新型コロナ対応で成功した台湾から何が学べるか
今、「新型コロナウイルス(SARS-Cov-2)」による「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」の封じ込めに成功していることで話題になっている国があります。台湾です。
日本と比較するとよくわかります。
PCR検査者数
日本:6519人
台湾:12393人
感染者数
日本:284人
台湾:42人
死者
日本:6人
台湾:1人
いかがでしょうか?
こうやってデータを比較しただけでも明らかに違いますよね? 台湾の方が中国に近いにもかかわらず、圧倒的な数字です。
台湾は疾病を専門とする部署としてCDCがありますが、データの見せ方も全然違いますよ。トップページそのものに国民が知りたい情報がまとまっているのです(英語対応)。
日本はむしろ台湾やアメリカのCDCのような、力もある独立的な疾病対策部署がなく、首相官邸とか厚労省とか国立感染症研究所とか、色んなところに色んな情報が点在しています。
だから、省庁を横断する一括した行動は、首相しか取れません。無理があるのも当然です。
台湾政府のとったアクション
台湾が凄いのは、CDCがあることだけではありません。
行った施策も凄いですよ。その例の一部を簡潔にまとめると、
・自国の検疫体制を強化
(日本はWHOの意見待ち)
・とにかく初動が早い
(武漢発表の12/31に即日対応、日本は正月休み開け笑)
・とにかく素早く手を打つ
(1/2に専門家会議して、決まったことは即日実行)
・とにかく素早く情報公開
(1/8から感染者情報を毎日公開)
・国民生活を考えた施策
(休校時に親が休むのを拒否した企業は罰則)
・SNSデマも素早く対処
(各省に専門チームが存在し、1時間以内に対処)
スゴさが特にわかりやすいのがマスクの管理。
素早く輸出制限をかけるだけにとどまらず、国がマスクを買い上げて、薬局に安く販売させる。高額転売者には処罰。国民がマスク購入時には、枚数制限をつけるだけでなく、ICチップ付き健康保険証にマスクを渡した記録を入れることで買い占めを防止。
それだけじゃなく、ネットで「どの店にどれだけマスクの在庫があるか」も確認できる。
SNSデマの対処も凄い。
日本では先週、「トイレットペーパーがなくなる」というデマがありましたが、台湾でもありました(2月中旬ね)。しかし台湾政府はすぐさまSNSで逆情報を流して速効対処(しかもユーモアを交えて)。犯人も逮捕。
優等生ですね。
日本に絶望しちゃダメですよ?
確かに日本ダメダメに感じますが、スピード感がない政府なのは今に始まったことでもないですし・・・逆にそれだけ、SARSで苦労した台湾は危機感があったのです。
SARSから教訓を得た国
台湾は、WHOに加盟していません。「台湾は自国の領土」と主張する中国が国連*に加盟した時に台湾が追放されたからです(アルバニア決議)。
*WHOは国連の機関
そこから台湾もなんとか国連・WHOへの復帰を目指してきたが叶わず、ついに隣国中国本土でSARSが発生。
SARSウイルスやその対処法などの情報を持っているWHOから情報をもらえず、台湾は苦労をしました(WHOとしては中国に渡したことで済んでしまった)。
「SARSは翌年の7月に終息した」のですが、最後まで苦しめられたのが台湾なのです。情報がないために。
だからこそ今、台湾はITに強い若い世代の力を活用し、「情報」を上手に使い、ウイルスによる人的被害のみならず、社会的な影響を最小限に抑えることに成功しているのです。
日本にとって、SARSは文字通り「対岸の火事」でした。
それがまさに今、自分の首を絞めるきっかけになっているのです。
しかし、台湾にとってはそうではなかった。
当事者意識を持つことの大切さをしみじみと感じますよね。
そして、そういうことを言ってきた「専門家」がちゃんとリスペクトされる社会になれないといけないのでしょうね。そうじゃないから、日本には、CDCがないのでしょう。残念なことに。
台湾の対応を詳しく知りたい方はこちら。
ITを使ったスマートな対応の裏には、「公僕の中の公僕になる」と宣言したIQ180と言われる天才ハッカーがいたというのも興味深い話です。
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