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GFX50S IIはいいぞ

先日の日光で撮った写真を改めてRAW現像してみたが、想像以上の写りをしていた。これがフルサイズ機でも同じなのかは使ったことがないので分からないが、APS-CのXシリーズでは到達できないことだけは確信した。

もちろんあれはあれで良いカメラが多いんだけど、最近バリアングルばっかでそれはちょっと微妙。とバリアンをディスる話は本題じゃないのでスルー。

アホみたいなダイナミックレンジ

富士フイルムのカメラといえばフィルムシミュレーション。キヤノンを使っていたときは画作りの機能なんて全く意識していなかった。ポートレートとか風景とかそういう名称で、使う場面が決まっているものだという印象が強かったのもあると思う。

フィルムシミュレーションはその名の通り、フィルムの発色を意識した画作りで「これに向いてますよ」とは書かれているけど正解があるわけじゃない。
Velviaでポートレートを撮ってもいいし、Eternaで風景を撮ってもいい。色味もまた独特でRAW現像では再現しづらい。

当然GFXシリーズにもフィルムシミュレーションは搭載されている。が、RAWが強すぎる。
ダイナミックレンジの広さを体感するのはRAWしかないからだ。

Lightroomで撮影したRAWを開いたところ。右上のヒストグラムでも分かる通り暗い部分が多い。
もともとこれは画角のチェックも兼ねて撮ったテストカットでNDフィルターもまだ付けていなかった。

同じ写真だがシャドーと黒レベルをそれぞれ+100にしている。滝が白飛びしないようにアンダーで撮っていたが、それでもシャドーは黒潰れしていなかったのだ。

ちなみに露出はF13、1/50秒、ISO100。つまりXシリーズでお世話になっているダイナミックレンジ拡張は使っていない。

シャドー部分を拡大しても潰れてはいないから当然ノイズはない。何なら十分すぎるほどに解像している。
少なくともXシリーズではこうはいかなかった。

滝が白飛びしないようにすると周りの風景は黒潰れし、黒潰れしないようにすると滝が白飛びするという二者択一だったのだがこれを何とかしようと思って角形フィルターを買ったのだ。

あれ?わざわざ角形フィルター使わないでもいいんじゃない?と思ってしまったくらいには衝撃的。
円形フィルターより輝度差を均しやすいので使わない理由はないが、必須だったものがどう撮るかによっては不要になるのは大きな差だ。

十分すぎる解像力

ダイナミックレンジの広さはお分かりいただけただろう。とはいえダイナミックレンジを広げるだけなら画素数を落として画素ピッチを大きく取ればいい。
しかし画素数を落とすと精細感も落ちるので、単に低画素にすれば良いというわけでもない。

御託はもういいね。
竜頭の滝を観瀑台から撮った一枚で、これはRAWを現像しているんだけども明瞭度やテクスチャは+10も振っていない。

クロップ前がこの写真。これだけ切り取っても1枚の写真として成り立つ画質。クロップした時の精細さは紛れもなく高画素機の解像力だ。

つまり低画素機の広ダイナミックレンジと高画素機の解像力を併せ持つのがGFX50S IIだと言える。え?何それ最強じゃん。

ちなみにレンズはキットの35-70mmなので、特段写りが良いわけではない。500gを切るコンパクトさを考えれば、描写に全振りはしていないはず。絞ってるからそこまで差はないかもしれないけど。

難点はレンズラインナップ

唯一の欠点は純正レンズのラインナップくらいだろう。広角域は単焦点でGF23mm、ズームでGF32-64mmでXF10-24mmにあたる超広角ズームがまだ出ていない。来年20-35mmが出るようなのでひとまずはこれ待ち。

だが明るい広角の不在は如何ともし難い。高精細かつ広ダイナミックレンジの特性が生きる星景写真で使えるレンズは、ロードマップを見ても現状開発予定がないことしか分からない。

他社製レンズでも中判用はあまり明るいものが多くなく、フルサイズ用は広角域だとケラレやすいようだ。
もっとも点として写すのを諦めるか、赤道儀を使えば何とでもなる問題ではあるのだが。

風景において最強

言いたいことはつまりこれなんだが、いやいや1億画素のGFX100シリーズがあるじゃないかという意見もあるだろう。

確かに精細さでいえば画素数は高いに越したことはない。しかしダイナミックレンジやRAW現像する際のデータサイズなども含めると5000万画素がベストバランスだと感じる。
実際現像の処理はXシリーズと体感的な差はなかった。型落ちの2018年モデルのMacBook Proでも十分なレベルである。

30万円近い金額差を考えると、50s IIと中望遠域のレンズを同時に購入する方が撮れる風景の幅が広がるだろう。
もちろん絶対的に見れば高価なカメラだが、フルサイズミラーレスのフラッグシップ機と比べても同等か安いくらいだ。

自分の場合はX-H1とXF100-400mmを下取りに出し、約33万円で購入できた。
EOS R5のボディが43万円、Z 7IIでも35万円。高解像機のα7R IVは33万円、低画素機のα7S IIIで40万円だ。下取りがなければ49万円だったが、レンズも込みと考えればフルサイズミラーレスと大差ない。
あとは何を撮るのか、それだけだが風景写真を突き詰めるのであればコスパの良いカメラだと確信している。

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