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アピール

前を走る車の高齢者マークに【〇〇在住】と、ここの県名がマジックで書いてあった。東京のナンバーの車だった。

いや、正確には、
わー、東京のナンバーだなーと思って見ていた車の高齢者マークに〇〇在住と書いてあった。


そういうことだ。

わたしみたいな人もいるので、書いといて正解でしたよ。


連休なのに中心部の道は空いていて、美容室の予約時間よりだいぶ早く着いた。
人通りの少ない道を遠回りして歩いた。
ノーマスクで。
解放感!
しかも久々にちゃんと化粧して口紅も塗っていたので良い気分だった。
窓に映る自分を見たら、切らなくてもいいんじゃない?ってぐらい髪型は良い感じになっていた。
美容室行く前あるある。
気を抜いた感じで行ってしまうとそれなりにな仕上がりにされてしまう気がするので、少し気合いを入れてスタイリングすると小さな革命が起こる。
化粧品を買いに行く時も同じで、普段からちゃんとしてますアピールをしないと、バッチリメイクの店員さんに邪険に扱われるんじゃないかとビビりながら行く小心者だ。                       かと言って気合いを入れ過ぎても恥ずかしい。ここがポイントだ。
でも何故か安い服を買いに行くときは、ブランドのバッグは持たないようにする。なんか恥ずかしくて。

気にし過ぎ、誰もあんたのこと見ていない、と言われても気にするし、ずっと気にするわたしでいたい。


街路樹で直射日光は遮られていたが、かなり蒸し暑かった。
全方位から聞こえる蝉の声が五月蝿くて怖ささえ感じた。
いっそのこと【八月蝉い】と書いて、【うるさい】と読んでもよいのでは、と笑点のネタのようなことを思いついた。
既出かもしれない。


帰り道、ばちばちなファッションでキメたおしゃれカップルがデパートの紙袋を下げて明らかに周りのペースとは違う速度でニコニコ歩いていた。
隣県ナンバーの車に乗り込んで行った。マジックの文字はない。
なんとなく分かる。
幸あれと思った。


わたしはと言えば、ラフなスタイルにお気に入りのブレスレットと香水をつけて、さりげなくかっこつけたつもりだったが、側から見たらまぁまぁだらしないスタイルだったかもしれない。
あんな小さなブレスレットなんて見えないし、よっぽど近くに寄らなきゃ香りなんてわからない。

ファッションは自己満足だ。
さりげなくでも大きくでもアピールは大事だ。

さりげなくオシャレしてます、背中に書けばよかったかな。


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