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noteで学べるシステマ講座 第17回「ストレスマネジメントにシステマを」

ストレスマネジメントの具体例

ここ数年、ストレスマネジメントに身体を介したアプローチが取り入れられることが増えてきました。

ヨガ、ピラティス、マインドフルネスなどが代表的なところでしょう。

システマは戦場という極度のストレス環境を前提としたストレスマネジメントの方法と言えます。その方法は、私達の生活におけるストレス緩和にもそのまま応用できます。ではどうやって使えばよいのか。度々寄せられる質問でもあるので、日常で使える方法をいくつか紹介します。

ケース1. 叱責、クレームなど心理的な打撃

例)上司や顧客に突然叱責される。

まずは鼻から吸って口からフーっと吐くブリージングを実践。対面なので音が出ないようにします。音や表情に出すことなく。傍目にはわからないようにブリージングする練習をしておくと良いです。
突然の予期していないストレスは全て、心理的な打撃ととらえることができます。心理的な打撃も、物理的な打撃も対処法は大差ありません。まずは呼吸です。

ケース2. 強度のストレス状況への準備

例)失敗できないプレゼンテーションや試験の前に

失敗できない状況では必要なのはゆったりとしたリラックスではありません。それよりも大切なのは、「いつも通りのパフォーマンスを発揮する」ということ。その妨げとなるのが過度のリラックスで頭と体がフリーズしてしまうことです。しかし呼吸を適切に使えば、ストレスをむしろ自分のパフォーマンスを高めるスイッチにすることができます。そのコツは事前に目一杯心拍数をあげること。

ここで役立つのがブレスホールドエクササイズです。息を止めて階段を駆け上がったりその辺をダッシュしましょう。有酸素系の激しい運動ならなんでも良いです。それで限界まで達したら完全に心拍数が戻るまで回復する。これを2〜3回やれば良いでしょう。これは循環器系と神経系のウォームアップみたいなものです。一度、息切れするほどの負荷を体に与え、体を活性化させておくと、来る戦いの場面でも高いパフォーマンスで臨むことができます。汗拭きハンカチをお忘れなく。

ケース3. 苦手な人と向き合う時 継続的なストレス

例)交渉など話し合い、接客、窓口業務など

ケース1.との違いは、ケース1.が短時間あるいは突発的に強いストレスがかかるのに対して、ケース3.はゆるやかな対人ストレスがじわじわ加わるという点です。対処法はケース1.と同じ呼吸が大切ですが、「目を見る」という方法があります。心理的な抵抗があるかと思いますが、凝視しない程度に相手の目を見ます。すると相手に対する過度な恐怖心を抱かずに済むと同時に、相手にも「見られている」という意識が生じます。機能していない偽物の防犯カメラでもある程度の防犯効果があるように、「見られている」という意識はうしろめたい行為へのストッパーになります。

これは予め仲間と練習しておくと良いです。目を合わせると、なんだか照れくさくなって笑ったり目をそらしたりしたくなります。そこで呼吸して自分を落ち着かせて、平然と人の目を見られるようにするのです。ほんの5分やってみるだけでも目線に対する耐性が大きく変わるのが実感できるはずです。

より詳しく知りたい方は、拙著「最強の呼吸法」や「人生は楽しいかい?」あたりをご一読頂ければと思います。

ここまでで紹介したのは、応急処置的な方法です。

それでも十分助けになりますが、やはり根本から心を強くしたいもの。

アガり、怒り、恐怖といった緊張に囚われない、根底からの強さとはどうしたら得られるのか。

むしろシステマが本領を発揮するのはそちらの方です。

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