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接触確認アプリと、プロダクトを「育てていく」文化

接触確認アプリは、ご自身の職場で必須にしましょう!という呼びかけです。このアプリを活用しないというのは、過激に言えば、インターネット文化、ボランタリーな文化への冒涜じゃないかと思ってしまうからです。

<メッセージ>
・自分が感染しないためのアプリではなく、感染の可能性があるときにそれを広げないようにするアプリ。

1国1アプリの制限があるため、国民にとっては唯一の選択肢。
・このプロダクトとOSS(オープンソースソフトウェア)文化を育てることができるかは私たち次第。

変異のスピードが速い新型コロナウィルス

かなり手ごわい。感染しても発症せず無症状。
さらに、新型コロナとの戦いは、ワクチンと治療薬ができるまでの戦いだとすれば、それが1年先なのか3年先なのかはまったく分かりません。
ワクチンが完成しても製造・流通・接種まで時間がかかります。さらに、ワクチンは1種類では済まないという話も出ています。

変異はするし、発症せずに感染だけ広げていく。今も変異し続けています。

”東京大学 先端科学技術研究センターの児玉龍彦名誉教授は16日に、国会で「新型コロナウイルスは、変異のスピードが速い。武漢型、欧米型など次々進化している。国内では、東京型・埼玉型が多い。1人の人から2種類のウイルスも出ている」と発言した。”
二木教授「今のこのあたりの変化は、インフルエンザのA・Bほどは大きくないですが、これらには、小さな変化があって、それが5,000種類以上あるといわれています。その中で、大きな変化が起こって、そういうウイルスが非常に人に対して感染力を強めてくると、今言われたように、ワクチンが作っているものがだめになるので、別のものを作らないといけない、そういうことにもなりかねないということですね」

そんな中、約2ヶ月の緊急事態宣言を解除して、わずか2ヶ月でこの感染状況。冬に来ると言われている第二波はいったいどんなものになるのか想像つきません。

職場での感染が多い

もちろん、マスク、手洗い、ソーシャルディスタンスに配慮した生活をしていますが、職場やリモートワーク先や滞在先や移動中に、感染者と接触している可能性があります。
どこで感染が発生したかというデータでは、職場が4月も7月も多く、その比率は高まっています(JX通信社、7/22調べ)。

”いわゆる「夜の街クラスター」の多くは施設を特定した発表がされていないので、それらとは比較できません。ただ、複数人の感染が公表されている施設では、4月と同じく、職場の件数が最も多いと分かりました。”
出典:新型コロナ 隠れたもう1つの感染源「オフィス」は大丈夫か(日経ビジネス、2020年7月22日)

感染者が多数発生したとき、どこがクラスターで、だれが濃厚接触者かリンクを追うことがたいへん難しくなったのがこの春でした。そこで日本はじめ各国で取り組みが進んだのがITの活用です。

実際、様々な場所で活用を始められています。
当たり前ですが、ITツールがある時代、震源地や濃厚接触者を探すのを人力でやるものじゃないですよね。
だから、いろいろな場で活用が始まっています。

”名古屋市内のホテルでは安心して滞在してもらおうと国の接触確認アプリ「COCOA」をインストールした客に500円分のカードをプレゼントする取り組みを始めました。”
出典:Go Toトラベル 接触確認アプリで宿泊客に特典のホテルも(NHKニュース、2020年7月21日)

イベント参加者においても、マスク着用と同様に、アプリのインストールを

7月8日、政府はイベントの開催制限緩和にあたり、イベント参加者と主催者側にそれぞれ注意喚起すべき項目を提示。
”参加者には症状のある場合は不参加のほか、▽接触確認アプリのインストール▽熱中症対策などを除いて原則マスクを着用▽「打ち上げ」などでの感染リスクのある行動の回避――などを求めた。主催者側に対しては、入場時の検温の実施や、観客やスタッフの移動に伴う感染防止対策などを行うよう示した。 ”
出典:「打ち上げ」回避、接触確認アプリ導入…政府がイベント開催緩和の留意点通知(毎日新聞、2020年7月8日)

日本のインターネットの父 村井純教授、「店員もお客さんも全員アプリなしでは入店できない。これが安心で得になるアプローチ」

”「プライバシーに不安を持っている人が、安心して使えるように作ったアーキテクチャだ」(慶應義塾大学教授 慶應義塾大学サイバー文明研究センター 共同センター長 村井純氏)”

”村井氏は、接待を伴う飲食店やライブハウス、病院、ビュッフェレストランといった、クラスタが発生するところだけに接触確認アプリを導入するというアプローチを提案した。 「お店の店員は全員アプリを入れていて、お客さんもアプリなしでは入店できない。これだけきっちりすれば、クラスタの発生するところは100%アプリ導入を実現できて、普及させることができるのではないか。こうした方が安心で、得になるというアプローチ」(村井氏)”
出典:「接触確認アプリ」の課題 プライバシーは守られるが、利用促進にハードルあり(ITmediaMobile、2020年6月19日)

接触確認アプリ開発の経緯 

日本、シンガポール、香港など中心に200人以上の有志ボランティアが取り組んできた

この開発は、民間エンジニアボランティアがこのために春から取り組まれてきました。
そんな中、大きなターニングポイントになったがこ1国1アプリというルールでのGoogle,Apple社による機能のAPI提供。

”両社(Google、Apple社)が提供する機能と連携するためのAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を接続できるのは各国の保健当局に制限され、アプリの数も1国で1アプリと決められていた。”
出典:接触確認アプリ」開発の紆余曲折、平内閣府副大臣が語る(日経ビジネス、2020年6月2日)

この経緯や影響が、詳しくはこちらに書かれています。
利用者が、スマホの近距離無線通信「ブルートゥース」をオンにし続ける仕組みにせざるをえず、電池を消耗するなど使い勝手が悪くなる、この問題を解決したグーグル・アップルの共通規格が1国で1アプリとなったのです。

そのため、民間有志でのプロジェクトから政府主導となります。

”流れが変わったのは、グーグルとアップルがアプリのために開発した共通規格の運用を各国政府機関に限定すると公表した4月末だ。
これに先立つ同月10日、両社は規格を開発すると発表。この規格を使わないと、利用者はスマホの近距離無線通信「ブルートゥース」をオンにし続ける仕組みにせざるをえず、電池を消耗するなど使い勝手が悪くなるため政府が規格の採用を決定。CFJもこの規格にも対応したアプリの作成を進めていたが、4月末のグーグル・アップルの発表で、先行した民主導のプロジェクトの実現に暗雲がたちこめた。”
出典:コロナ接触確認アプリ、導入1カ月遅れの曲折(日経新聞、2020年6月1日)

とはいえ、この核になっているものは、日本、シンガポール、香港など中心に200人以上の有志ボランティアが作ってきたものです。

”その核となっているのは、個人を中心に集まって開発されたオープンソースのプロジェクトだ。ビジュアル面など、100%そのまま使われた訳ではないが、基本的な部分は共通と考えていい。

プロジェクト名は「COVID-19 Radar」。エンジニアを中心とした有志が集まった。アプリの仕組みや動作条件、ソースコードからデザインに至るまで、一般的なオープンソースプロジェクト同様、GitHubで成果が公開され、修正提案や協力依頼が交わされ、開発が進められてきた。

その性質上、プロジェクトに関わる関係者の数を正確にカウントするのは難しいが、日本とシンガポール、香港などを中心に200名以上の人々が参加しているという。 ”
出典:コロナ接触を通知する日本版「接触確認アプリ」を作ったのは誰か?…「6割普及」への挑戦、ビジネスインサイダー、2020年6月16日)
”コミュニティから生まれたオープンソースのプロジェクトとはいえ、もちろん、起点になった開発者は存在する。日本マイクロソフトに所属する廣瀬一海さんだ。
廣瀬さんは同社のAzure(アジュール)エンジニアで、「デプロイ王子」の愛称で、さまざまなイベントなどにも登壇する業界の有名人だ。しかし、このプロジェクトはマイクロソフトでの活動とは関係なく、完全に個人的で始めたものだった。
そして今に至るも、マイクロソフト社員としての業務ではなく、個人の活動としてコミュニティに参加している。
冒頭で述べた「マイクロソフトが受注した、という情報は誤り」というのは、この点と関係している。”
出典:コロナ接触を通知する日本版「接触確認アプリ」を作ったのは誰か?…「6割普及」への挑戦、ビジネスインサイダー、2020年6月16日)

そして、2020年6月19日にリリースされましたが、普及については、理想的な状況ではありません。不具合もありましたがアップデートされています。

”アプリのダウンロードサイトには、「ご利用いただくアプリは、最初の公開日から1カ月間は、試行版(プレビュー版)になります。」とありますが、iOS版アプリのダウンロード画面にもアプリそのものにも、試行版であることについて説明がかかれておらず、試行版であることを知らずにインストールしている人も多いと思います。”

「ともに考え、ともにつくる」

”公助のサポートや共助の精神でボランタリーに頑張ってきたメンバーが責任追及の矢面に立ち、だれも守ってくれないようでは、緊急時の初期段階で日本のために貴重なリソースを提供しようと思う人達はいなくなってしまいますし、ようやく日本で進み始めた政府によるオープンソース活用も後退してしまいかねません。(行政にとってオープンソース活用が重要な理由はこちらの記事をご一読ください。)

新しい事にチャレンジする際は、失敗がつきものです。批判するのは簡単ですが、多くの問題にはわかりやすい悪者がおらず、構造的な課題があります。それを改善するための王道は、腹を割って話し、相手の立場も理解し、建設的に考え、改善策を出し合うことです。

エンジニアである皆様、プロフェッショナルであるならば、OSSになっているアプリの不備を列挙することに終始するのではなく、このプロジェクトをコードで支援し、不具合を一刻も早く解消し、国民に安心して使ってもらえることを一丸となって目指しませんか?

「ともに考え、ともにつくる」が Code for Japan の理念です。皆でこの素晴らしいムーブメントを応援し、育ていける未来を願ってやみません。”

出典:接触確認アプリの不具合という問題の所在は、OSSコミュニティではなくリリースプロセスの不備にあるのでは(Hal Seki、2020年6月22日)

不具合もありましたが、アップデートにて対応されています。

どうして、接触確認アプリのインストールが重要なのか?

感染症には「みんなが自分さえ良ければいいという考えでは、全員が幸せになれない」という特性がある

”感染症には「みんなが自分さえ良ければいいという考えでは、全員が幸せになれない」という特性があります。新型コロナウイルスは、人類の幸せとは何かを我々に哲学的に突きつけたようなものです。「マスクをしても自分への感染を防止できるわけではない」ということではなく、「自分が感染者だったときに他人に感染を広めないために何が効果的か」を考えるというのが基本になります。みんなが利他主義をどれだけ持っているかが、新型コロナを封じ込められるかどうかのカギとなるのです。”

自分が感染しないためのアプリではなく、感染の可能性があるときにそれを広げないようにするアプリ

”接触確認アプリは、自分が感染しないためのアプリではなく、感染の可能性があるときにそれを広げないようにするアプリですが、その目的がユーザーに正しく理解されているでしょうか。また、繰り返しになりますが、このアプリで政府や厚労省が感染者のデータを集めることはありませんし、アップルやグーグルが感染者を把握することもありません。そのことを正しく認識している人はどれぐらいいるでしょうか。”
出典:普及率3%の「コロナ接触確認アプリ」を浸透させる3つのカギ(ダイヤモンド・オンライン、2020年6月25日)

1国1アプリの制限があるため、国民にとっては唯一の選択肢

”これがマスクなら、業者選定の過程で不透明な部分があったとしても、お金は無駄になりますが、国民は別のマスクを代わりに購入して使うという選択肢があります。しかし、アップル/グーグルが開発した仕組みを使う接触確認アプリに関しては1国1アプリの制限があるため、国民にとっては唯一の選択肢となります。委託先の選定は、マスクよりずっと、国の命運を左右しかねない大切な判断のはずです。”

今までのIT調達とは異なり、プロダクトを「育てていく」発想がとても大切

”また「アプリを使い続けてもらう」という点でも、別の懸念があります。このアプリが従来の政府によるIT調達と大きく異なるのは、「利用が義務化されていないのに、数多く使ってもらえるかどうかで社会の将来が決まる」点です。”
出典:普及率3%の「コロナ接触確認アプリ」を浸透させる3つのカギ(ダイヤモンド・オンライン、2020年6月25日)

OSS(オープンソースソフトウェア)文化を育てることができるかは私たち次第

”技術ありきではなく、社会的な意義や目的があって、そこに技術を使うのだ。
明らかにクリエイティブな行動。どんな人たちが使うのか?何人くらいの人たち使うのか?など、たくさんたくさん想定して、たくさんのデータを処理するための培ってきた知識や最新技術力を、「ボランティア」で、開発に関わる文化がある。

それを「OSS文化」という。
OSSとは、オープンソースソフトウェア(Open source softwareの頭文字をとった略語)だ。”
”こんな人たちと仕事がしたい。こんな仕事の仕方がしたい。こんな人たちが育つ環境に貢献したい。
だからわたしはこの業界に身を置いてると言っても過言ではない。”
出典:否定する前にちょっと知ってほしい話(Kumiko Sasaki、2020年6月20日)

Q&A

なぜアプリを入れてほしいのか?

”なぜアプリを入れてほしいのか。それは(1)大勢が使うことでアプリの有用性が増し、(2) 個人のプライバシー侵害などのリスクは考えられる限りで最小限であり、(3)このやり方がうまくいかない場合、個人のプライバシーを侵害する政策が打ち出される懸念があるからだ。”
”新型コロナウイルス感染症の拡大に伴って、よく言われていることは、「日本でも感染症拡大を防ぐ立法措置が必要」ということだ。韓国や台湾は新型コロナウイルス感染症の拡大をうまく防いだが、その背景には感染拡大防止のために国民の個人情報を政府が活用できたことがあったといわれている。「日本でも私権(プライバシーなど)を制限する法律を作って感染症拡大を防いだ方がいい」という意見は根強く存在する。
 一方で、個人の自由とプライバシーを最大限尊重する接触確認アプリがすでに目の前にある。皆さん一人一人の考え方は同じではないだろう。例えば、積極的に政府が個人情報を取得して感染症対策に役立てた方がいいと考える人もいるだろう。一方で、なるべくプライバシーを保護する形で感染症拡大を防いでほしいと考える人もいるだろう。
 考え方はさまざまだろうが、次のステップとして個人の権利の制限(プライバシー侵害)に進むことになる可能性はある。その前に、個人の自由とプライバシーを最大限尊重する現状の「接触確認アプリ」の可能性を最大限引き出してみるべきだ。”
出典:それでも接触確認アプリを入れるべき3つの理由(ITmediaビジネスオンライン、2020年6月24日)

バッテリー消費は?

”Bluetoothを使うことから、ネット上ではバッテリー消費を危惧する声も見られた。ただ、COCOAでは低消費電力なBluetooth Low Energy(BLE)を採用しており、それほど大きな影響はないと思われる。試しに、iPhone Xsの[バッテリー]で、Appごとの24時間のバッテリー使用状況を見たところ[ヘルスケア]が4%、[接触確認アプリ]が1%となっていた。 ”
接触確認アプリ「COCOA」を使おう。いますぐできる新型コロナ対策(Impress Watch 2020年6月21日

セキュリティは?

スマートフォンのOSを最新バージョンにしておくことです。

さらに詳しいことは以下。26のイエスとノー

アプリのダウンロードはこちらから

アプリのインストール方法
・App StoreまたはGoogle Playで「接触確認アプリ」で検索。

Google Play
https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.go.mhlw.covid19radar

App Store
https://apps.apple.com/jp/app/id1516764458

詳しくは厚労省のサイトへ。

画像1

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/cocoa_00138.html

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