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彼らは僕の感情を彩ってくれた。
彼らは僕に“言葉”の秘めた力を教えてくれた。
常に僕の思考回路には、
彼らの創ってきた音と言葉が回っている。
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彼の言葉で、
僕らは記憶に生きていることを教えてもらった。
感情、感覚、言葉、音、匂い、感触。心。
感じとれる全てを大事にしたくなった。
作詞は自分の感情と、
どこかの誰かの感情の想像の果てに生まれることを教えてもらった。
そしてそれを伝える声には、優しくて、まっすぐで、不安げで、愛おしい力が篭っていることを教えてもらった。
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彼に、
音にのめり込む、
まさしく没頭することのすばらしさを教えてもらった。
美しかった。
こんなにも音を全身で浴びてそれを体から放出していく姿が美しい。
人生全てをその音に捧げてきたのを感じる彼の演奏。
そしてそれが本当に楽しそうで。
正真正銘の“生”を感じる。
そんな彼の創る音に惹かれて僕もギターを持った。
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彼に、
創作にこだわる姿勢の大切さを教えてもらった。
ひとつの“ベース”に詰め込むこだわり、
楽器の素材から、機材、演奏方法すべて。
こだわりを持って創作に取り組むことは、
愛情表現だ。
創作へ向かう自分への愛情表現でもあり、
芸術そのものへの敬意だと思う。
彼の視線は凛々しく真っ直ぐだ。
音楽からも、仲間からも信頼されている。
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そんな人間たちのつくる音楽を浴びた。
初めて生で聴いたもの。懐かしい演奏。それが今日。
一曲、一曲に自分のいろんな時代、
時期の記憶が詰まっている。
一曲の中にもたくさんの時代の記憶が詰まっている。
音楽は聞く人の感情と記憶が、時間とともに、
その1曲に染み込んでまた生まれるんだと思う。
その人の中の一曲が人生をかけて完成するんだと思う。
嬉しい記憶も、悲しい記憶も、切ない記憶も、ありがとうの記憶も、愛おしい記憶も、忘れたい記憶も、
全部一曲に詰まっていく。
それらの音が耳に届く時、頭の中で歴史が爆発する。
久しぶりに会う感情たち。
強くなって、逞しくなって、優しくなって帰ってきたよ、って。
そうやってあの箱の中は彩っていた。
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