サントリーニ島にて
空港からサントリーニ島の観光地であるイアという街の滞在先まで、予約していたタクシーにのってむかった。海岸沿いの道沿いを車からぼんやりと眺めながら目的地までむかっていく。草原の中に白い家々がしずかにたたずんでいる。夕方の海の波はとても激しく、岩場をこれでもかと打ちつけている。あたりは少しづつ暗くなりはじめている。
ツーリストオフィスに到着をし滞在先の部屋まで案内をしてもらう。
屈強なギリシャ人男性が僕たちの荷物を台車にのせて、険しい階段の道を運んでくれた。それに加えて屈強な犬も一緒にずっとついてきている――滞在してわかったけど、ツーリストになれている犬がここにはたくさんいて、そこかしこで走り回っては眠っている――。あたりは本格的に暗くなりはじめ、サントリーニ島の景色が輪郭となっていく。
部屋に入ると、それはほとんどといってもいいくらいの石だった。壁という壁は石だし、部屋をしきる壁ももちろん石だ。バスルームもあたり前のようにそのとおり石だ。
この部屋は石を掘って形をつくっているのだ。石が部屋になったのか、部屋のための石なのか。
そんなことを考えながら、移動の疲れを流すためにシャワーを浴びて、ひげをそり、着替えて、夕食を探しにでかけた。
2020年1月2日夜。
暗闇の街、険しい階段の中を歩いた。僕たち以外の人はほとんどみかけることもないし、どのお店もまったくというほど空いている気配がない。
それはそうだ。まだ今年はほんのついさっき始まったばかりなのだ。
奥さんが旅行前に調べていた、年始でもあいているだろうレストランにむかってみた。
“AII WINTER OPEN”
入り口には、頼もしい表札が旅行者を――オフシーズンにわざわざこの島にやってくる変わった人たち――をいかにも暖かく迎えてくれていた。
中に入ると、ひょろっとしたギリシャの人が僕たちを迎え入れていた。レストランの中はなんと人という人で溢れかえっていた。ほとんどのこの島に滞在するツーリストが、この年の初めに美味しい料理を食べるために、ここに呼び込まれて入っていった様子だ。
ギリシャサラダと、スパゲッティとワインを注文した。サラダにはたっぷりとチーズが添えられて、トマトやキュウリと一緒に美味しくたべた。隣のひとがたべていた、ラムのグリルがとても美味しそうだったので、それも追加して注文した。ラム肉はやわらかく、香りが風味として自然とそのお肉についてるようで、柔らかく、やはりとても美味しい。こんな美味しいラム肉を食べれるとは。
食事をすませて、階段を気をつけながら歩いてホテルに帰った。
石で造られた部屋の中はとても暖かく、想像していた厳しいギリシャでの冬よりも随分と心地よさそうだ。
❍島のいたるところにATMがあるので、あわてなくても大丈夫。
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