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金融系エンジニアの経験とWEBの仕事

振り返ってみるとまるで異なる2つの仕事である金融系の仕事とWEBの仕事。
かつてシンボリックテクノロジー時代は商工中金、東京三菱銀行、JCBの仕事に携わり、システムオリコ時代にはPCA生命(旧オリコ生命)、オリコカード、朝日生命の仕事で金融系の運用や開発に関わってきました。

PCA生命時代のワンショット。当時の副社長と

大事なこととしてはシステムは止めてはいけないというのがあり、夜間バッチでコケてしまったりすると監視センターから電話かかってきたり、数値関係を間違えるのはNGで目視で網羅テストを行って結果をExcelに細々書いていったりなんて仕事をしていました。

もちろんWEB系でも上に書いてあることは大事なのですが、もう少しシステマチックにテストを行ったり、監視も自動化して人に依存するところを極力減らすようなことにも積極的に取り組むあたりが違いだったように感じます。仕組みを作っていく段階で失敗はつきもので、許容する文化がWEBにはあるのですが、金融では失敗は絶対に不可なので新しい仕組みを導入することに関しても否定的でもあります。

ある時、オリコ時代に課長さんとシステムベンダーの大手F社でシステムのバックアップ手法についてディスカッションしていたことがあるのですが、F社が最新鋭の高速の磁気テープ的なものを提案しようとしたら、「ウチはそんな最新技術を積極的に入れなきゃいけない理由はないよ」といって話を終了されてしまったことがありました。実際高価なものでもあったので仕方がないところもありましたが、ある意味考え方のベースはこういうところなんだなと感じさせる出来事でした。

金融のやり方は2022年の今も同じなのかはわかりませんが、ある意味では昔からある技術をしっかり抑えて自分の中で型を作ることができれば定年までは生活が保証される感じかと思います。PCのOSもベンダーがサポートしなくなるまでは使い続けるようなところもあるし、COBOLを知っていればそれだけで飯が食えます(さすがに給料は右肩上がりではなくなったと思われますが・・・)。これはこれで考え方なので自分にあった職場を選ぶのがいいのかなと思います。

逆に金融系時代に培ったものでWEBの仕事の際に役に立ったこともあります。最初に習得した言語はC言語だったのですが、今やWEB系の言語のほぼすべてのベースになっています。C言語では文字列を操作するのにメモリを確保(allocate)してから文字を格納して、ポインターで渡すみたいなことをやるのですが、高級言語であるJavaとかPHPとかRubyとかPerlではそういったことを意識する必要がありません。高級言語で言うクラスとかオブジェクトという概念は構造体という言葉で定義されたりとか、1つのことをやるのに多くの手続きが必要とかとにかく開発は大変でした。かつ、そういった概念を現実世界の何かにトレースするのが難しい言語でもあったので挫折しまくりましたし、良いドキュメントもなかったので苦労もしたけど今のモノづくりの基礎にはなっています。

比較していい悪いという話でもないし、KDDIが回線障害とか、みずほが大規模障害なんてニュースを見て揶揄するつもりはないです。何となく現場の人達の気持ちもわかるのです。一利用者としてはたとえ金融系のような止められないシステムを保守しているとしても、どんどん新しいことに挑戦して、失敗しても世間が寛容でいてくれたら、未来は明るいんじゃないかって思います。

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