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【コラム】ふと、思ったこと⑫〜基礎の大切さ(糸井嘉男選手引退に寄せて)
◇超人の引退
糸井嘉男が引退する。
阪神タイガースにFA移籍をしてくる選手は思うような成績が残せないことが多い。
特にパリーグ出身選手はファンの熱量はマスコミの数の違いに戸惑うようだ。
神のような扱いをされて入団するが、活躍しなければ異常に叩かれる。それは球団を2度の優勝に導いたと言っても過言ではない金本知憲選手もそうだった。
しかし、糸井選手はそう言った周りの意見を聞きながらも自分のやるべきことが発揮できるメンタリティを持っていた選手であったと思う。
私自身、甲子園での観戦を一度だけ残しているが、糸井選手の登場曲、SMAPの『SHAKE』を聞くことは叶うのだろうか。
◇投手から野手転向の時に糸井嘉男がやったこと
さて、そんな糸井選手は当初は投手として日本ハムに入団した。しかも自由獲得枠、現在でいうところのドラフト1位に相当する。
近畿大学でもMax150km/h超のストレートを武器に活躍した本格派だ。
しかし、投手としては芽が出なかった。本人曰く「鳴かず飛ばず」。
入団3年目に野手に転向する。これはBIGBOSSこと新庄氏が勧めたとも、当時のGMの高田繁氏が勧めたとも、はたまたガンちゃんこと岩本勉氏が勧めたとも諸説あるが、ともかくドラフト1位入団選手が大型コンバートを果たしたわけだ。
その際に糸井選手はまず書店に行ったらしい。
プロ野球の、それもドラフト1位クラスの選手だ。もともとの野球センスも高いに決まっている。
そんな選手が最初に「少年向けの入門書」を手にしたのだ。
これ以上に示唆に富む話はあるだろうか。
一応、予備校講師なのでその観点で話をしよう。
むやみやたらに難しい問題、入試問題を解きたがる生徒はいる。
数年前にも、私の春の授業を受けて「入試問題を解きたいのですが何がおすすめですか?」と聞かれ、「意欲は買うけど、まだ解かなくてもいいんじゃないかな?」と返したところ、不満気な顔をして四月以降の授業にはいなかった生徒が居た。彼を見かけると必ずどこかの過去問を持っていたが、入試結果は惨憺たるものだった。
基礎基本が出来ていない中で本番に近いことばかりやっていても意味が無いのだ。
あらゆることは基盤を作ってから大きく育つ。それが足りないなら、小学生レベルまで戻っていいのだ。
今からでも遅くはない、いや、今はじめるのが一番早いのだ。
そしてなにより、糸井さん、たくさんの感動をありがとう。
ふと、思ったこと。
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