山岸剛 TakeshiYamagishi

写真家です。人間が、人間の意識が計画し、目的をもってつくったもの(人工性)と、そうでな…

山岸剛 TakeshiYamagishi

写真家です。人間が、人間の意識が計画し、目的をもってつくったもの(人工性)と、そうでないもの(自然)との力関係を観察し、その均衡点を写真に定着しています。著書に『Tohoku Lost, Left, Found』『東京パンデミック』。ここには、ことばの仕事を載せます。

記事一覧

人間、社会、自然

「社会的存在としての人間」と題された、若き日のカール・マルクスによる言葉である。この文言に対する、現在に至る膨大な注釈の蓄積は私の知るところではない。また、この…

山岸剛×今福龍太 「Tokyo ru(i)ns」をめぐって 『東京パンデミック カメラがとらえた都市盛衰』(早稲田新書)刊行記念トーク …

Part 2■「モノ語り」の世界 今福 『東京パンデミック』という本を通じて、山岸さんは何度も、「モノ語り」を聴く、モノが語るのを聴く、とおっしゃっています。まず本の…

山岸剛×今福龍太 「Tokyo ru(i)ns」をめぐって 『東京パンデミック カメラがとらえた都市盛衰』(早稲田新書)刊行記念トーク …

Part 1■ 東北と東京の撮影をつらぬく関心 山岸 2021年の4月に『東京パンデミック カメラがとらえた都市盛衰』という、写真に文章をつけた本を出版しました。今日はその…

人間、社会、自然

「社会的存在としての人間」と題された、若き日のカール・マルクスによる言葉である。この文言に対する、現在に至る膨大な注釈の蓄積は私の知るところではない。また、この簡明なテクストがはらむ巨大な含意についても、その幾ばくかは以下の拙文で展開されることを信じて、いまは虚心に、文字通りに読む。すると、ここには三項関係がある。人間、社会、自然。三者関係が見て取れる。決して二項関係すなわち、人間と社会、のみでは

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山岸剛×今福龍太
「Tokyo ru(i)ns」をめぐって
『東京パンデミック カメラがとらえた都市盛衰』(早稲田新書)刊行記念トーク
2021年5月16日@下北沢B&B 2/2

山岸剛×今福龍太 「Tokyo ru(i)ns」をめぐって 『東京パンデミック カメラがとらえた都市盛衰』(早稲田新書)刊行記念トーク 2021年5月16日@下北沢B&B 2/2

Part 2■「モノ語り」の世界

今福 『東京パンデミック』という本を通じて、山岸さんは何度も、「モノ語り」を聴く、モノが語るのを聴く、とおっしゃっています。まず本の冒頭が、贈り物、寄り物の写真から始まりますよね。

山岸 はい、<2020年1月29日、大田区城南島>という写真です。これも東京の南端、東京湾に浮かぶ人工島にある海浜公園です。ここに、台風か何かの影響で流れ着いた寄り物、見事な木の塊

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山岸剛×今福龍太
「Tokyo ru(i)ns」をめぐって
『東京パンデミック カメラがとらえた都市盛衰』(早稲田新書)刊行記念トーク
2021年5月16日@下北沢B&B 1/2

山岸剛×今福龍太 「Tokyo ru(i)ns」をめぐって 『東京パンデミック カメラがとらえた都市盛衰』(早稲田新書)刊行記念トーク 2021年5月16日@下北沢B&B 1/2

Part 1■ 東北と東京の撮影をつらぬく関心

山岸 2021年の4月に『東京パンデミック カメラがとらえた都市盛衰』という、写真に文章をつけた本を出版しました。今日はその出版記念イベントということで、今福龍太先生にお声がけさせていただきました。

 私は20代の頃から、今福さんの書いたものを読んできて、とても大きな影響を受けてきました。そして今を遡ること2年前、2019年2月に、それまで足かけ

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