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玉子 1日いくつまで食べても大丈夫なのでしょうか
玉子は、タンパク質、ビタミン、ミネラル等のバランスが取れた「超栄養食品」です。
けれども、玉子を多く食べると、
「コレステロールが上がる」
「アレルギーになる」
「心臓疾患のリスクが高くなる」
などネガティブな面がよく言われます。
実際の所どうなのか、今回は現在わかっていることを解説します。
(記事の文末に動画を貼っています)
「ウサギに玉子」がそもそもの始まり
玉子とコレステロール、動脈硬化の関係を初めて発見したのは、約100年前(1913年)の病理学者ニコライ・アニチコワです。
彼は、ウサギにコレステロールが大量に含まれる玉子を与えました。
![](https://assets.st-note.com/img/1677719283383-RvJ5mGGfW8.jpg?width=800)
その結果、血液中のコレステロール値が急増し、
「玉子は動脈硬化の原因になる」
という定説の元をつくりました。
しかし、ウサギは草食動物であり、コレステロールを代謝する機能は備わっていません。
玉子を与えれば、コレステロール値が急上昇するのは当たり前です。
こんな誤ちによる定説が、100年近くも世の常識だったのです。
「これはおかしい」と考える人は、20年以上も前から多くいました。
それでも、医者が「玉子は週に1〜2個にしてください」と言えば、多くの患者さんは、それを信じますよね。
そんな時代が、ほんの最近まで続いていました。
さすがに「常識はウソ」だった
けれども、7年前にその間違った常識は終焉を迎えました。
![](https://assets.st-note.com/img/1677719283425-AY5Iip0FPd.jpg?width=800)
日本動脈硬化学会のホームページを開いて、Q&Aのページを見ると、以下の記述が確認できます。
(2021年7月現在)
[Q]動脈硬化の予防のために食事でのコレステロール制限は必要ないとの報道がありましたが、コレステロールはどれだけ食べても大丈夫なのでしょうか?
[A]2015年2月にアメリカ農務省と保健福祉省から、食事でのコレステロール摂取制限は必要ないとの発表があり、また、日本でも厚生労働省による「日本人の食事摂取基準2015年版」では、コレステロール摂取の上限値がなくなりました。
(中略)現在,高血圧や糖尿病、喫煙など他の動脈硬化疾患の危険因子をお持ちでなく、LDLコレステロール値が高くない方は、現在の食事内容でコレステロールを制限する必要はありません。
100年近く続いた常識のウソを認めました。
なぜコレステロール値が上がらないのか
しかし、実際にMサイズの玉子1個には、約210mgのコレステロールが含まれます。
![](https://assets.st-note.com/img/1677719283479-EcmLxEZ5MU.jpg?width=800)
上の図を見ても、玉子のコレステロールが多いことは一目瞭然です。
では、なぜコレステロール値が上がらないのか。
体内に存在するコレステロールのうち、約8割は体内で合成されたものです。
これは肝臓で合成します。
残りの約2割が、食事から摂取されたものです。
例えば1日に玉子を5個食べた場合、この2割を大幅に超えるコレステロールが入ってきます。
それを察知した肝臓は、合成量を減らすよう調整を行います。
それにより、体内のコレステロール総量は変わらない、一定量を維持します。
この機能を、生理学でネガティブフィードバックと言います。
玉子を食べてもコレステロールの心配はありません。
むしろ、肝臓の負担を減らしていることになります。
遅延型フードアレルギーには要注意
では、玉子は1日に何個食べても大丈夫なのか、という話に移ります。
心配が残るのは、フードアレルギーです。
アレルギーに関しては、体質の個人差があります。
いくつならOKとか、いくつ以上はダメとか言うのは、難しいところです。
あくまでも、一般的な感覚で書きます。
1日2個であれば、アレルギーの懸念はほぼないと思います。
3個以上になってくると、人によっては慎重に対処する必要があります。
アレルギーについて抑えておきたい基礎知識です。
フードアレルギーは、即時型と遅発型に分かれます。
原因となる食物を摂取すると、時間を置かずに“じんましん”や呼吸困難などの症状が出てくるタイプのものを、即時型アレルギーと言います。
多くの人が知っているアレルギーはコレです。
もう一つは、原因となる食物を摂取して、数時間~数日経って症状が現れる「遅発型フードアレルギー」です。
症状としては、
肌荒れ、倦怠感、頭痛、肩こり、
便秘、下痢、イライラ、不眠
など症状がさまざまです。
摂取後すぐに症状が出ないこと、
症状が慢性的なものであることから、
アレルギーとは気付きにくいのが
「遅発型フードアレルギー」です。
即時型と遅発型の違いをまとめたです。
![](https://assets.st-note.com/img/1677719283682-BZjRAoA1Ne.jpg?width=800)
表にあるように、遅発型は玉子以外にも乳製品にその可能性があります。
遅延型フードアレルギーが気になる場合は・・・
玉子を1日3〜4個食べたい場合は・・・
まずは2個から始めて、気になる不調がないことを確かめてください。
そして1個だけ増やして、1日3個をしばらく続けてください。
そこで、何らかの不調が出た場合には、遅発型アレルギーの可能性があります。
すぐに、2個に戻してください。
2週間前後、様子を見て不調が解消されたら、遅発型アレルギーだったということです
1日3個から4個に増やしたい場合にも、同じパターンで試してください。
遅発型アレルギー検査を行うクリニックも、多くはないですが、あるにはあります。
玉子による心疾患のリスクは?
玉子を1日4個以上食べると心疾患のリスクが上がる、という研究報告もあります。
(2020年ブリティッシュメディカルジャーナル)
ただ、その研究では、因果関係まで明確にしていません。
どう考えても、玉子と心疾患とは結びつきません。
むしろ、玉子に含まれるレシチンという脂質は、血中の余分なコレステロールを回収して、動脈硬化のリスクを引き下げます。
今後の研究結果に注目したいと思います。
まとめ
玉子を何個食べてもコレステロール値は上がりません。
体内のコレステロールのうち、約8割は肝臓で合成します。
食事から大量のコレステロールが入ってくると、肝臓が合成量を減らすよう調整を行うからです。
ただ、遅発型アレルギーには注意が必要です。
摂取後すぐに症状が出ないこと、
症状が慢性的なものであることから、
アレルギーとは気付きにくいのが遅発型アレルギーの特徴です。
玉子を1日3〜4個食べたい場合には、まずは2個から始めてください。
気になる不調がないことを確かめながら、慎重に1個ずつ増やしてください。
この記事の内容については動画もアップしています。
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