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メンバーシップ型雇用とジョブ型雇用

 
前回、障害のある方が雇用に参加する一つの形として、超短時間雇用モデルについて紹介しました。今回は、「メンバーシップ型雇用」と「ジョブ型雇用」の二つの雇用を通じて、様々な背景を持つ人が働くことのできる雇用制度の在り方について考えていきたいと思います。

現行の日本型雇用システム

 現在、日本の雇用慣行においては、新卒採用後、ひとつの企業にフルタイムで任期の定めなく長期雇用される「常用雇用」が一般的です。そして、常用雇用において、賃金は職務の内容や成績と無関係に、年齢に応じて次第に増えていく、年功序列の賃金体系が基本となっており、これによって長期展望のある生活保障を得ることが慣習となっています。

 この、採用時に職務や任期の定めがない日本独自の雇用慣行を「メンバーシップ型雇用」と呼びます。メンバーシップ型雇用における社員は、職種や勤務地の変更、残業などの命令があれば基本的に受け入れなければならないという暗黙の了解があり、これらの命令に対応できる人物である必要があります。

 このように、「どのような職務も果たせる」、ジェネラリストとしての社員を求めるメンバーシップ型雇用は、障害のある方が働く上での障壁となっています。

ジョブ型雇用

  「ジョブ型雇用」とは、職務内容(ジョブ)に対応する形で賃金が決まる「同一労働同一賃金」に基づいた、という考え方です。ジョブ型雇用では、募集段階から、職務の具体的な定義と、それに対応する形で、労働の対価としての賃金が明示されていることが一般的なため、「本質的な職務以外のところでの適切な変更・調整」を受けやすくなります。

 障害のある方が就労を目指す上で、本人に応じた雇用形態はどのようなものか、当たり前と思っている雇用形態は本当に当たり前かを、一度考えてみてはいかがでしょうか。


参考

濱口桂一郎 新しい労働社会―雇用システムの再構築へ
近藤武夫 超短時間雇用という新しい働き方のデザイン
内閣府 https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kaigi/publication/130605/item4.pdf


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