見出し画像

現代サッカーのカウンター/被カウンター戦術

はじめに

どうも僕です。
今回は普段あまり表立って触れられない、対4バックにおける確立された一つのカウンター/被カウンター戦術について、それが実際に存在するのかも含めて見ていきたいと思います。

現代の4バックにおけるネガトラ時の後方陣形

普段試合を観る際、皆さんはボールを保持しているチームの後方を見た事はありますか?
特にバイタル前等の、相手の陣地内にボールがある場合です。
そんな今回は、普段皆さんが見てるか見てないかよう分からん様なポジションも、蓋を開ければ大事な準備が行われているかもよ?というお話です。
では実際に見いきましょう。

上図の様に攻撃を行っていく上で、4バック時の後方には常にこの2-3の5枚又は、もう1枚プラスで後方に配置されます。その理由や意味について探っていきたいと思います。

2-3を後方に配置する意味

攻撃の最中、いくら高い位置でボールを握っているからといっても、カウンターの危険性は一定の確率で見え隠れしています。
そんな攻守が背中合わせで立っているような現代サッカーでは、ボールロストが即カウンターに繋がります。そうなった時、いかに自分たちが攻守に移行しやすい陣形を保ちつつ、相手からボールを奪い返せるかが鍵になります。
そこで生み出されたのがこの2-3という訳です。

元々はみんな大好きアラバロールの副産物の様なもので、ペップがバイエルン時代に生み出したものです。
そしてカウンターは5レーンいっぱいを使い切ると言うよりも、3レーンで完結するものが多く、中央は分かりやすく中央3レーン、サイドならばハーフレーンを含んだ大外レーンと中央レーンの3つです。
この3レーンやハーフレーンを確実に封鎖出来る最適な陣形が2-3という事です。
まず守備について考えるペップらしいアイデアと言いましょうか、良い意味で臆病さが出ていますね。それでいてこの陣形を攻撃にも流用してしまうその複雑な脳内構造は、一度どうなっているのか開けて確認してみたいですね。

2トップに対しても前3枚の囲い込みと後方で待機するCBで対処出来るし、3トップに対してもスライドしつつ攻撃を遅らせられるという革新的過ぎる形ですね。

このように攻撃時にも相手の守備を惑わせる効果を当時は持っていましたね。(多分今も持ってるっちゃ持ってる。)

しかしサッカーはナマモノ。
これを打ち破らんとするカウンターパンチも出てきてしまいます。思い出されるはジャルディム率いるモナコがシティを破った試合。

最適解が最適解で無くなった理由とアスリート化する現代サッカー選手

前の項目では保持側の被カウンター戦術について書きましたが、次はその戦術に対するカウンター戦術です。

この様に赤いマーカーの右SBが、深い位置でボールを奪ったとします。その際2-3のCBの手前にポジショニングをした赤いマーカーのFWが、ロングボールやグラウンダーの素早いパスをSBから受け取ります。
この瞬間に2-3の青いマーカーの左側3選手は、FWにマークを集中させます。これを利用して円のエリアへレイオフを行い、ポジションを上げた中盤の選手やFWの相方に落とします。
こうすることにより、青マーカーのSBはSHとFWによる瞬間的な2:1により、背後のスペースを開けてしまいます。
このエリアにSHやSBが飛び込んで一気に裏を狙いつつ、2-3の後方部隊を引きずり出して、逆サイドへの守備者をゼロにしてシュートを行うというカウンター戦術です。


動画だとよりイメージしやすいかと思います。
特に一位のボルシア・メンヘングラートバッハのカウンターは、僕の拙い図で伝えたかったカウンターを完璧に表現しています。
この様なカウンター戦術の普及が、2-3を最適解で無くしてしまったという事です。しかしそれでも現在までこの戦術が採用されているわけを、昨今のトレンドと共に見ながら考えていきましょう。

ペップ・グアルディオラはシティ到着後カイル・ウォーカーを獲得しました。これがアスリート化の起源とまではいきませんが、カウンター対策のカウンターが用意されてもなお、2-3が最適解であり続けるためには、DFを強く早い選手で構築してしまう事でした。
実際これ以降SBはジンチェンコ意外、誰一人として小柄な選手を取らなくなりました。
この事からも分かるように、守備時の最適解では無くなったものの、攻守における5レーンの構築上、5レーンという概念が覆らない以上は2-3が世界で使い続けられる事は間違いないでしょう。

そしてこれだけ一人あたりがボールを保持出来る時間が減った今、器用さもそうですが、前へ出ていける強さや相手を潰せる強さも必要になってきました。直近のCLで優勝したバイエルンやリヴァプールも速い、上手いだけでなく、物理的な身体の強さがありました。高速で攻守の局面が動き続ける限り、選手のアスリート化、ハイウエイト化が更に進むでしょう。そういった選手の馬力で攻守の局面がひっくり返る背景があるからこそ、弱点を度外視しても採用され、攻守でリターンを望めるのがこの被カウンター戦術の一つである、2-3ブロックの構築だと僕は感じました。

最後に

どれくらい僕の頭の中が伝わったかなんて分からないですが、観戦の際に少し気にかけて見てもらえるだけでも、また新しいサッカーの見方が増えるんじゃないかなと思い、この題材を取り上げました。
セットオフェンスは見ても、カウンターの戦術を取り上げる様なブログをあまり見た事が無いので、これからどんどん増えていけばいいなあと思っています。特に今のトレンドは、攻守に継ぎ目が無い素早いサッカーなので、カウンター戦術を一つでも頭に入れていれば、波に乗り遅れることもないかもしれません!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?