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国公立大学入試分析⑲ 東京学芸大学

おはようございます。

都内シリーズも粛々と進めていきます。

前回はお茶の水女子大学。

そして今回は多摩地区に突入!まずは東京学芸大学です。
教員養成の大学。音楽選修やその他のコースに合格した過去の生徒はいますが、国語選修に進んだ人間は……記憶しているかぎりいなかった気がします。


〇全体概観

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・時間 120分(現代文は50分位で解く)
・分量 5,000~7,000字程度 
・文章 評論
・設問 記述5-6題、客観問題(抜き出し)、語彙、文学史など

<コメント>
文章テーマが多岐にわたること、そして語彙の説明から一般的な換言、理由の記述、そして、自分の意見を述べる記述などバリエーション豊かな設問が並ぶことが大きな特徴です。


〇各年度の短評

では、ここからは各年度の問題について簡単に評していく。

◆2016年 やや難
難易度
【文章】★★★  
【設問】★★★★

<総評>
文章は標準的。筆者と梶井基次郎との交流を描いたエッセイ。文体が滑らか。非常に読みやすい。
設問はやや難。語句の意味を答えさせるのは千葉大学教育学部などにも通ずる問題。文学史が出るあたりも似ている。問5は三好達治が梶井基次郎に送った韻文を引用した設問。凝っている。ここだけ見ると大学入学共通テストのH30試行調査大問3みたい。

◆2017年 標準
難易度
【文章】★★★   
【設問】★★★

<総評>
文章は標準的。アナロジーの理解についてのお話。比喩の理解は言語能力の重要な一つだよなあ、と最近思います。
設問は標準的外来語を二字熟語に言い換えさせたり、自分で文章を踏まえてアナロジーを作らせたり、自分の意見を考えさせたり、いい問題。国公立大学の非受験学年の基礎テキストとかに入れたいかも。

◆2018年 やや難
難易度
【文章】★★★★   
【設問】★★★

<総評>
文章はやや難。内容は「文学(芸術)は飢えた子どもを救うに足るのか」というもの。非常に興味深い。面白そうな本なので個人的に購入決定
内容はさりとて、国公立大学としてはかなり文章が長い。受験生からすると苦しいと思われる。
設問は標準的。文章が長すぎるためか、設問でやや手加減をしている印象。

◆2019年 やや難
難易度
【文章】★★★★    
【設問】★★★

<総評>
文章はやや難ここ二年と全然傾向が違う文章高低差ありすぎて耳がキーンってなる(©フットボールアワー後藤さん)状態。そして、たぶん受験生にはつかみにくそう。
設問は標準的。語彙の意味、普通の記述に加えて、問9で文章をもとに正しいグラフを選ぶ問題共通テストに出そうな問題だなあ、と。問11は意見記述。いろいろなバリエーションで聞いてきて、受験生の国語の力を幅広い観点で試そうとしているんだな、と思わされる問題。

◆2020年 やや難
難易度
【文章】★★★  
【設問】★★★★

<総評>
文章は標準的。方言の話なので近代批判の文脈かとおもいきや、言語社会学ともいうべき分野の話。
設問はやや難問2の文章外から具体例を引用して理由を説明する問題や、問10の言語にまつわる問題は、受験生がなに思いつかない可能性もあると思われる。

〇過去問から考える東京学芸大学が求める力

① さまざまなテーマの文章を読み解くことができる能力
年度によって文章テーマが大きく異なります。

② 文章に対して自分の意見を述べていくことができる能力
これは、千葉大学(文学部など)でも書いたのですが、文章を読んだところから自分でいろいろな世界を考え出すことができるかどうか、は必要になってくる能力です。

③ 語彙についての鍛錬
似た問題は千葉大学(教育学部)で出題されます。


〇東京学芸大学の対策に役立つ他大学の過去問

〇 問題構成上いい練習になるところ
千葉大学、名古屋市立大学(大問2)、お茶の水女子大学などはいい対策になりますよ。

〇補足:高校受験とのリンク

今回はなし。


明日は東京都立大学の過去問分析をお送りいたします。

それでは!

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