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肩の緊張-その全体像 by ヴラディミア・ヴァシリエフ

「Tense Shoulders - The Bigger Picture」の邦訳

クラスやセミナーで生徒を観察したり、システマ・ビデオ・プログラム(SVP)でインストラクターを評価したりする際に、最も多く見られる制限は肩と腰の緊張です。

この記事では、肩の緊張について見ていきましょう。肩の緊張がいかに私たちの動きや戦いにおける可能性に深刻なダメージを与えるかを理解する必要があります。

1. 残念ながら多くの人にとって、肩に力が入っていると腕を自由に上げることができず、良い姿勢を保つことができないことが明らかになっていません。そのためにバランスやパワー、正確性などあらゆる面での問題が生じます。

2. 戦いの最中に肩が張る姿は、あなたの恐怖心や緊張感のシグナルです。それが不本意ながら、より多くの攻撃性を引き起こすのです。

3. 肩が緊張していると神経の伝達速度が大幅に低下し、腕や手の感度が悪くなります。

4. 時間の経過とともに血行が悪くなるため、腕の組織はしなやかさを失います。その結果、肩の緊張は前腕の「乾燥」と小さな拳につながります。

5. 肩が緊張すると戦いや運動での疲労が早くなり、持久力が低下します。

6. 緊張した肩は動きに誤差を与えてしまいます。滑らかで安定した動きではなく、弱い誤差が生じます。実践における距離感覚が歪んでしまうのです。

7. 緊張で固定された肩は誤った安心感を与えます。自分を強く感じるかもしれませんが、それは構造的にもろく、実際の戦いでは簡単に破壊されてしまいます。

8. 肩甲骨の緊張は蓄積されがちです。蓄積されると体のすべての関節を痛める可能性があります。

この問題を解決するにはどうすればよいのでしょうか。

まず、この問題の存在に気づくことです。そして、その問題を解決しようという気持ちを持つことです。システマが提供するドリルの中でも、ゆっくりとしたコア・エクササイズは緊張を緩和し、分解するのに最も適しています。呼吸をしながらのゆっくりとしたプッシュアップ(『Let Every Breath』の第5章参照)は、素晴らしい練習方法です。

プッシュアップの姿勢をとったらすぐ、動き出す前に呼吸によって肩の緊張を取り除きます。徐々に範囲を狭めていき、緊張や刺激をスムーズに取り除いていきましょう。弱い要素、つまり下降時と上昇時のレンジの中で最も難しい部分に気をつけます。

ゆっくりとしたプッシュアップと肩の回転を組み合わせます。下りと上りで前と後ろに回転させます。プッシュアップをしながら肩を回転させることができない場合は、上下、前後に動かすことから始め、技術の向上に合わせて回転させるようにします。

近い距離でプッシュアップの練習をします。片腕と両腕をスムーズかつ正確に使って相手をコントロールするのです。徐々にストライクに進みます。押したり、打ったりしたときに、肩への反発がないようにする。(第7章「システマを極める ストライク」第7章 参照)

もう一つの良いドリルはスティックサークルです。長い棒をなるべく広い幅で両手で持ちます。そのままゆっくりと頭を超えて背中側へと回していきます。できるだけ背中側へとおろして無理のない範囲でストレッチをします。

腕を頭の上でゆっくりと回転させ、できるだけ後ろに回して、無理のない範囲で良いストレッチを行います。

グラウンドムーブでのストレッチも効果的です。立った状態から地面に倒れ、手を使わずに立ち上がります。手を使うことなく地面をいろいろな方向に移動したり、ローリングをしたりします。可能な限り動きは滑らかに、肩は緊張させず、背中をまっすぐに保つようにしましょう。そうすることで、身体はより柔らかく、より強く、より機敏で、まとまったものになります。

肩を下げて背筋を伸ばすような姿勢のエクササイズをしましょう。大胸筋を伸ばし、菱形筋を鍛えてます。上腕二頭筋を鍛えすぎず、上腕三頭筋に負荷を与えましょう。トレーニング中だけでなく、一日中、背筋を伸ばします。歩いているとき、立っているとき、運転しているとき、パソコンに向かっているとき、食事をしているとき、ソファに座っているときなど、常に姿勢に気をつけましょう。

肩の緊張を和らげ、姿勢を良くするための優れた方法は、マーシャルアーツ的な体の健康法です。ボディ・ウェイトマッサージと、組織のアニーリング(焼きなまし)はビデオで紹介されているように、毎回のクラスで行うことができます。

The Combative Body part 2”をDVDまたはダウンロードフィルムでご覧ください。

ほとんどのスポーツは「勝ちたい」という気持ちを煽ることで必然的に体、特に首や肩の緊張を招くことを覚えておいてください。またネガティブな感情やストレスがあると、頭や肩が引きつってしまいます。

意識して、呼吸を整え、リラックスして、大局的に見てください。システマで言うところの "Train hard, breathe easy(トレーニングはハードに、呼吸はやさしく)“です。


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