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ITエンジニアも身につけるべき”傾聴”

ITエンジニアの一般的な印象としては、コンピュータを使って、何かキーボードをぱちぱちしながら、画面と向き合って仕事している。という声をよく聞きます。私自身も働き始めの頃は、職業の話をするときには必ずそのような事をきかれました。

確かに、ITエンジニアの技術はコンピュータを使ったものが多くあるのでそういう印象自体は間違いではないとは思いますが、当然ビジネスパーソンとして”一人”だけで完結するものばかりでもないし、個人であっても組織に属していてもなんらか対人関係を持ちながら仕事を遂行いくことになります。

対人関係というと『コミュニケーション力・コミュ力』が取り上げる事が多いでしょう。その際に【傾聴】という言葉を耳にすることもあるでしょう。ITエンジニアが出会うコミュニケーションのシーンは様々ありますが、ここでは身近にある3つのシーンを取り上げながら【傾聴】とは何かを知り、読者のみなさんが実践していけるようになれれば幸いです。

はじめに、【傾聴】の概観をとらえていきます。

【傾聴】は関係構築のスキルの1つ

様々な表現はありますが、ここでは傾聴なにかと問われたら

「真心をこめて丁寧に聴く」

としたいと思います。

他によくあるのは、「十四の心を持って耳を傾ける」

私たちは、日常でもビジネスシーンにおいても一人でないことも多く、他者との信頼関係を構築しながら生活していたり、仕事や事業をしていたりします。『安心してこの人の前で心を開くことができる』と思わないと、”結婚”も難しいでしょうし、『この人は信頼できる』とならないと、”事業”を拡大する上でも業務提携などに踏み切れない、”仕事”という単位であっても任せられない・頼めない、であったりすることでしょう。

(信頼)関係構築をするためのスキルの1つが【傾聴】です。

ここで、傾聴は「人の話をよく聞けばよい」と言われがちです。まず【聞く】を【聴く】にして、その「よく聴く」とはどう「聴け」ばよいのでしょうか、という事なのです。

そして、様々なスキルがあるわけですがこれが「言うが易し 行うが難し」なのです。そして、1回、2回の【傾聴】をしたからといって関係構築が成されるかというとそういうものではなく、常に意識して行動する必要があります。

ただ、人によってはもともとの資質により自然と【傾聴】出来ちゃっている人、というのもおります。そういった方々を観察すると、周囲には信頼されていることでしょう。そういう方をお手本にすることは【傾聴】を身に付ける近道になります。

それでは、シーン毎に【傾聴】のスキルを解説していきます。

【シーン1】仕事中に声をかけられた時の対応

ITエンジニアは他の職種よりもコンピュータを触っている機会が多いことは事実かと思います。特に、プログラマーの場合は集中して、気づいた時には数時間や半日ずっと座ってコードを書いていた、なんてこともあるでしょう。

そんな時、自分の上司や自分のチームメンバ、後輩などに声をかけられることもあるでしょう。声をかけられる理由は様々でしょう、例えば、

「おはようございます。」
「〇〇〇さん、ちょっといいですか」
「〇〇〇さん、XXX件で確認したいんですが」
「〇〇〇さん、お昼ご飯いきませんか?」
「お疲れ様です、お先に失礼します。」

このような時、あなたはどのように対応するでしょうか。

ほとんどの方は「おはよう」「なんですか?」「今ちょっと行けない」「お疲れさん」と頭に浮かんだ方は多いのかと思います。

この時、大事なのはその姿勢です。

やりがちなのが”ながら”の対応です。もちろん声を掛けられるタイミングはこちらの都合がよい時ばかりではないのも確かでありますが、「ディスプレイを見ながら」「キーボードを叩きながら」の対応は相手は”真心こめて聴いてもらっている”感じはしないです。

どうするかと、

自分の作業を止めて、身体も相手の方を向け、相手を見て対応する

例の1つから、お昼を添いに来た後輩が「〇〇〇さん、お昼行きませんか?」とそばに来てあなたに言ったとき、あなたは目の前の仕事を進めなければならず、断ろうとします。その時は、

手を止め、後輩の方に身体を向け後輩の目を見て・・・
「△△△さん、終わらせなければならない事があって、残念だけど今はいけそうにないんだ。誘ってくれてありがとう、また今度行きましょう。」

というように。

このように【傾聴】とは何も「人の話を聞く(物理的に音声が耳に入ってくる)」事に集中しろ、という事ではないのです。

対話の相手が『自分の事をしっかりと見て話を聴き受け止めてくれた』と感じてもらう事、そういった相手に関心を向けた姿勢もって対話をすることが大事であり、そして相手にとっては自己肯定感を高める事にもつながります。

【シーン2】ミーティング時の聴き方

【シーン1】で『相手に関心を向けた姿勢』をもって対話をする事が大事であるとお伝えしました。次は、具体的な”態度””行動”をミーティングのシーンを例にお伝えします。

ITエンジニアも常に部屋やオフィスにこもってキーボードを叩いて、ディスプレイばかりを見ているばかりではありませんね。時には組織やチームの中数人でミーティングをすることもあると思います。

この時、他の人が話をしている時にみなさんはどうしていますか?少し思い出してみてください・・・。

他者が話をしている時に、あなたが起こす行動の中で下記のようなものがあれば、それは『相手に関心をもって聴いていますよ』というシグナルを発信していることになります。

・うなずき
・相槌(あいづち)
・表情合わせ

『うなずき』その名の通り”うなずく行為”の事です。話者のペースに合わせてうなずきをすることで、話者は聴いてもらえていると感じ、話もしやすくなります。そして、うなずいている人へは好感・親近感も抱きやすくなるでしょう。

『相槌』は、話している間に挟まれる「へー」「ほー」「なるほど」「ふむふむ」「ん-」などの短い間投詞です。ミーティングのようなシーンでははさほど大きな声では発しないものかとはおもいますが、先の『うなずき』と同時にすることで、やはり『相手は受けてもらっている』と感じます。

『表情合わせ』は、話者の内容(感情)に合わせて表情を寄せていく事です。例えば何か困ったことを相談されるような内容であれば、困った事に一緒に悩むような表情をするだとか、楽しい・うれしい話をしているのであればこちらも笑顔で先の「うなずき」「相槌」をしながら聴く、といった事です。逆に、どのような内容の話でも”能面”のように聴いていたとしたら、相手はどう思うでしょうか?というのも考えてみるとわかりやすいかとおもいます。

【シーン3】仕事や依頼を受けとる時の対応

ITエンジニアはコンピュータからのリクエストばかりをキーボードやマウスで処理するだけでなく、顧客からであったり、上司であったり、チームの仲間であったり様々な人から仕事を頼まれる事は多くあります。

そんな時にみなさんはどのような対応をされるでしょうか。

「了解です(承知しました、かしこまりました)」
「わかりました」
「いいよ、やっとく」

このような応答が頭に浮かんできた方も多いと思います。そして、普段の業務においてもきっとこれで滞りなく進められているのではとおもいます。

ただ、より【傾聴】を意識した行動はここにも取り入れる事ができます。つまり、相手が『自分の事をしっかりと見て話を聴き受け止めてくれた』と感じ、(信頼)関係を構築をしていくことができます。

お願いや、依頼をされた時、確かに自分としては「わかった」なのですが、何がわかったのか?それを相手にも伝えるようにします。

「・・・を修正し、XXXまでに〇〇〇さんあてに発注いたします」
「〇〇〇をXXXまでに作り、YYYさんに渡せばよいですね、わかりました」
「・・・をーーーに変えて、明日から販売します」

要は『相手が依頼してきた内容を復唱する』そのうえで、「わかりました」と応答することです。あるいは、依頼や頼み事をそのままオウム返しではなく、”私はあなたの内容をこう受け取ったのですが、それで正しいですか(合っていますか)”というニュアンスを含めての『繰り返し』を行うのです。

こうすることで、ただ「わかった」と言われるよりも、やはり『相手はきちんと受けてもらっている』と感じます。

これは、日々の生活の中ではレストランなど飲食店での注文を思い出すと理解が深まるでしょう。レストランではお客さんが注文した後に店員さんが「・・・が1つ、・・・が2つ、・・・が1つ、以上でご注文はよろしいですか」と必ず確認されますよね、逆にこれがないと注文した側は、ほんとに全部伝わっているのかな?と心配にすらなるかとおもいます。それと同じです。

「相手が頼んだこと」と「自分がそれを聴いてわかったこと」を正しく認識しました、と丁寧に相手に伝え返す事は、信頼関係を築くことにつながります。

まとめ

【傾聴】についていかがでしたでしょうか。「よく人の話を聞く(聞いてあげる)」というように思っていた方からすると、だいぶ違っていたのではないかと思います。特に、言語だけでなく、非言語にも注目して具体例を挙げながらお伝えできたのではと思います。

【傾聴】は関係構築するための1手段、スキルです。単純に話を聞くという行為をするだけでは関係構築を実現することはできません。相手が『自分の事をしっかりと見て話を聴き受け止めてくれた』と感じていただくという本質をとらえ、丁寧に真心こめて聴く姿勢を示すというのが大事になります。

今回はITエンジニア向けにタイトルをしていますが、ここに挙げた内容はITエンジニアだけでなく、すべてのビジネスパーソンにも採用いただけるものと思いますの是非、参考に実践いただければ幸いです。





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