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エリスリトール&ラカントS 安全から危険に?

デザートや飲み物、または料理に甘味をつけるために、砂糖を避けて人工甘味料を使う人は多いと思います。

なかでもエリスリトールとラカントSは、天然素材を使っていて安全性が高いということで非常に人気があります。

ところが、それを根底から覆すかもしれない論文が、今年になって発表されました。

この記事では、論文の内容を説明して、エリスリトールとラカントSの安全性はどうなのか、また2食品の代用品を解説します。
(記事の文末に動画を貼付しています)

エリスリトールは安全なのかどうか

エリスリトールは、とうもろこしのデンプンを発酵させて作った糖アルコールの一種です。
カロリー0でありながら砂糖の70%の甘味を得られることで、ダイエット中の人には好んで使われています。

また、野菜や果物、キノコ、ワイン、日本酒など、自然の食品にも含まれる天然の成分です。
そのため、安全性には問題なしと長いあいだ思われてきました。

ところが、そこに待ったをかけるアメリカの論文が発表されました。
2023年2月27日、
Nature Medicineに掲載された、
エリスリトールと心血管疾患リスクとの相関関係です。

心血管疾患のリスクありと評価を受けた1157人をサンプルに、エリスリトールの血中濃度を見ました。
すると、血中濃度が高い人は低い人と比べて、心血管疾患や脳卒中のリスクが約2倍であることが分かりました。 

さらに別のデータでは、
アメリカ人2100人、ヨーロッパ人800人を血中濃度の高い方から低い方まで4つのグループに分けて調べました。 

すると、もっとも血中濃度が高いグループは、もっとも低いグループと比べて
アメリカ人で2、5倍、ヨーロッパ人で4、5倍、心血管疾患を発症するリスクが高かったという結果が出ました。

どうしてエリスリトールの血中濃度が高いと、心血管疾患のリスクが上昇するのか。
血液検査の基礎データを見てみると、エリスリトールの血中濃度が高くなるにつれて血小板の活性度が上がることが分かりました。

血小板は、出血した時に血液を固まらせることで止血に働きます。
ただ、血小板の活性度が必要以上に高いと、出血以外の場面でも血液を固まらせてしまい、血栓を生成します。
それが血管を詰まらせて、心血管疾患を引き起こすと考えられます。

ただ、この論文だけでエリスリトールは使わない方がいい、と結論づけるのも時期尚早です。

論文の中で指摘しているのは、エリスリトールの血中濃度と心血管疾患との相関関係であり、エリスリトールの摂取量と心血管疾患ではありません。

エリスリトールは体内でも生成できることから、代謝の状態によって血中濃度が変わってくると考えられなくもありません。

エリスリトールの摂取量が血中濃度にどう影響を及ぼすのか、
また心血管疾患リスク上昇とのメカニズム、エビデンスなど、今後の研究結果が待たれます。

結論として、エリスリトールを使い続けていいのかストップした方がいいのか、ハッキリとは分かりません。

けれども、安全だと思われていた人工甘味料や添加物がじつはそうではなかった、という例は結構あります。
今後、心血管疾患以外にも副作用、リスクが増えてしまうこともないとは言い切れません。

一度摂取したものは戻せません。
このような不確定要因があるのであれば、後半で紹介する代替商品に切り替えた方が賢明ではないかと、私は考えます。

ラカントSは安全なのかどうか

商品名から羅漢果(中国の桂林地方を原産地とするウリ科の植物)を抽出精製した商品だと思っている人が多いようです。
半分正しく半分間違っています。

原材料表示を見ると、「エリスリトール、ラカンカエキス」と書かれています。

しかも、エリスリトールがラカンカエキスよりも先に書かれているので、エリスリトールの方が含有量が多いことになります。

羅漢果については、販売元のサラヤ(株)のホームページに、
「高純度羅漢果エキスの製造技術を確立。サラヤの特許技術として、国による安全性確認試験でも安全性が保証されています」
と書かれています。

ですが、エリスリトールの方が多いことを考えると、やはり避けた方がいいのかなという気がします。

ここからは、エリスリトールとラカントSに代わる商品を説明していきます。

避けてほしい3つの商品

①パルスイート 

これは絶対に購入してはいけない商品です。

原材料は、アスパルテームとアセスルファムK。
この2つは、有害性が指摘されている人工甘味料です。  

アスパルテームについては、2023年7月、WHOの一機関IARCが発がん性を認めています。

②シュガーカット 

これは昔からある商品です。
浅田飴が製造販売しているため、原材料表示を見ると

還元麦芽糖水飴、さらに還元水飴と書かれています。

ここまではいいのですが、最後に甘味料(スクラロース)と書かれています。
結局これで甘味を調整しているのです。

スクラロースは、アスパルテームアセスルファムKと並んで有害性が指摘されている人工甘味料です。
ですから、シュガーカットも避けるべき商品になります。

③ステビアヘルス

ステビアは天然素材を使っているために、安全性は高いと長い間思われてきました。
しかしステビアも、エリスリトールと同じく、近年そうではないという論文が発表されています。

論文が指摘しているのは、ステビアを摂取することで
・腸内細菌が乱れる
・不妊作用をもたらす
この2点です。

また原材料表示を見ると、

ステビアとともにエリスリトールと書かれています。
ラカントSと同じパターンです。

安全性は問題ない2つの商品

①羅漢果工房「らかんか顆粒」

ラカントSとは違い、羅漢果を主成分とする商品です。

厳密には、羅漢果98%、てんさい糖2%。
てんさい糖も安全性に問題はないので、この商品はお薦めです。

ネックがあるとすれば、価格がやや高いことです。

ちなみに、似たような商品で、セイコー珈琲「羅漢果」があります。

が、この商品は羅漢果に蔗糖(砂糖)を加えていますので、お薦めできません。

②サラヤ(株)ラカントアルロースブレンド
 2023年10月2日 販売開始(通販限定)

この商品は、羅漢果にアルロースという、トウモロコシ由来の甘味成分である希少糖をミックスしたものです。

これは憶測ですが、エリスリトールの安全性が揺らいできたことから、アルロースブレンドはサラヤ(株)が急きょ開発した商品なのかな、という気もします。

アルロースもほぼカロリー0で、砂糖の70%の甘味を持ちます。

安全性に関しては、今のところ人に対する有害性は指摘されていません。 
もっとも、歴史が短い成分なので、アルロースの長期的な摂取が人に対して今後も安全だとは言い切れません。

また、アルロースは希少糖ということもあり、このアルロースブレンドもなかなかの価格です。

こうなると、安全かつ価格もリーズナブルな甘味料はないのか、と言いたくなってきます。

お薦めはオリゴ糖食品

オリゴ糖はカロリー0でこそありませんが、砂糖の約半分で1g当たり2、3kcalです。 

オリゴ糖最大のメリットは、腸内善玉菌のエサとなり善玉菌を増やすことです。これをプレバイオティクスといい、今ホットなトピックです。

オリゴ糖にもいくつか種類がありますが、私が一番薦めるのはフラクトオリゴ糖です。 
フラクトオリゴ糖は、最強の善玉菌である酪酸菌を増やす効果があるからです。

私は日本オリゴのフラクトオリゴ糖を使っています。 

この商品はシロップですが、料理の場合は顆粒の方が使い勝手がいいかもしれません。
顆粒のフラクトオリゴ糖も販売されています。

この記事でのお薦め甘味料は、オリゴ糖食品とさせていただきます。

まとめ

2023年、米国で発表された論文では、エリスリトールの血中濃度が高いと、心血管疾患のリスクが上昇するという結果が出ました。

基礎データでは、エリスリトールの血中濃度が高いと血小板の活性度が高くなり、血栓を生成して血管を詰まらせるためと考えられます。

そのため、購入はお薦めできません。

ラカントSは、ラカンカエキスにエリスリトールをプラスした商品で、エリスリトールの方が含有量が多いことから、やはり購入はお薦めできません。

代用品として、羅漢果工房の羅漢果顆粒、サラヤのラカントアルロースブレンドといった候補もありますが、いずれも価格が高いのがネックです。

それも踏まえて、私のお薦めはオリゴ糖食品。
中でも酪酸菌を増やすフラクトオリゴ糖が一押しです。
シロップと顆粒の両方ありますので、用途に応じて選んでください。

この記事の内容については動画もアップしています。
合わせてご覧ください。


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