高木駿〜躍進する大分を支えるハイブリッドGK


GKの新しい境地 ”ボランチキーパー”高木駿


J2を2位でフィニッシュし、6年ぶりにJ1の舞台に帰ってきた大分トリニータがここまで11試合を終え、7勝2分2敗 得失点差8で3位と日本サッカーに旋風を巻き起こしている。そんな好調を維持している大分を率いる片野坂智宏監督だ。彼は長谷川健太の率いるG大阪や”ミシャ”ことペトロヴィッチ監督率いるサンフレッチェ広島などでコーチとしてJリーグで”名将”と呼ばれる監督の下で選手を指導した経験を持っている。そんな彼が施行する論理的でボールを支配し相手を崩す攻撃的なサッカーは多くの人を魅了している。先日ヤンマースタジアム長居で行われたセレッソ大阪との試合を見に行くことがあり、トリニータのグッズ売り場の方とお話しの中でもここ最近”大分トリニータ”というクラブのファンは急増中だという。これも見ていて面白いサッカーを施行しているからだと考える。魅力的な大分トリニータについてまだまだ語りたいがいよいよ長くなってきたので大分の紹介をここまでとして今回の導入としたい。

リーグ屈指のビルドアップ能力

好調大分を1番後ろから支える攻守の要。従来のチームでのGKの役割はゴール前でシュートストップに専念することであるが、高木は違う。大分の特徴的な戦術によるもので、ビルドアップ時にゴールマウスを離れ、DFラインと同じ高さまでポジションを上げて積極的にパス回しに参加する。

味方選手も高木のスキルを信頼しバックパスを躊躇無く出す。GKがボールの逃がし所であり、そこから利き足の左足から安定したショートパスに加え、相手のプレスを無力化する、フリーの味方へ正確なミドル・ロングパスを蹴り分けることができる。 
湘南戦でのショートパス成功率は100%(16本中16本成功)
     ミドル・ロングパス成功率は41%(17本中7本成功)
        (クリアやゴールキックは除く) *自分調べ
このように高木は他チームのGKと比べ足でボールを扱う機会が多いことと成功率も高いことからチームでの信頼は厚く、戦術に深く組み込まれていることがわかる。

足元だけじゃないGK能力

高木のビルドアップ能力に注目されがちだが、シュートストップ能力にも優れている。11節を終え、大分の失点数はわずか。大分の選手のゴール前での気迫のこもったシュートブロックも失点の少なさに影響しているが高木の存在も大きい。
湘南戦でのスタッツは枠内シュートのキャッチ数は2、パンチング数は3
クロス対応ではキャッチングが6、パンチングが2 *自分調べ
46分の湘南鈴木のFKからボックス内での山崎の至近距離からのシュートに反応、はじくどころかがっちりキャッチしピンチを防いだ。また。85分から87分にかけて湘南がボックス内に人数をかけてクロスボールを放り込むがそのボールに勇気をもって飛び出し、パンチングやキャッチで攻撃をシャットアウト。この試合も無失点でチームの勝利に貢献した。

好調のまま大分がシーズンを終えると、GKをビルドアップに組み込む戦術を志向するチームが増えると思う。
高木はボランチゴールキーパーのパイオニアになれる存在であり、
すでにその地位を確立しているのかもしれない。






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