原告記(仮)#64 「札幌地裁*判決まわりの話①…北海道道」

「北海道道」とは?─北海道内のNHKで放送されている地域情報番組。誤植ではなく、ほっかいどうどう、と呼びます。
MCが鈴井貴之さんということで、道外でもご存知の方も多いのかもしれませんが、どうでしょう。
札幌地裁の判決が出た2021年3月17日…その5日前の12日、その北海道道で、「当たり前の幸せを〜"同性婚訴訟"判決へ」という特集が放送された。
そう、私とりょーすけさん、同じ札幌原告のEさんCさんも出演した。

判決のことは、違憲判決の瞬間だけを書いた(#26)だけで、このnoteで何も書き残していなかったので、前後裏側諸々これから数回にわたって続きます。

提訴のときにつづき、判決前にもたくさんの取材を受けている。
この時期の取材ラッシュ、特徴的だったのが2つ。

❶なぜか若い記者さんの比率が増えていた。記者1,2年目とか…もう我々からすると子供の世代と言っても言い過ぎではない、とはいえ若いからといってどうということはないものの、ついついこちら側が、
"大丈夫?これで記事かけそう?"
"なんでも聞いて、なんでも答えるから!"
みたいに、必要以上にお世話しなくちゃノリになっていた、、、、

そういえば、いつか誰だったか思い出せないが聞いた話。メディア関連の就活、面接の場で、もし入社したら何をやりたいか聞くと「LGBTについて」と答える学生が少なくないんだそうです…すごいな世の中、、、、

❷あと、これまでの取材場所は、

・テレビ   =自宅(ご飯シーン)
・新聞・ネット=会社か喫茶店など
だったのが…
後者、映像ではないメディアのみなさま、うちに来たがりました、なぜか?それは、提訴のときよりもより深く、私たちの暮らしぶりに踏み込んだ記事にしたいということ、らしかった。

つまり提訴から2年かけて、我々もそうだしメディアの人たちも、同性婚の問題に向き合ってきた取材の蓄積プラス判決を前にした熱量がたしかにあった。どの取材も予定時間はオーバー、毎回、白熱していたと思う。

ちなみに、これまでの取材で一度も同じ献立を出していないんですよ私は(ここは褒められたい…いつか、原告によるレシピ本を出したい)。

取材がはじめての頃は、まだメディアの方々との距離感がわからなくて、お仕事で来ている訳だしあまり馴れ馴れしいのはと思っていたものの、ある時期から、そんな配慮というか遠慮はどうでもいいんじゃないかと思うようになった。

一期一会かもしれないこの場で、取材者と私たちは人と人、きちんと向き合わないとつまらない…無意味な時間にしたくない。
そうしないと、ステレオタイプで"かわいそうな"原告の話で終わってしまう確率があがるのだと、そこを避けるためには取材者に対して言葉を尽くすしかないと思って現在に至る。

「北海道道」の収録は放送の1ヶ月前、2月初旬に行われた。記者のSさん、ディレクターのHくん。
事前の打ち合わせを重ねて、収録当日は、札幌からやってきた取材班と朝から夕方までじっくり撮影が行われた。食事シーンは、ちょうど数日前、りょーすけさんの実家から送られてきた伊勢うどんと郷土料理の手こね寿司を用意した。

生活の様々なシーンを撮影したなかで印象に残っているのが、Sさんからの提案の中の一つ
『りょーすけさんが洗濯物をたたむ』
シーンだった。そして、オンエアではここが使われた。
りょーすけさんが洗濯物をたたむ横で、うちの洗濯物のたたみ方は「こんまり流です」と語る私。テロップもしっかり流れた。

「こんまり」とは?─片づけコンサルタントの近藤麻理恵さんのこと、いまや世界レベルで活躍されている。

こんまり流です

1日がかりの撮影、その中からいくつかの場面と発言が編集、放送された。
インタビューはシリアスな話題にもなったし、"いまいいこと言ったかも、ここ使われるんじゃないか?"とか内心で思っていたりする部分は案外使われないもの…そして「こんまり流」が、ダントツでいまも記憶につよく残っている。
あぁやはり、私とりょーすけさんはお笑い担当だったのか、汗。
そして途中、同じ原告のEさんCさんの場面では、ものすごく感動的なエピソードがカッコよく使われていたのでした。

好奇心に溢れたような目で質問を繰り出す記者のSさん。ディレクターのHくん…パッと見おとなしい印象の彼は、この番組を作るにあたって、札幌のコミュニティの歴史など、あらゆる面からものすごいリサーチをしているようだった。

判決を目前に、いま思うと不安定だったかもしれない、リアルな自分たちの姿を記録してくれたこと。二人にはとても感謝している。













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