答案書いた時の思考回路を解説してみた


こんにちは。Teaです。


この間、成績開示の写しが郵送されてきて、第一問も第二問も63点とれていたことが分かりました。


正直TOEFLが60点しかなかったので、どちらかでホームラン答案を書ければいいなと思っていたのですが、どちらの答案も評価されて驚きでした。

試験時間


京大法学部の編入試験は、1時半~4時の、150分間行われます


なので単純計算で、一問75分使えることになります。他大学を受けていないので詳しいことは分かりませんが、京大は一問あたりに使える時間が長めです。


めちゃくちゃ答案練ることが出来る分、その思考の深さが問われることになります。

時間配分


時間配分的には、


答案構成(20分)(20分)→書く(50分)(50分)→見直し(10分)くらいが目安です。


答案構成で書くことを考えてから、2問分一気に書くので、答案の質は、最初の答案構成の40分で決まります


ここが勝負ってことですね。


私の場合、答案構成(20分)(15分)→書く(50分)(45分)→見直し(20分)という感じで、かなり予定通り書け、少し時間が余りました。


第一問


では、ざっくりにはなりますが、答案を書いた時の思考回路を思い出しながら書いていきます。


試験が開始され、問題用紙を開き、まずはどちらの問題にも目を通しました。


昨年のようなPTAのクレイジーなくらいに長い問題はなかったので、一安心し、一問目に取りかかりました。


そして、一問目の問題の上に、「出題者と対話する」とメモして、出題意図に応えることを忘れないようにしました。


その上で、問題文を3、4回読み、「国教を定めることのメリット、デメリット」が聞かれているということを把握しました。


これで、大体の構成ができます

(はじめに、メリット、デメリット、まとめ)

はじめに

そして次に、なぜこのようなことが聞かれているのか、ということを考えます


私は、世界中で起きるテロが思い浮かび、テロが起こる度にイスラームが強調されることを想起しました。


また、イスラームといえば中東ということ、中東の人というだけで、イスラーム=テロと結びつけられてしまうこと、中東の国々では国教としてイスラームが定められていることなども、想起しました。


また、戦前までは、国教が定められている国も多く、日本では神道を信仰することを強制されていたよな~とも思いました。


以上をはじめに、のところでぶっ込もうと。


ということで私の答案構成はこちら↓

はじめに
国教→テロの影響で「悪い」という見方も多い
中東諸国→イスラーム
戦前までは、国教が定められている国も多かった。日本では神道

メリットデメリット

はじめにができたので、具体的に中身を入ります。思いつく限りの、国教を定めることのメリット、デメリットを書いていきました。


とりあえず3つずつ書くとバランスがいいので、3つアイディアを書き出しました。


デメリットはすぐに3つ出ましたが、メリットは2つしか思いつかず、まあ2問目考えてからでいいや~と、流し、中身を考えることにしました。


まず、メリットとして、1、統制がしやすくなる、2倫理的な問題も宗教の戒律に従えば良いというのが思いつきました。2問目を触ってから戻ってきて、3、選ばなくて良い、を書き足しました。


1統制がしやすくなる、に関しては、問題を読んだ時に思いついたもので、「国教によって同じ考えを人々が信仰してくれれば国がまとまりやすい」ということを書きました。


また、それだけだと面白くないので、「中東でイスラームが信仰されている国では、コーランが人々を規律しているのではなく、人々を規律するためにコーランを利用している」ということを書きました。


例えば、男性よりは腕力に劣る女性を性犯罪などから守るために、「女性は一人で外を歩いてはならない」という規範をつくり、その規範をまもらなければいけない根拠として、コーランを法源として使う、という感じ。


この話は、その週の月曜日にあった大学の中東を扱う授業で扱われていたもので、「授業受けといて良かったあああああ!」と心底思いました。


2の「倫理的な問題も宗教の戒律に従えば良い」は、コーランや聖書が、人々の道徳を定めてくれるので、倫理上の問題が存在せず、争いが少なくなる、ということを書きました。


また、聖書の「右頬を叩かれたら左頬も差し出せ」のような教訓は、我々の道徳に影響し、良心となるので、秩序を保つ面でも良いということも書きました。


最後に脳みそを絞り出して出した、3の「選ばなくて良い」では、ベンサムの功利主義を使いました。


言ってしまえば、功利主義(人間は「快」と「不快」を数値化して、「快」から「不快」を差し引いたときに、「快」が勝るように行動する)を使うことが目的で書きました(笑)


内容的には、現代は国家に縛られず個人が自由に選択できる時代ではあるが、自由に決断するときは、かなり労力を使う。


だから、国家が国教を決めてしまえば、信仰する宗教を選びたくない人にとっては、楽だということを書きました。功利主義に、選びたくない人には「不快」よりも「快」が勝るみたいな。


今思うとかなりこじつけです。(笑)


とりあえずこれでメリットが3つ出そろいました。

メリットの答案構成はこんな感じ↓


メリット
1統制がしやすくなる
国がまとまりやすい
中東でイスラームが信仰されている国では、コーランが人々を規律しているのではなく、人々を規律するためにコーランを利用しているEX)女性は一人で外を歩いてはならない→女性保護
法源として定着する


2倫理的な問題も宗教の戒律に従えば良い
コーランや聖書が、人々の道徳を定めてくれる
「右頬を叩かれたら左頬も差し出せ」


3選ばなくて良い
選択の自由が当たり前の時代であるが、選択は時に人に大きな負担をもたらす
功利主義、ベンサム、選びたくない人には「快」が勝る


次に、デメリットですが、これはもう短時間でパーッと3つ思いつきました。1、思想の押しつけになってしまう。2、国同士の対立が起こりやすい。3、女性差別等が制度化され、固定化されるです。

まず、1、「思想の押しつけ」ですが、日本の憲法に照らし合わせて、信教の自由が守られない(19条)ということを一番に書きました。


憲法など法律の視点を見せておかないと、教授達も困ってしまうので、しっかりアピールしました。


また、押しつけ、強要の例として、踏み絵、言論弾圧、不敬罪などを書きました。私は高校時代、世界史選択だったので、日本史の知識はあまりなかったのですが、中学時代の記憶から引っ張り出してきました。


また、「イスラーム世界では、地税、人頭税を払えば、他宗教も信仰してよかった」という世界史の知識から、国教の設定が必ずしも押しつけではない、ということが頭に浮びました。


テロと結びつけられやすい中東では、宗教には寛容だったということも書きました。


次に2の「国同士の対立が起こりやすい」ですが、これは世界史の三十年戦争(もとは宗教戦争でも、世俗的な戦争に変化し、多くの国が参戦したため、大戦争になった)が先に思い浮かんで書きました。


最後に、3の「女性差別等が制度化され、固定化される」は、大学の授業か予備校で聞いた「イスラームで女性が運転免許をとることがようやく許された」ということ使って、平等権、憲法14条違反ということを書きました。


他にも、キリストでは同性婚がタブー視されてたりしてる、ということもかきくわえましたね


ってことで、デメリットの答案構成はこんな感じ↓


デメリット
1思想の押しつけ
信教の自由が守られない(19条)
押しつけ、強要EX)踏み絵、言論弾圧、不敬罪など
他方、イスラーム世界では、地税、人頭税を払えば、他宗教も信仰してよかったため、寛容であるといえる

2国同士の対立が起こりやすい
EX)三十年戦争(もとは宗教戦争でも、世俗的な戦争に変化し、多くの国が参戦したため、大戦争になった)


3女性差別等が制度化され、固定化される
イスラーム、女性の運転免許
キリスト、同性婚
平等権、憲法14条違反

まとめ

とりあえず問題に対して書けることは書きましたが、宗教と言えば、政教分離(国は宗教的に中立であることが求められる)が思い浮かんでいたので、まとめのところでねじ込みました。


例えば、公明党と創価学会、首相の靖国神社参拝等ですね。


また、まとめには私見として、国教には反対ということも書きました


ということでまとめの答案構成はこちら↓


まとめ
私見
「国教」には反対
歴史を通しての国同士の対立、大戦争につながったことを考えると政教分離をするべき
政教分離・・・国は宗教的に中立であることが求められる
→少数宗教の保護
政府の堕落防止
宗教に政治的な影響を与えない   というメリットがある

公明党と創価学会、首相の靖国神社参拝等は、政教分離がなされていないのではないか

第二問


二問目に入ります。この問題はサクッと答案構成できた覚えがあります。


こちらでも、何度も問題文を読み返して、何が聞かれているのかを把握するようにしました。




その結果、構成的にはこうなるな~となり、まずは枠組みをつくりました。


(はじめに、Aの意義と問題点、Bの意義と問題点、まとめ)

はじめに


医療訴訟がテーマになっていたので、まずは基礎知識から出していこうと思い、民事責任の5要件について確認しました。


やはりどれだけ知識を持っていても、基本がなあなあだと合格させてはくれないと思いますので、このような法学の基礎知識はいつでも使えるようにしておくのが良いと思います。


違法性のところでは、


というわけで、業務上過失致死罪(刑211条)を書きました。たまたま根拠条文まで覚えていたのが幸いしました


また、医療訴訟として、何が問題になるのかということを明らかにし、その上で、専門家の存在が重要だよね~という構成にして、聞かれていることを、自分の言葉で言い換えていきました。


「はじめに」の答案構成がこちら

はじめに

民事責任の5要件について確認
(損害の発生、権利の侵害、因果関係、違法性、有責性)
違法性:業務上過失致死罪(刑211条)
過失、つまり注意義務が果たされていたかどうかが争点となる
有責性:原告が証明するのは難しい→専門家の必要性


A


この問題は、Aは○○、Bは□□が問題文に書かれていて、それぞれの意義と問題点を応えて、私見を述べていく、というものでした。


ということで、まずはAから。


Aでは、原告、被告がそれぞれ好きなだけ専門家を引っ張ってこれるというものでした。


このことから、まずは専門家がいればいるほど議論が活発になり、さらに多角的な意見を聞いて総合的に判断できると思いました。


この点を意義のところに書きました。


他方、問題点はなんだろうと考えたときに、やはり病院側と原告では資力が異なってくるという点でした。


自分に有利な専門家をたくさん引っ張ってこればそれだけ有利になりますが、やはりそれはお金がかかります。


病院は、圧倒的な資力があることが多いので、自動的に被害者である原告が不利になってしまうわけです。


↓ということで↓

A
意義
双方の視点から多角的に意見を聞き判断できる
活発な論議が出来るため、公平な判決が出やすい

問題点
資力がない原告は不利であり、雇えば雇うほど、有利な意見が出るので有利になる
病院は資力があることが多い

B


次にBです。Bは、裁判官が専門家を指名するというものでした。


これを見た瞬間、「あ、公平だな」と思い、それを意義のところに書きましたあ。


他方問題点は、すぐには思いつかず、少し考えました。資力が問題にならないので、めっちゃええやんと思ってしまったので。


ただ考えていくと、専門家がめちゃくちゃ医者に気持ちが分かる人だったり、逆に医療事故なんか起こしたヤツは全員クビだ!思っているような人だったら、公平さに問題が出てくるなと思いました。


専門家が中立であるとは限らないのです。


また、医療に疎い裁判官が指名することで、多角的に意見が飛び交うことがなくなってしまうのではないかと考えました。


例えば、外科手術の医療事故では、外科の専門家だけではなく、医者の心理状態を鑑定する、心理学の専門家が必要かもしれないですよね。


医者が手術をするときの心理状態を考慮に入れることが必要かもしれないのに、裁判官がそこまで判断できるかどうかというのは微妙なわけです。


↓ということで↓


B

意義
公平である
公費であるために原告に資力がなくても良い

問題点
裁判官が指定した専門家が、中立であるとは限らない
多角的でなくなる(外科手術の医療事故では、外科の専門家だけではなく、医者の心理状態を鑑定する、心理学の専門家が必要かもしれない、裁判官だけでは判断がつきにくい)


私見・まとめ


最後に、A、Bの意義と問題点を比較しました。多角的な意見だったらAがいい、資力の点だったらBがいい、のように。


最終的に、資力による差が出ることは公平性の点から問題なので、Bを支持しました。


↓答案構成はこちら↓

私見
Bを支持

原告側に資力があれば、Aの方が、多角的に議論できるが、やはり原告に資力が十分でないことの方が多いため、Bの方が公平である


まとめ


いかがでしたか?


私が答案を書いた時の思考回路を解説してみました。少しでもお役に立てれば幸いです!

それでは!

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