APS-C vs ラージフォーマット
GFXシリーズは相対的に安いと頭で分かっていても絶対的な金額はやはり高い。
X-T5はマップカメラで約23万円だが、GFX100Sの価格と比べればT5を2台とレンズ1〜2本を買えることになる。
金額が金額なだけに100Sと決めてもまだ不安のようなものは残るので、X-Pro3とGFX50S IIで撮り比べをしてみた。どちらもX-T5やGFX100Sと比べると低画素機になるので、傾向は似てくるはずだ。
ここで明確な違いが得られれば『やはり100Sしかない』と決心できるだろう。
今回は条件を揃えやすいGF120mmF4とXF90mmF2で撮影した。
予想はしていたがグラデーションの再現能力が違う。Pro3の方はシャドーのグラデーションが乏しく、比較するとのっぺりした印象を受ける。
バラのように色が濃いものはAPS-Cが不利だろうと思っていたが案の定。カラークロームエフェクトを使えばまた違うのかもしれないが、GFXにも搭載されているので条件を揃えるなら差は縮まらない。
最低感度が異なるのが少々厄介で、GFXの方を間違えてISO100にしてしまっていた。X-Pro3はISO160なので、絞りとシャッター速度を合わせると僅かにPro3の方が明るくなる。
ちなみに絞りは全てGF120mmF4の開放に合わせてF4に設定している。
これは逆に差が分かりにくかった。これでも等倍表示だが、写真のみの表示にしないとまず判別できないしアップロード時に縮小されてしまっていたら完全に分からなくなってしまう。
元のスクショでは濃い赤からオレンジ、黄緑へのグラデーションに注目すると判別しやすかった。
ぱっと見では判別できなさそうだが、よく見ると違うのがこれ。中央やや右上のがく中心部は同程度の露出だが、がくの外側は明るさが違う。
背景は完全に白飛びしているので露出制御はかなり難しいと思うが、センサーサイズという物理性能で描き切ったという印象。
ちなみに引きで見るとかなり難しい。露出を揃えるためにXF90mmもF4まで絞ったことでボケ量に差が出てしまった。
分かる人が見ればボケ量でどちらがGFXか当てられるだろう。
解像力に関しては別次元という他ない。おそらくX-T5とGFX50S IIを比べれば解像感はかなり近いと思う。ただしGFX100Sを比較対象に選べば上の写真のような明確な差が出てくるだろう。
この差に40万円以上の価値があるか、と考えるとそこまでの差はないと思う人が多いのは分かっている。まず間違いなく理解されない違いだ。
俺自身も引きで見たら満足できると思うくらいにはAPS-Cの画質に不満はない。結局どこまで突き詰めるかなのだ。
自分が美しいと思ったものをどのレベルで残したいか。それに尽きる。
X-T5のターゲット
使えるレンズの選択肢は多い方が良いと思う人
明るいレンズを使いたい人
機材をコンパクトにまとめたい人
GFXシリーズのターゲットについては言うまでもなく、画質至上主義の人だろう。おそらくX Processor5 HRはAPS-Cをメインにしている人にとって隔世の感がある画質だと思う。比較対象がなければ十分満足できる画質だ。
一方ラージフォーマットを体験すると「サイズの割に」という接頭語が付くのではないか、という気がしてきた。
明確な違いか、と問われれば微妙な差かもしれないと答えるが、どのシチュエーションにおいても階調再現はGFXが安定している。これが全てだろう。
でかい、重いということは歳を取ってからでは使えない可能性もあるということだ。今しか使えない、という点も加味するとやはり俺にとっての最適解はGFX100Sなのだと確信した。
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