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英国ゴルフ場探訪記 -はじめに-


はじめに

ゴルフを初めてプレーしてからおそらく30年近くたっている。
子どものころに、大のゴルフ好きの父親に何度も連れて行ってもらった思い出がある。父には将来子どもと一緒にラウンドをしたいという夢があったのだろう。しかし、父には申し訳ないが、二人の兄も私もゴルフには余りハマらなかった。
若いうちはたまに家族や友人との付き合いでラウンドを回ったりもしたが、朝に弱く早起きが辛い、プレー料金が高額、ゴルフ場の格式が高い、そもそも一緒にプレーする友人が近くにいない、など、なんとなく敷居が高く、大人になっても続けることはなかった。
英国ロンドンに移住してから約15年、私も40歳になり、そろそろ激しいスポーツはキツイなと考えていたころに、このコロナ禍である。ご存じの通り、英国はコロナ感染者数の多さから厳しいロックダウンによる制限をかけてきた。そんな中、日頃の運動不足解消に加え、外の新鮮な空気を堪能できるゴルフは最適なアクティビティだと思えた。
第一波がすぎた2020年6月ごろからドライビングレンジ(打ちっぱなし練習場)もコースもオープンした。押し入れにしまい込んでいたクラブセットを引っ張り出し、まずは近所のドライビングレンジに行ってみる。基本的には日本の打ちっぱなし練習場と同じで、新型のヴァーチャルゴルフ機械も各レンジに備えられていた。
練習で思いのほか“当たった”ので、気をよくした私は早速ラウンドに行こうと、近場で一人でも回れるゴルフコースはないかと調べてみた。グーグルでゴルフ場と検索すると私の住んでいるロンドン南西部にはたくさんのゴルフ場があることがわかった。地図上のゴルフのアイコンが示すところを片っ端から探してみると、ビジターで、しかも1ボールでプレーできるところも結構たくさんあるらしい。しかも、1ラウンド40イギリスポンド、時間帯やプレー人数によっては20イギリスポンドでできるようだ。
実際ゴルフ場に行ってみると、クラブハウスは簡素で受付もカフェバーと共同、予約していたことを伝えると、「〇〇時くらいから1番ホールから始めていいよ」というかなり適当な感じ。電動カートを借りたければ借りられるようだが、基本皆さん歩きで、手で引くトローリーのレンタルしていた。もちろんキャディさんはおらず、セルフで18ホールスループレーだ。
コースの状態は、メンバーズのクラブや日本のゴルフ場に比べると、メンテナンスが行き届いていないが、プレーに全く支障はないし初心者の私にはそのくらいのほうが伸び伸びできてよかった。
一人で英国のパブリックのゴルフコースに飛び込んでみたら、思いのほかカジュアルで、良い意味で敷居の低いゴルフ体験となった。なんだ一人でも気軽にいけるじゃん、と味を占めた私は、それからいくつかパブリックのゴルフ場をまわったのだった。
その後、ゴルフを最近始めたロンドン在住の日本人の友人と一緒に、一人で行ったゴルフ場に再訪してみたり、新しいゴルフ場を開拓してみたりと、すっかりハマってしまったのである。
こうしてみると、日本で敷居の高いと思っていたゴルフも英国ではホントに身近なものなんだなと感じる。この感覚・雰囲気を人に伝えたいと思い、ロンドンローカルの地元感あふれるゴルフ場でプレーした感想をエッセイにしたら面白いのではないかと考えた。
私は日本でも気軽にゴルフをできる環境があれば良いのにと思っているが、このエッセイシリーズを読んで、少しでも共感してもらえると嬉しい。

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