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甲子園の教育論⑬乗り越えなくてはならない壁

◇横浜銀行もとい、尼崎信用金庫

ついに、チームの勢いが止まってきた。
69試合を消化して初めて3タテ(3連敗)を食らってしまった。
この事実自体が異常と言えば異常だ。

昨年は開幕3連戦でいきなり3タテだったのだ。そこから考えると雲泥の差ではある。

しかし、お得意様であり「横浜銀行」と揶揄していたベイスターズに3連敗。これではこちらが「尼崎信用金庫」呼ばわりされても仕方が無い。

◇優勝するための壁

しかし、薄々感じてはいたのだが、このチームは勝ちすぎている、というよりも「出来過ぎて」いたのだと思う。3連敗は2回目で、3タテは初めて。つまり、カードで2つ以上の負け越しをしていないチーム。先発投手は底堅く、抑えのエースは盤石。超ド級の新人と脇を固める外国人も絶好調。書き出してみるだけでもちょっと現実感がない。

それぐらい、順風満帆だったのだ。

しかし、過去の優勝を振り返っても「壁を乗り越えた試合があったからこそチームの力が上がった」そんな試合があったのだ。

2003年は4月の巨人戦。当時覚醒前の藤川球児が9回に打たれて同点になった試合。試合後、星野監督はこう言った。

すまん、今日は俺のミスだ

この言葉に奮起したチームは翌日、巨人を圧倒。そこまで波に乗れなかったチームは一気に勢いづいた。

2005年は9月の中日戦。度重なる不可解な判定に選手をベンチ裏に引き上げさせるという暴挙すれすれの行為に出た岡田監督。試合はなんとか再開されるも、名手赤星までもエラー。絶体絶命のピンチを迎えたJFKの久保田智之に、岡田監督は就任後初めて自らマウンドに赴き、こう言った。

むちゃくちゃ放れ。お前のせいちゃう。俺が責任取ったるわ

その後、久保田は連続三振でピンチを切り抜け、延長戦に入ると中村豊が移籍後初ホームランで勝ち越して、勝利。当時の中日の落合監督をして「今日は監督の差で負けた」と言わしめた一戦。

そういう試合がいま必要なのではないだろうか。

◇乗り越える経験の必要性

そして、これは受験指導でも同様だ。ほとんどの受験生は内面的な未熟さや、過去の受験なり他の競争での敗北の経験を抱えている。

そして、大学入試という自分自身の在り方が極限まで追い込まれる経験をすることで、自分の弱さに気づく。

それをそのままにしておく者もいるが、正直、あまり結果は芳しくない。

反対にその弱さに向き合い、克服した人間は本当に強い。そして多くの場合しっかりと合格を勝ち取ってくる

奇しくもドラゴン桜の最終回が放映されたこの日。タイガー桜は咲くのだろうか。

そして明後日、今季初の甲子園に向かいます。

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