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Process --sin--


sinができるまでのプロセスをご紹介します。よろしければお付き合いください。


工業製品

工業製品が好きです。用途もなくつい買ってしまう。コンクリートの塊。プラスチックの波板。金属の様々な部品。アクリル板。PVCのシート。

全ては必要な機能や性能に基づいて作られています。必要な強度が出せるだろうか?日光で脆くならないか?厚みを保って軽くするには?現場で目立つ色だろうか?


以前から透明なビニールを制作に使用していましたが、糸入りのビニールに出会ったのは去年のことです。

ご存知の通り薄いビニールって弱くて、ある程度厚みがないと永く使える製品にはなりません。money caseなどに使っているビニールは厚みがあってかなり強度が出せるのですが、作れる構造や形に厚みによる制約がありました。

そんなとき薄いビニールに強化繊維が挟み込まれた素材に出会いました。昨年のGRIDbagに使用した素材です。繊維のおかげでシート自体は薄くても必要な強度が出せます。

そして縦横の力に耐えられるよう、強化繊維が格子状に張り巡らされていました。これがかわいい...。たぶんこの模様になったのは効率よく強度を出すためで、見た目の良し悪しはほとんど関係なかったのではないかと思います。性能を最重視して作られたものに、なぜか見た目も美しいものがある。こうしたことはしばしばあります。機能美とも若干違う気がするけれど、太古から整っている建物は強い、みたいな本能への刷り込みでもあるのでしょうか。


今年は波紋のように強化繊維が挟み込まれたテキスタイルを見つけました。かわいい...。本当のところはわからなかったので憶測ですが、波状によって各方向への強度を補強しているのかも知れません。これを今季のベースに使用することを決めました。


アクリル

アクリルも大変好きな素材です。ガラスよりも少しだけ温度が高い感じがして、ガラスが氷に例えられるなら、アクリルは水だと思う。

波に合わせる素材の1つとしてとしてアクリルを使いました。アクリル丸棒を切り出して孔を開け紐を通します。市販品ではないので唯一のものができました。数kgの重みに耐えるのは難しいだろうからバッグ自体はかなり小さく。これを持つとやはり水を手にしているようだなと思います...。


振り子

以前フラットな靴に木のヒールを取り付けたことがあって、そのときは台形にカットされた木片を加工しました。その時一緒に購入した木球が気に入ってしばらく窓辺に飾っていました。

ところで理科の時間のようになってしまいますけど、波って円運動なんですよね。円の周りを一周する点を、時間で分解していくと波型になる。これは正弦波(sinカーブ)と呼ばれます。

そして振り子は、宇宙で振り子を左右に振ったら永遠に振れ続けるらしいですが、その動きも円をつぶしたような形を描き続けます。

この同根の2つは相性が良いような気がして、同じ製品の中に取り入れました。木球を振り子に見たて、1つか2つつづデザインに入れていきます。



木球

一番大きなバッグはものが底に沈んでしまうと取り出しにくいので内ポケットをつけようと思いました。しかしなにしろ透明で柄があるので、同素材で柄を合わせつつ内ポケットをつけるのはなかなか難儀でした。

内ポケットではなくインナーポーチを付属させることを検討しました。

木球には適度に重みがあります。インナーポーチ側に木球を使うことを検討している時、この重みが丁度いいバランスを取ってくれることに気が付きました。木球だけをバックの外に出していると、それこそやじろべえのようなイメージで木球とポーチが釣り合います。

木球の重みでポーチが少し上方に引っ張られ、底でぐちゃっとなってしまうのを軽減します。とはいえそんなに重くないので、バッグの縁がだれてしまうこともありません。また外に出した木球を掴むとスムーズにポーチを取り出せるので、透明なバッグの悩みが1つ解消されたのではないかと思います。


sin

先程のsinカーブより、シリーズ名をsinとしました。一番小さなmini、昨年のGRIDbagの形を引き継いだshoulder、ノートPCも入るくらいの大きさのtote、全部で3型。

お出かけのお供にぜひ連れて行ってもらえたら嬉しいです。

※受注は6/10まで、こちらより。
https://tukifune.shop-pro.jp/



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