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ビタミンEサプリによる大量摂取は危険なのか?

「若返りのビタミン」ビタミンEは、
細胞膜の酸化を防ぐ、
末梢血管を拡げて血流を促進する、
など健康維持には欠かせないビタミンです。

そのため、食事にプラスαする目的で、サプリを飲んでビタミンEを補強している人が多いです。

しかし、ビタミンEをサプリで大量摂取することに対しては、「危険である」というネガティブな論文が、近年存在します。

果たして本当に危険なのか。
その内容および対策を解説します。

記事の内容は、以下の5点です。
①ビタミンEのおもな役割
②厚生労働省のビタミンE推奨量とその根拠 
③私が考えるビタミンEの目標量とその根拠 
④ビタミンEに関するネガティブな論文
⑤ビタミンEサプリのより安全な摂取方法

(記事の文末に動画を貼付しています)

ビタミンEのおもな役割

ビタミンEの最大の役割は、体内の脂質が活性酸素により酸化するのを防ぐこと。

① 細胞レベルでは、脂質を材料とする細胞膜の酸化を防ぐ
(細胞の恒常性など細胞機能を維持)

②臓器レベルでは、脂質の割合が高い脳や副腎皮質の酸化を防ぐ
(認知症予防、ホルモンバランスの維持) 

③血管レベルでは、血管内のLDLコレステロールが酸化コレステロールになるのを防ぐ
(動脈硬化の予防) 

現代は、ただでさえ生活習慣の乱れやストレスなどで多くの活性酸素が発生しがちです。
それに加えて、揚げ物や出来合いの弁当、惣菜などから大量の酸化油が体内に入ります。

そのため、それによる酸化防止のビタミンEもまた大量に摂る必要があります。

ビタミンEのそれ以外の働きとして、
・末梢血管を拡張する、および赤血球の柔軟性を保つことにより、
「血流を促進する」。

・ホルモンバランスを整える
⑴生理不順、生理痛の改善  
⑵安全な妊娠に導く 
⑶更年期障害の緩和 
これを見ても、とくに女性には欠かせないビタミンであることが分かります。

ビタミンEの推奨量と目標量

厚生労働省のビタミンE推奨量は、
1日当り5〜7mg(成人)。 

その根拠は、ビタミンEが著しく欠乏した時に生じる欠乏症を予防するには、この量で足りるということです。

ビタミンEの欠乏症は、おもに3つ
①軽度の溶血性貧血
(赤血球の細胞膜が活性酸素によって損傷してヘモグロビン流出)
②神経や筋肉の障害
(反射運動の障害、歩行困難、筋力低下)
③早産

厚生労働省の推奨量5〜7mgは、これらの欠乏症を防ぐには十分だという量に過ぎません。 

先ほど挙げた健康効果を期待できる量では全くありません。
話にならないくらい足りません。

続いて、私が考えるビタミンEの目標量とその根拠です。

私が考えるビタミンEの目標量は、200〜300mg
その根拠、とくに上限を300mgに設定している理由です。

エーザイ(株)から販売されている
「ユベラックス(旧ユベラ)」という、天然ビタミンE医薬品があります。

このユベラックスの1日当たり摂取量が、パッケージにも表記されているように300mgです。

医薬品は安全性や有効性を含めて、厳しい審査をパスしたもののみが市場に流通しています。
もちろん日本市場向けの医薬品なので、1日300mgは問題ないと考えられます。

国内大手メーカーのビタミンEサプリも見てみます。

DHCのビタミンEが301mg。
ほぼ300mgです。

FANCLのビタミンEが253mg。
300mgの少し手前という感じです。

国内サプリは、輸入品と比べるとかなり控えめ、慎重な含有量を設定しています。
その国内サプリが、やはり300mgのラインを意識したと思われる含有量です。

輸入サプリのビタミンEもiHerbのサイトで閲覧すると、ほとんどの商品には400IUと表記されています。

IUとは国際単位のことです。

400IUをmgに直すと268mg
多くの輸入サプリも300mgの範囲内に留まっています。

これらを総合的に見て、1日300mgまでは安全だと、私は考えます。 

ビタミンEに対するネガティブな論文

一つは2011年の論文。 

1日400IU以上のビタミンEを摂取し続けると、
「前立腺ガンのリスクを17%上げる」というもの。

もう一つは2013年の論文。

やはり1日400IU以上のビタミンEサプリを飲み続けると
「死亡率が4〜6%高まる」というもの。

ただ、2つの論文を見ても、
高用量のビタミンEがどのように作用して前立腺ガンや死亡のリスクにつながるのかという、メカニズムについては明記されていません。

よく言われるのは、ビタミンEは脂溶性で体内に貯められるので、過剰に蓄積して何らかの悪影響を及ぼすのではないか、ということです。

2つの論文ともに、
「1日400IU以上のビタミンEを摂取し続けると」
と書かれているのが大変気になりますが、
それでも2つとも10年以上前の研究です。 

それ以降、具体的な内容に踏み込んだ論文も発表されていないことから、私はそれほど気にする必要はないのではないかと思います。

とはいえ、疫学調査でそのようなデータが出ているのであれば、やはり心配だという人もいるかもしれません。 

ビタミンEサプリの安全な摂取方法と対策

まずは1日300mg前後に留めることです。

iHerbでビタミンEサプリを探すと、
多くの400IUに混じって1000IUという商品を見かけます。

1000IUはmgだと670mg
これは多すぎます。

推測になりますが、論文にある前立腺ガンや死亡率の上昇は、
1000IU(670mg)という高容量を長期間に渡って摂取した結果ではないかと考えます。

300mg前後のビタミンEサプリを飲んでいる人も、マルチビタミンに含まれるビタミンEの含有量を忘れないでください。

私が飲んでいる
Life ExtensionのTwo Per Dayには
68mgのビタミンEが含まれます。

この量であれば、
400IU(268mg)と合わせても
336mgでギリギリセーフかなと思われます。

ただ、マルチビタミンの中には
200IU(134mg)や400IU(268mg)の商品もあります。
その場合は、ビタミンEの個別サプリを別に飲む必要はありません。

先ほどのネガティブな論文内容を聞いて、
300mg前後でも不安だという人の場合は、
個別サプリで200IU(134mg)の商品があります。

それならば安心だと思います。

また200IU(134mg)を1日2回飲む、という方法もあります。「400IU(268mg)飲むのと同じではないか」と思うかもしれませんが、同じではありません。

通常、特定の栄養素により過剰摂取のリスクは、1日何mg摂ったかというよりは、栄養素の血中濃度が一定レベルを超えた時に起こる生理現象を指します。
ビタミンEは吸収後いつまでも血液中に留まっているのではなく、ほどなく細胞膜に入ります。

ですから、同じ摂取量でも1回で飲むのと2回に分けて飲むのとでは、血中濃度に大きな差が出ます。
たくさん摂りたいけど心配だ、という場合は分けて飲んでください。

まとめ

ビタミンEの役割は、
①細胞レベル、臓器レベル、血管レベルで
脂質が活性酸素からの攻撃を防ぐ抗酸化作用 
②末梢血管を拡張、及び赤血球の柔軟性維持による血流の促進
③ホルモンバランスを整えることによる
⑴生理不順、生理痛の改善  
⑵安全な妊娠に導く 
⑶更年期障害の緩和 

厚生労働省のビタミンE推奨量は、
1日当り5〜7mg(成人)。 
その根拠は、ビタミンEの欠乏症
(軽度の溶血性貧血、神経や筋肉の障害、早産等)の予防には足りる量だということです。

私が考えるビタミンEの目標量は、
1日200〜300mg。
その根拠は、国内のビタミンE医薬品、
国内大手のビタミンEサプリの1日当たり摂取量が300mg、あるいはその前後であることです。

ビタミンEに対するネガティブな
論文の代表的なもの2つは、
①高容量のビタミンE摂取が前立腺ガンのリスクを上げる
② 高濃度ビタミンEサプリが死亡率を上げる 
いずれも、具体的な摂取量やメカニズムは明記していません。

ビタミンEサプリのより安全な摂取方法は、
1日300mg前後に留めることです。
1日300mg前後でも不安な場合は、
200IU (134mg)の商品を選んでください。

この記事の内容については動画もアップしています。
合わせてご覧ください。


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