて4年が経った頃、人生を大きく左右する出来事が起こった。
当時 システムエンジニアとして働いていたぼくは、原因不明の腰痛に襲われ、歩くことすらできなくなってしまった。どこの病院に行っても、言われるのは原因不明の一言。治療法さえわからないまま月日だけが過ぎていった。
当時25歳。人生でやりたいことはたくさんあるのに、何1つやっていなかった。
その時にやっと気付いた。こんな人生を望んでいたんじゃないって。周りの人たちを満足させるために生まれてきたんじゃないって。
いい大学に行き、いい会社に入り、安定やたくさんのお金を手に入れたところで、自分が本当に望んでいたものは手に入らない。
どんなすごい肩書きがあろうと、どんなすごい会社に勤めていようと「本当の自分」を隠しながら生きて、行き着くところには何があるんだろうか?「周りの目」を気にしながら生きた人生の、その先にあるものって何だろうか?
ぼくはこの出来事をキッカケに、一大決心をした。
「身体が治ったら、やりたいことをやる」
2. 世界一周の旅へ
この状況の中、ぼくが昔からずっとやりたいと思っていたこと。それは世界一周。
20歳の時に父親から一眼レフカメラを買ってもらったのをキッカケに ぼくは写真にハマり、いつしか世界中の景色を写真に収めたいと思うようになっていた。
ぼくはその夢を叶えるために病院を渡り歩き、知人が紹介してくれた治療院で、ついに原因が判明。 半年に渡る治療とリハビリの末、ようやく普通の生活ができるまでに回復した。
この経験は本当に辛いものだったが、かけがえがないほどの『気付き』と『学び』を与えてくれた。
すべての人に当てはまることだけど、人生いつ 何が起こるかわからない。
ぼくはこの出来事をキッカケに「いつかやりたい」を自分の中で一切やめることにした。家族や親戚の猛反対に合ったものの、退社を決意。世界一周の夢を叶えるために、ぼくは準備を着々と進めた。
当時 英語をほとんど話せなかったぼくは英語が学べる国、そしてリハビリを通して趣味となったトレッキングを思いっきり楽しめる国の2つを軸に、1ヶ国目を探した。
そしてその候補の1つとして挙がったのがニュージーランドだった。
“Great Walks“というロングトレイルに、「世界一美しい散歩道」と称されるミルフォード・トラック。満点の星空に、ファーマーズ・マーケットなど、調べれば調べるほど、どんどんニュージーランドに惹かれていった。
そして2013年9月、ニュージーランドに初渡航。まずは3ヶ月間英語を学び、1~2ヶ月ほどニュージーランドを旅したら、他の国へ渡る。渡航前はそんなプランで考えていた。
3. 「本当の豊かさ」とは?
同じ島国で、同じように四季があるなど、共通点がたくさんある日本とニュージーランド。一方で 日本の人口は約1億2000万人に対し、ニュージーランドの人口はわずか480万人と圧倒的に少なく、手付かずの大自然が数多く残り、時間がゆっくりと流れていく。
毎日 夜遅くまで仕事をして、常に忙しさに追われていたぼくにとって、この「ゆっくりとスローに流れる時間」は何よりも贅沢だった。そして、いつしかぼくは、今までに経験したことのない「心の安らぎ」をこの国で感じていた。
そんな暮らしをしているうちに、ぼくはこんなことを考えるようになった。
「本当の豊かさ」とは?
いい大学に行き、安定した会社に勤める。そうすれば安心だから…
そういう教育の下で育ってきたぼくは、何が成功で、何が本当の豊かさなのか。ニュージーランドという国で、すべてがひっくり返されてしまった。それは「混乱」に近いものだった。
なぜなら 今まで自分が信じて努力してきたことが、ある意味 すべて否定されてしまったかのような感覚になったから。
なぜ彼らはこんなにも「豊か」なのか。
なぜ彼らはこんなにも「幸せ」そうなのか。
それを知るために、そして届けるために、 ぼくはこの「ニュージーランド」という国に呼ばれたのかもしれない。そう感じざるを得ないほど、ぼくにとってはニュージーランドのすべてが衝撃だった。
ぼくは世界一周を断念し、ニュージーランドに残ることを決意。ビザの延長も含め、1年4カ月間滞在した。
4.「何もない」からこそ感じることのできた「豊かさ」
ぼくがこの国で体験したことをたった一言で表すことはできないけど、ニュージーランドでの「暮らし」を通して最も強く感じたこと。
それは「便利さ」の中に失っているものがあるということ。
東京で生まれ育ったぼくにとって「何もない=不便」だと、ずっと思っていた。
東京は「便利さ」で言えば、世界でトップクラス。交通手段で困ることはないし、商品の価格は安くてもクオリティは高い。欲しいモノはすぐに手に入り、何かをやりたいと思えばいつでもすぐにできる。
一方で、ニュージーランドは日本と比べると何もない。人もモノも情報も圧倒的に少なく、町から少し車を走らせれば、ただ自然が広がっていて、羊や牛がたくさんいるだけ。
東京と比べれば、ニュージーランドは不便だと感じることがよくある。
でも「不便だから暮らしにくい」とは感じず、むしろ「何もない」からこそ、感じることのできた「豊かさ」が、ニュージーランドにはあった。
何もないからこそ、自分自身と深く向き合うことができ
何もないからこそ、家族や仲間とゆっくり過ごす時間があり
何もないからこそ、心をかき乱されることなく「心の安らぎ」を感じることができた。
身の回りのモノが溢れていると、1つ1つを大切にする時間が失われていく。
だからこそ、 限られた人生の中で何にフォーカスして生きるのか。
何を大切にして生きるのか。
ぼくはニュージーランドでの暮らしを通して、必要以上のモノはいらないこと。そして自分にとって最も大切なものにフォーカスして生きることが、人生を豊かに生きる上で大切なことだと考えるようになった。
そして ぼくがニュージーランドでたどり着いた1つの答えが【Small is Beautiful】という生き方。
ニュージーランドでの暮らしをキッカケに、ぼくの人生観は大きく変わった。そして何よりも、忘れていた「心の安らぎ」を見つけることができた。
5. より小さく よりスローに生きる
「生き方」に正解はないし、それぞれに自分に合ったスタイルがあるわけだけど、もし「今」の生き方に満足ができていないのなら、この『Small is Beautiful』という価値観はこれからの人生を豊かに生きる上で、1つのヒントになるとぼくは思う。
幸せに生きるために、大きなことをする必要はなくて、まずは『小さなこと=身の回りにあるもの』から大切にしよう。
『小さなこと』から、少しずつ変えていこう。
毎日使っているものを、少しだけ変えてみる。
毎日食べているものを、少しだけ変えてみる。
毎日の暮らしを豊かに生きるためのメソッドやアイテムを『iti』を通してスローに届けていきます。ぜひこれからもInstagramとnote両方をぜひチェックしてね。
※本日21:30より『iti』共同ファウンダーのオア明奈さんと共にインスタライブ第2弾開催するよ!ぜひこちらもチェックしてみてね。
2020.06.06. トミマツタクヤ
祝!増版決定!
『LOVELY GREEN NEW ZEALAND 未来の国を旅するガイドブック』
誰よりもニュージーランドを愛する4人による、新しい視点で作ったガイドブック『LOVELY GREEN NEW ZEALAND』が2018年9月に発売。著者たちが実際に足を運び、心からオススメできる物件のみが掲載された ”究極のガイドブック” がここに完成。
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