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「できない」という思い込みに、不服従を誓うこと。

ジーン・シャープの著書「独裁体制から民主主義へ」を読みました。

そこに書いてあることの中に非常に重要なメッセージがあって、
それは私自身が多くの人に伝えたいと思っていることと合致するので、
著書にインスパイアされた身ですが、
改めて私流にシェアしたいと思います。

それは「物事が実現しない理由は、「どうせ無理」という思い込みである」ということです。
自己実現的予言ですね。

そしてその「どうせ無理」という気持ちに服従しないことが、
物事を可能にする第一歩なのです。

例えば冒頭の著書「独裁体制から民主主義へ」では、
非暴力の抵抗によって独裁体制を打破できると説いています。
そのこでいう「非暴力」とはつまり「不服従」のことを指しています。

なぜ不服従が重要なのかというと、
独裁体制というのは、人を暴力や抑圧によって支配しようとしますね。
体制は人を無理やり支配しているわけですが、
この「無理やり」が錯覚を起こさせているのです。

以前にも書いた「インフルエンサーのパラドックス」を
もう一度共有します。
インフルエンサーという存在は、その名の通り影響力のある人ですね。
ということは、インフルエンサーというのは、
影響を受けてくれる人を必要とします。

「僕は今日からYouTuberになる!」というのは勝手ですが、
それでメシを食っていけるようになるには、見てくれる人が必要であって、
見てくれる人がいない間は、あくまでも自称YouTuberです。

しかし自称インフルエンサーというのは存在しなくて、
YouTuberはYouTubeでコンテンツを発信するだけで
名乗れるかも知れませんが、
インフルエンサーとなると、ちょっとわけがちがいますね。

インフルエンスドな人々の存在なしにはインフルエンサーは生まれられず、
また、インフルエンスドな人々が去ってしまえば、
昨日までインフルエンサーだった人も、今日はただの人になるのです。

つまり、両者は互いを必要としながら運命共同体的に
インフルエンサーという存在を成立させているわけですね。

これと同じメカニズムで、独裁体制というものは、
支配者と被支配者の両方を必ず必要とします。
「僕は今日から独裁者になる!」というのは勝手ですが、
支配されてくれる人がいなかったら、独裁者にはなれません。

逆に言えば、独裁者というのは、支配者されている者たちが、
支配されることをやめた瞬間に、独裁者ではなくなるのです。

独裁者が支配者でありつづけるためには、
暴力によって少数の抵抗者を粛清し、恐怖心を植え付けることで
そのメカニズムを維持するわけですね。

みんな殺されるのは嫌ですから、服従するわけです。
けれども、もしあなたが目も耳も不自由だったらどうでしょうか。
耳元で「てめぇ、従わねぇとぶっ殺すぞ!」と叫ばれても、
目の前で拳を振り上げられても、その脅しがわからないかも知れません。

そういう相手には、脅しは通用しないという示唆ですね。

つまり不服従とは無視なのです。
脅しは怖がってもらえるから成立する行為であって、
相手がそれを怖がってくれなかったら無力になります。

この「無力化」をいかに引き起こすかがポイントで、
例えば暴力を振りかざす相手には、
その威力を無視してしまうハートの強さ、
もしくは鈍感力を持っていたら、通用しないですよね。

でも、撃ち殺されてしまったらどうするんだ?と思いますか?
いくら脅しは無視できても、
物理的な強制力を振るわれたらどうするんだ?と。

そこは人数バランスの問題なのです。
不服従の人間が少数の間は撃ち殺してしまえばいいかも知れません。

でも、ものすごい人数の人間が、例えば全国民が、
あるとき突然、不服従になったら、もう撃ち殺すわけにはいきません。
だって支配者は被支配者を必要とするのですから。

被支配者を全員撃ち殺したら、
支配者しか残っていない状態になってしまいますね。
暴力で相手を沈められるのは、抵抗者が少ないからだ、
ということがわかるでしょう。

そして、現状の体制を倒せそうだと思うようになる
分水嶺というのが存在していて、
より多くの人間が不服従を実行すれば、
自分にもできると思えるようになる。
ひっくり返すのは不可能ではなさそうだ、という気持ちになる。
そこを超えたとき、変化は指数関数的に、
つまり倍々ゲームで一気に増幅し、
現実に状況を変えていくことになるんですね。

逆に言えば、体制側は抵抗の火が小さいうちに
消してしまうことが重要であって、
完全に着火してしまえば、延焼はあっという間なのです。

先日、TFXの取り付け騒ぎ、いわゆる「破綻」がありましたが、
これだって同じメカニズムで起きているんです。
「大丈夫だろ」と思っている人の数と、
「ヤバいんじゃないか?」と思う人の数が、一気に逆転したわけですね。

革命でもなんでも、同じ心理メカニズムで起きているはずです。
ここを知っておくことが重要です。

何が言いたいかというと、変化というのは、
「変化が起きる・起こせる」ということを信じる人の数が増えると
実際に起こるのです。

逆を言えば、「変化は起きない」とか
「変化なんか起こせない」という人の存在が
変化を起こさせない主要因なんですね。

でも、それらはすべて「思い込み」の作用に過ぎませんから、
変化が起こる前までは想像もできなかったような変化が、
明日には起きている、という可能性はいつだってあるのです。

そう思えるかどうかが、最重要ポイントなんですね。

これは様々な分野、極面で言えることです。
例えばお金だって同じです。お金は、皆がお金だと信じることで
初めてお金でいられるんですね。

皆んなが「それはお金ではない」と思うようになったら、
お金ではなくなる。

お金の価値も一緒です。価値があると皆が思うから価値があり、
価値がないと思えば、価値はなくなる。そういうことです。

信号が赤だと皆が止まるのは、赤は止まれだと信じているからです。
ときどき暴走族が集団で赤信号を無視しますが、
そういう「不服従」の力が数によって増大すると、
誰もそれを止められないですよね。
もちろん、それより強大な暴力があれば話は別ですけどね。

自分の心の中でもこの思い込みの対立は起きています。
「できる」という気持ちが小さいうちに、
「できない」という気持ちがその火を消し止めることによって、
あなたは「やってもいないのに諦める」という状態になるのです。

伝えたいことの真意がわかっていただけるでしょうか?

今の世の中がいいものにしろ、悪いものにしろ、
それがそうであるのは、我々がそうと信じているからであって、
それが変わらないのは、変えられないと思い込んでいるからです。

あなたが望みを叶えているにしろ、叶えていないにしろ、
それがそうであるのは、あなたがそうと信じているからであって、
それが変わらないのは、変えられないと思い込んでいるからです。

そして、「変えられる」を打ち消す
「変えられない」という気持ちを無視することができれば、
つまり、なんだって変えることができると思うことができれば、
不可能と思えたことも、ほぼ必ず変えられるのだと思います。

「変えられない」という思い込みに不服従を誓うことです。

それが、変化させることの第一歩だからです。
これは精神論ではなくて、
人間が何かを実現するときの変化のメカニズムです。

我が家のトイレには、こんな言葉が貼ってあります。
我が子二人が小さいときに通っていた剣道の道場の先生の言葉です。

「やれる きっとやれる
 やってみろよ やろうとしてみろ

 出来る 必ず出来る
 出来ない理由を 先に探さないこと」

この言葉は、出来ないという思い込みに服従しないことが
物事を可能にするということをわかっている人の言葉です。

社会は必ず変えられます。

それは「変えられない」という気持ちを無視することから始まります。

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