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大阪大学文学部の現代文【大学入試現代文analyze⑰】

前回の分析

〇マクロ分析【問題構成】

・大問1【評論】

○記述問題4題
→字数指定なしの記述だが、公表されている大学の解答を踏まえると80~200字ぐらいになる。平均して100字程度なので400字ぐらいは書くことになると考えるべきであろう。

・大問2【小説】

○記述問題4題
→日本で一番難しい小説問題を出題するのが大阪大学の文学部である。
異論は認めない。その要因として後述する「表現意図」を書く問題がある。これは訓練によって鍛えられるものではないと思う。(少なくとも受験においては)それまでの人生における文学経験などがモノをいう問題ではなかろうか

〇ミクロ分析【文章/設問の分析】

・大問1【評論】

<文章>

【分析】
・文章量 : 少なめ
→文章量が少ないからこそ後述する設問の特色も見えてくるといったものである。内容もそこまで難しいとは思わない。というよりも、文章量が少ないのに400字近い記述を書かなくてはいけないのが異常である。

・文章の傾向 : バラバラ
→哲学に近いテーマのようだが
、そうとも言い切れないものも多い。先述した通り内容そのものはそこまで難しくない。

<設問>

【分析】
・記述

<換言問題> 59%(比喩37%/定義語16%/指示語3%/具体化3%)
<理由説明> 41%

→2022年の問4を理由説明、換言をそれぞれ0.5ずつに割り振り、2021年の問4も同様にして割合を算出した。
比喩換言の割合が他大学と比べても多い。これは文章の短いので本文中の定義を答えさせる問題は出しにくい反面、傍線部で使われている比喩の意図を正しく理解できているかを問うているのである。よって、単純に難易度は高くなる。本文中に対応する箇所があるものもあるが、傍線部そのものの解釈ができていないと答えることが難しいのである。つまり、「文脈を理解する力」と「語彙力」の両面が備わっていないと何ともならないのである。

・大問2【小説】

<文章>

【分析】
・文章量 : やや少なめ
→大問1と合わせても例年5,500~6,500字程度である。文章量は少ない。その反面、読みづらい文章も多い。
・文章の傾向 : バラバラ
→特に傾向はない。時代もバラバラ。内容もバラバラ。

<設問>

【分析】
・記述

<理由説明> 62%
<換言問題> 13% 
<表現問題> 25%

→そもそも心情問題もそれなりに難しいのだが、それよりも比喩換言や表現意図の問題が難しい。2023年は問2の比喩理解が非常に難しいのに、問4の「粘膜」の表現意図を考える問題は、たとえるならば「ポケットモンスター」の四天王四人目の手持ちポケモンのような構成である。(比喩が言いたいだけ)

〇対策法

・想定時間配分

試験時間:120分
想定時間配分
現代文(大問1~2)  60~70分
古文・漢文(大問3~4)50~60分

→120分でこの分量は……かなり厳しい。
それでも70分以内には収めたいところだ。裏を返せば古文漢文は記述分量が多くないので、50分で何とかしてほしい

・設問分析

①語彙を豊かに!
→比喩換言問題が多いということはそもそも傍線部の箇所で筆者がその語句を使った意図を理解できるだけの力が求められる。文学部志望なのに語彙に不安が……というのは話にならない。それぐらい高いレベルが求められているのだ。

②【小説】表現問題について
→日本で一番難しい入試問題を設問単位で選出するならば「大阪大学の文学部の表現意図の問題」と私は答える。これは裏を返せば「答えが出ない可能性がある」ということも念頭に置くべきである。自分で解釈できる範囲で答える、という戦略で試験に臨んだ方が良い

③「出来るものを確実に」が方針になる。
→②とも重なるが、この試験は満点をとる必要がない試験である。解ける部分を確実に得点していくというのが全体の方針となるだろう。

・タテ?ヨコ?

タテ過去問を古い年度まで掘り下げて実施)がおすすめ。ある意味では唯一無二といっても過言ではない問題なので、ひたすら過去にさかのぼってください。


以上。次回は立教大学の分析です。

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