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山岸剛×今福龍太 「Tokyo ru(i)ns」をめぐって 『東京パンデミック カメラがとらえた都市盛衰』(早稲田新書)刊行記念トーク 2021年5月16日@下北沢B&B 2/2
Part 2■「モノ語り」の世界 今福 『東京パンデミック』という本を通じて、山岸さんは何度も、「モノ語り」を聴く、モノが語るのを聴く、とおっしゃっています。まず本の冒頭が、贈り物、寄り物の写真から始まりますよね。 山岸 はい、<2020年1月29日、大田区城南島>という写真です。これも東京の南端、東京湾に浮かぶ人工島にある海浜公園です。ここに、台風か何かの影響で流れ着いた寄り物、見事な木の塊でした。 今福 こういうのは、山岸さんも書いているけれども、贈り物、異界からや
山岸剛×今福龍太 「Tokyo ru(i)ns」をめぐって 『東京パンデミック カメラがとらえた都市盛衰』(早稲田新書)刊行記念トーク 2021年5月16日@下北沢B&B 1/2
Part 1■ 東北と東京の撮影をつらぬく関心 山岸 2021年の4月に『東京パンデミック カメラがとらえた都市盛衰』という、写真に文章をつけた本を出版しました。今日はその出版記念イベントということで、今福龍太先生にお声がけさせていただきました。 私は20代の頃から、今福さんの書いたものを読んできて、とても大きな影響を受けてきました。そして今を遡ること2年前、2019年2月に、それまで足かけ9年にわたって撮影を続けてきた東北地方太平洋沿岸部を撮影したものを写真集にまとめ