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2022共通テスト国語(現代文)雑感

こんにちは。

2022年の共通テストは悲しい事件やトンガの火山爆発を遠因とした津波などにより例年よりも落ち着いて受験できる環境になかった方も居られることと思われます。

さて、今回は2022年の共通テストの現代文の雑感を書いていきます。取り急ぎ解いたうえでの感想と捉えていただければ幸いです。

<2021からの変更点>

【大問1】
・複数文章の出題
・漢字の問題5問のうち、2問が漢字の意味を理解するものに変わったこと
・問5に表現問題の復活
・設問は問6までに。(前年は問5まで)最終問題は【メモ】の空欄補充
【大問2】
・語彙問題が消滅
・問4に小問が付される
・設問は問5までに。(前年は問6まで)
・設問数は減ったが実質的な負担は増えたと言える。

【大問1】について

【出典】

文章Ⅰ 『食べることの哲学』 檜垣立哉
→ 別箇所だが2019年北海道大学、神戸大学、岩手大学、青山学院大学、立教大学にて出題。なお、二年連続北海道大学の出典と重なる
文章Ⅱ 『食べるとはどういうことか』 藤原辰史
→ 類似テーマは2014年名古屋大学にて同著者の出典より出題されている。

【出典所感】
 二年連続北海道大学と同一出典。古文も2013年の東北大学と同一箇所同一出典だったようだ。入学試験なので使う文章に制限があってしかるべきとは思わないが、それでも旧帝大という「メジャー」な入試問題とあえて同じ出典を使う意図には首をかしげざるを得ない。

【設問】


問一
漢字。上記の通りなので割愛。
⑴ ア 標準  イ 平易  エ 標準  
⑵ ウ やや難 オ 標準
目標 4~5問  死守 3問 

問二
【設問タイプ】
・条件換言/傍線部を踏まえた筆者の理解(引用に対する意見)
【使用文章】
・文章Ⅰ
【難易度】
・やや平易

【雑感】
・5段落(当然のことながら~)の部分を押さえるだけ。
④に注意。「新しい世界」に向かうのではなく、「消えたい」のだ。

問三
【設問タイプ】
・傍線部換言/傍線部直前の指示語を押さえる
【使用文章】
・文章Ⅰ
【難易度】
・標準的
【雑感】
・直前の指示語内容を押さえて、換言する問題
・根拠から選択肢への換言がやや難しいかも。
・④に注意。「罪深さ」は指示語内容とは無関係

問四
【設問タイプ】
・傍線部換言/列挙されたものの共通点を考える
【使用文章】
・文章Ⅱ
【難易度】
・やや平易
【雑感】 
・列挙された二つの説明の共通点を考える
・「循環する」という共通点を選択肢の「受け渡し」と換言する

問五
【設問タイプ】
・表現問題
【使用文章】
・文章Ⅱ
【難易度】
・やや難
【雑感】
・小説で出ると思っていた表現問題が評論で出た。
・そもそもこの手の問題は受験生は不得手。
・そして昨年出題されなかったので、対策な不十分な受験生も多いかと。
・落ちついて解けば標準的な難易度だが、上記の事情から「やや難」とした。
・ちなみに選択肢の構造が従来の表現問題とやや異なる。従来は選択肢を前半と後半に分けて検討すればよかったが、選択肢を「前中後」と分ける必要性がある。ただ、それにより答えやすくなっているともいえる。

問六

【設問タイプ】
・空欄補充
【使用文章】
・文章Ⅰ
【難易度】
・やや難
【雑感】
・相変わらず作問センスのない空欄補充問題。
・設問の設定が甘いから難しくなっていると言える。
・③を選ぶかも。「逆」という観点で捉えよう。

【設問タイプ】
・表現問題
【使用文章】
・文章Ⅰ・Ⅱ
【難易度】
・標準
【雑感】
・複数文の素材を生かし切れていない問題。
・⑴に引き続き問題の設定が甘い。昨年の問5⑶問題の方がよかった。
・設問の粗さを選択肢の質の低さでカバーしている。正答率は上がるかも?

【得点期待値】

漢字 : 7点
やや平易 : ×0.9   標準 : ×0.7  やや難  : ×0.5 で計算

35点/50点  
全体的には標準的か。

【大問2】について

【出典】

黒井千次『庭の男』

黒井千次は1984年の『春の道標』以来38年ぶりの出題。
センター試験時代から同一著者の出典は珍しくない。
「監視社会」「SNS社会」につながるテーマでもある。

【設問】

問一
【設問タイプ】
・様子(言動・態度)の理由説明
【難易度】
・片方正解ならば平易/両方正解はやや平易
【雑感】
・第一回試行調査の大問三の問二に少し似ているかも、と思った。
・二つ選ばせるとはいえ、本文の表現がそのまま使われているものが多い。
・大学入試センターが作る問題の良い特徴が損なわれている。

問二
【設問タイプ】
・比喩換言/心情問題でも処理可能
【難易度】
・標準的
【雑感】
・何について「身体の底を殴られたように」感じたのかを考える。
・②の「妻にも言えない」をしっかりと×と判断できるかがポイント。

問三
【設問タイプ】
・心情問題
【難易度】
・標準的
【雑感】
・心情に対する出来事を考える問題。やや難がやや迷うか。「彼の気持ちを無視して~」の部分が誤り。

問四
⑴ 
【設問タイプ】
・表現問題(実質的に)
【難易度】
・やや難
【雑感】
・心情問題と言いつつ、表現の必然性を問うている設問。
・無駄に時間を食われてしまう受験生も多いのではないか。
・手間がかかる問題ではある。

【設問タイプ】
・表現問題
【難易度】
・やや難
【雑感】
・いちいち「看板の絵」に対する呼称を確認する必要があり、とても面倒。
・受験生からすると選択肢間の差異が見出しにくいものと思われる。
・ただし、かつての表現問題ほどの選びづらさはない。よって「やや難」

問五

【設問タイプ】
・空欄補充問題
【使用文章】
・【文章】と【ノート】
【難易度】
・標準
【雑感】
・ノート型問題。辞書の意味と文章を組み合わせる問題。
・昨年よりは解きやすいと思われる。ただし、やや安直に感じる。

【設問タイプ】
・全体の話の流れを踏まえる問題(内容一致に近い)
【使用文章】
・【文章】と【ノート】
【難易度】
・やや難
【雑感】
・ほぼ内容一致問題と言える。
・【ノート】をもとに内容を整理すればわかる問題。
・【ノート】を踏まえずに考えると時間がかかるかも。

【得点期待値】

計算方法は同上。

32点/50点

<時間制限も踏まえた最終期待値>

大問1 35点  大問2 32点  合計67点

分量 : 標準的
処理作業の煩雑さ : やや面倒
→ 係数 ×0.8~0.9

期待値 : 60点ぐらい?

やや厳しめに見ているかもしれません。

<とりあえずの所感>

・旧センター試験と共通テスト試行調査、2021共通テストを混ぜて「不純物を取り切れなかった試験」という感想。

・語彙問題はそもそもいたずらに難しくなっている年度もあった(最近は違うが)ので、個人的には無くなってもよいと思われる。

・しかし、語彙問題を無くすならばかつてのセンター試験において見事に作られていた「同義語彙の変換」がなされている設問を作ってほしかった。

・正直、2021年の問題の方が好き。選択肢が全体的に雑なんだもん。

以上です。
受験生の皆様、お疲れさまでした。





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