今すぐ税務署に行って開業届を出したらいい理由

もしかしたら、「好きなことしかできない人たち」に、私の足跡は多少は役立つかも知れない。

私は某大学附属の中高一貫校から大学までエスカレーターですすみ、大学院の試験に受かったものの辞退して、某一部上場企業に就職した。

で、やりたいことがやれないってことで辞めたあと、ど底辺のシナリオライターをやったりした。

会社を辞めたあたりで一般的にはドロップアウトしたのだけど、自分らしく生きるという意味においては、幸いなことに全うできてるんじゃないかと思う。

私の世代は氷河期世代だのゼロ世代だのあれこれと名付けられ、要は「悲惨な世代」としてひとくくりにされている。私はまだマシなほうで、同年代の仲間を思うと、派遣社員で食いつなぎながら老いた両親を支え、「この先どうするんだろう?」と心配になる者も多い。上の世代もいまだにバブルの記憶や恩恵に浸っていて、驚くほど危機感がないからあてにならない。

まあ文句はさておき。

思い返すと私は色々と仕事を転々として、フリーター、派遣社員、正社員、個人事業者、経営者をぜんぶやった。まあ成り行きなのだけど、おかげで全部の立場に共感したうえで、ものが言える。

もしあなたがいま誰かに雇われていて、その状況に満足していないなら。

そして他人に選ばされるのではなく、自ら選択する人生を歩みたいなら。

今すぐ税務署にいって、「開業届」を出したらいい。ついでに「青色申告承認申請書」も出したらいい。この2つは記入項目が少ないので簡単に出せる。料金もかからない。

つまり個人事業主として登録してしまうのだ。

なにをやるか、決めてなくても構わない。

ただ書類を出すと、覚悟が決まる。個人事業主として何をするべきか、考え始めることだろう。

すると当然、確定申告がついてまわる。確定申告は社会の仕組みを知るうえできわめて優れた実践的な教材だ。慣れないとめんどくさいが、四苦八苦しながら書類を完成させて毎年税務署に持っていくうちに、経済の仕組みが分かってくる。お金がどのように入って、どのように出ていくのか。その過程で誰がどのように潤うのか。

俗に言う「プチ起業」と言ってもいい。今ではオンラインでできることが非常に増えている。実店舗をかまえなくてもオンラインストアをはじめられるし、ちょっとイラストを描けるならLINEスタンプやpixivで稼ぐ方法なんていくらでもある。他のスキルも同様だ。あなたにできることを求めている人は世界のどこかに必ずいる。

そういうチャンスを目ざとく見つけられるようになるのも、個人事業主をやる利点だ。自分の判断と行動が収入を大きく左右する。

私が経験したフリーター、正社員、契約社員も悪くない。特に正社員は良い。組織で行動するからこそ可能な大事業に関われるし、社名のおかげで可能になることも多い。契約社員は保証はないが勤務時間に融通がきいたのが良かった。そういう環境の利点はとても大きい。

ただ人生経験として考えると、「自分で自分を雇う」という経験をしたほうが良いように思う。別に自己啓発系のオンラインサロンがしばしばやらかしているように、「さっさとサラリーマンをやめて起業せよ」というつもりはさらさらない。あまりにもリスキーだからだ。世の中にはサラリーマンに向いている人もいるので、一概に起業が良いとはいえない。

でもそれはやってから判断したらいい。そういうお試し起業なのだから、初期投資は限りなくゼロに近いほうが良い。融資を受けるとかもってのほか。個人向け株式投資の入門本にしばしば書いてあるとおり、余剰資金ではじめられる範囲が良い。

ただ個人事業主や事業主がサラリーマンと大きく異なるのが、相談できる相手が格段に減るということだ。一人で考え、決断することが格段に大きくなる。税金とか補助金の情報もいちいち自分で拾いにいかないといけない。会社の内部通達のように、誰かが分かりやすく必要な情報をまとめて送り届けてくれることもなくなるのだ。

企業は大勢のクルーが乗り込む客船なのに対して、個人事業やマイクロ企業は一人乗りのボートのようなものだ。機動力がある代わり、波風に簡単にあおられる。

だから起業の先輩が親身にアドバイスしてくれるのは、とても助かる。そして困っているであろう後進に力を貸してあげたくなる。

ただ私に圧倒的に欠けているのが、人を雇う経験だね。

特にいまはクラウドや外注でかなり賄えてしまうので、雇う必要がまったくない。よほど規模が大きくならない限りは、一人でまわしていくんじゃないかと思う。

そんな私ですが、もし私の周りで起業する人がいて、相談相手がいないなら、遠慮なく相談してください。お役に立てれば幸いです。謝礼はおいしいコーヒーで。

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