noteで学べるシステマ講座 第41回「呼吸したら答えがわかる」

noteで学べるシステマ講座
第41回「呼吸したら答えがわかる」

システマの核は呼吸です。

鼻から吸って口からフーっと吐く。それだけ。

腹式呼吸とか胸式呼吸とか意識する必要はありません。呼吸の長さやリズムの指定もありません。わずかでも心地よくなれば、正解です。とても簡単な呼吸法です。こんなに簡単なのは、いつでもどこでも誰にでも使えるようにするためです。一度の呼吸で起こる変化はわずかですが、そのわずかな変化の積み重ねが大きな変化につながります。

…これは北川がシステマの呼吸法を教える際、定型文のように繰り返している内容です。私のもとでシステマを続けているかたは、もう耳にタコができているに違いありません。

真っ先におろそかにされる呼吸

でもあまりにもシンプルな真実を、人は往々にしておろそかにしてしまいますし、特殊で奇抜なレアケースに心惹かれてしまうものです。

手に持ったものを離すと必ず地面に落下する重力の働き、規則正しい天体の運行、そもそも自分が生まれていま生きていること。世界には神秘が溢れているのにそれには見向きもせず、スプーンを曲げる超能力のほうを「すごい」と思ってしまうものです。

それは人の脳が、ありふれた情報をブロックし、珍しい異変に敏感に反応するようにできているからです。異変を察知するために発達した機能でしょう。いつ天敵に食われるか分からない命がけの状況では、空を見上げて「太陽が規則正しく動いているなんて、不思議だなあ」なんてのんきなことを言ってられませんからね。

そういう人間の性質もあって、もっともありきたりな「呼吸」はまっさきに忘れられてしまいます。そしてなにか特別な身体操法があるのではと、レアケースを求めます。これはシステマの練習で行き詰まっている人にだいたい共通する点ですし、私自身もしばしばやってしまいます。でもだいたい、呼吸が足りてないだけなのです。呼吸さえすれば解決する問題が、実はかなりたくさんあるのです。

悩んだ時、行き詰まった時に答えを与えてくれるのは呼吸です。呼吸は身体を癒やし、力を与え、さらに答えまで教えてくれるのです。

行き詰まったら、呼吸にお伺いを立てるのです。すると答えへの道筋が見えます。ちょっとおかしな言い方ですが、実際にそうなのです。