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「なぜ」の共有が職場をハッピーにするのはなぜか?

ある依頼をうけた若手が黙々と作業に没頭していた。話しかけるとかなり疲弊している。目的が分からないまま、ただただ単純作業を続けているらしい。そうして何の目的もないまま単純作業を繰り返すうちに疲弊し、退職をする。そういったことが今日も日本のどこかで起こっているようだ。

これは様々な会社でよくあるんじゃないかなーというイメージです。こういうことってないですか?

作業には「なぜやるのか」の共有がカギになる

部下だろうと隣の同僚だろうと、業務の依頼は「なぜ」を伝えるとハッピーになれると思います。これはタスクを依頼するマネージャーにもタスクを処理するメンバーにもメリットがあります。結果として、業務改善や人材の定着など様々な面で効果が期待できるものだと感じます。

「なぜやるのか」というのは、「イシュー」とか「論点」とかいろいろな呼ばれ方をしますが、基本的には同じことを粒度を変えて語っているにすぎないと思います。

「なぜ」が成果のアップにつながる

ひとつめのメリットは、成果のアップにつながることです。

例えば、自社のあるプロダクトの今後の成長性について投資家に説明するために、第三者的な定量データを知りたいと思っていて、「SaaS市場の規模と将来予測について調べて」とメンバーに依頼するとします。

その際に「自社プロダクトの市場性について、知る必要があるから」と目的を伝えなかったとします。そうするとメンバーはGoogleで”SaaS 市場規模”と入力して、何分かサーフィンしたあとに、もし見つからなければそのままなら「なかったです」と報告して終わりでしょう。

しかし、あらかじめ「外部の人に第三者の定量データを用いて、自社のいる市場の成長性を説明したいから」と伝えていれば、SaaS市場の規模がなくとも、クラウドサービスの市場規模など、そのまま依頼した言葉通りでなくとも類似市場のデータを持っていけると思います。

これは上司と部下の関係だけでなく、違うチームの同僚でも同様なことがおこるはずです。例えば、前工程でミスが多発する作業があるのでダブルチェックをいれるため、後工程に入るまでの時間がかかるようになるとします。ここで前工程のメンバーは後工程のメンバーに「少し前工程でかける時間が長くなるから、取りに来るのを今までより5分遅らせてくれ」とだけ伝えるかもしれません。

しかし、ダブルチェックの「なぜ」を伝えたとき、実は後工程でのある作業項目のついででダブルチェックしてしまえば、前工程でダブルチェックを足すよりトータルで効率のよいプロセスが作れるかもしれません。

「なぜ」がモチベーションにつながる

時に、非常に単純な作業をせざるをえないことはあるものです。ただただ統計本からエクセルに数字を転記するだけの仕事があるかもしれないです。A列とB列をエクセルに転記しといて!と投げられるだけなら、淡々と作業をこなしても面白くないに決まっています。少なくとも僕は嫌です。

自己コントロールのうまい人は、ゲーミフィケーションのアプローチをして、単純な作業に少し彩りを加えることで、単純な作業を単純でなくす工夫をするかもしれません。例えば100行入力するごとにラップタイムをとって、自己ベスト更新を目指していくような”ひとりチャレンジ”をする、なんていうことが考えられますね。

しかし、本来的には「なぜ」が共有されているべきで、こういう人に対して説明するために、こういう角度から分析をしたいからと伝えておくべきでしょう。その先の未来を想像することで人はモチベーションが高まると思います(これのさらにハイレイヤーのものは会社のビジョンだと思います)。

「なぜ」が創意工夫にもつながる

そして、モチベーションの高いメンバーは、工夫さえしてしまうかもしれません。A列・B列だけでなく実はG列もあったほうが面白い分析ができそうだと気づき、後工程のことを意識して、頼まれたこと以上のことをプラスαができるのではないでしょうか。

また、逆に依頼に対して、目的を確認した上で、その目的により近づくプラスαをして、依頼に応えてくれるメンバーを持つと、マネージャーは仕事が圧倒的に楽になるので、間違いなくそのメンバーを高く評価するようになります。

ただし、目的に合致しないプラスαはありがた迷惑であり、それするなら早く出せということになるから注意してほしいです。

「なぜ」を問うのは誰からでもよい

あなたがマネージャーなら、ぜひあなたが「なぜ」を伝えながら依頼をしてほしいです。しかし、あなたが依頼をされる側だとしても諦める必要はないです。タスクを依頼される時点で、ちゃんと聞けばよいだけなので。

その「なぜ」と問う数分の先行投資は、プロセスの改善やアウトプットの改善によって、必ずずっと大きなリターンをあなたの会社にもマネージャーにも、そしてあなた自身のまわりからの評価にも、よい影響を与えるでしょう。

定着のため「なぜ」を仕組化してしまうとよさそう

Wantedlyでは依頼事項のIssueを立てるとき、必ずWHYを書く決まりになっていて、これは素晴らしい文化だなと思います。もちろん形だけでは意味がなくて、ちゃんと「なぜ」を書かないと意義は薄れますが、何もないよりはずっとマシです。

そして、形だけでなく本質的な定着のために「文化形成」まで行えると強いでしょう。ただ、推進役がひとりだとキツイです。その価値を全員が認識して、「なぜ」を共有できてはじめて文化として定着していくと思います。そうすると全社がイシュードリブンで動く組織になれるでしょう。組織が急成長する前、まだ小さいうちにこういったことを始めておくとよいと思います。

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