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アイドリッシュセブンと、ムビナナと、私と、

突然だがこの文章を読んでいるあなたはライブに行った経験があるだろうか。そのライブ体験に人生を変えられた経験はあるだろうか。人生が変わるほどのライブ体験はきっとあなたの心に焼き付いていることだろう。私も人生が変わるほどのライブ体験に覚えがあり、もう二度とそんな体験をすることもないだろうと思っていた。
ましてや知らないアーティスト、知らないアイドル、知らない楽曲、知らないコンテンツのライブでそんな体験はないだろうと。そう思っていた。

名前は以前から耳にしていた。2022年10月頃に「6部が完結して今すごい良いところなので履修してください!」とフォロワーから言われていたのを頭の片隅で覚えていた。
そこから時は流れ2023年6月。交流のあるフォロワー数名が同じ映画に何度も通っているのを目にするようになった。さらにコンテンツを知らないのに映画に行く、というフォロワーも目にするようになった。何事かと思い、私もその場で話題に出して呟いた。

『アイナナはササゲロっていうのしか知りません』


劇場版アイドリッシュセブン
Live 4bit BEYOND THE PERiOD

この場で私の当時のツイートと共に、アイドリッシュセブンにいかにして出会ったのかを振り返っていこうと思う。


アイドリッシュセブンとは?

アイドリッシュセブン、通称「アイナナ」とは、2015年にリリースされたスマートフォン向けゲームが原作のコンテンツで、そこから様々なメディアミックス展開を広げているアイドルコンテンツである。アイドルグループは4グループ総勢16人のアイドルをプロデュースしていくゲームだ。この劇場版は第6部の完結を受け、集大成と銘打たれ制作された作品である。

私は名前とササゲロという楽曲しか知らず軽い気持ちで履修する事もないだろうと思いながら軽い気持ちで呟いた。
が、この軽い気持ちの呟き達に反応とリプライと空リプが殺到し、圧の強さに圧倒されつつも劇場版、ましてや集大成と銘打たれたものを初見で見れるはずもなく、見る事はないだろう‥とこの時点でも思っていた。

初めての劇場版



だが、アイドリッシュセブンというコンテンツはここであまりにも特殊な手を打ってくる。
「劇場版って書いてあるけどほぼライブだから初見でも大丈夫だから見に行け」
アイドリッシュセブンを履修せず初見で観劇したフォロワーの鶴の一声だった。

そう、この集大成と銘打たれた劇場版は
『ストーリーがなく、上映時間90分全ての時間がライブ体験』というとんでもなく挑戦的な作品だったのだ。そしてとうとう囲い達の圧の強さに折れ、劇場に連行される事を承諾したのだった。

そして『どうせ完全に初見であるのなら、なにも知らず、キャラクターの心情、背景も調べないまま見よう!』と思い立ち、アイドリッシュセブンに関してなにも情報を入れずに当日を迎えるのだった。

忘れもしないあの日、私の誕生日前日の7/12
「じゃあDAY1をまず見ようね」
DAY1‥???
そう、この劇場版はなんとDAY1とDAY2の2バージョンあったのだ。ポケモンの劇場版とテニプリの劇場版でしか見た事がない上映形態である。ライブだから2日間やってもおかしくないでしょと、当たり前のように2バージョンある挑戦的な構成にまず驚きを隠せなかった。
そしていよいよ鑑賞の時。
デカいA4の特典を貰い劇場へ座る。

まず圧倒されたのが『観劇している人間に極限まで擬似的なライブ体験を与える』こと。ライブの雰囲気の徹底的な再現で、あたかも映画館ではなくレインボーアリーナ(作中でライブが行われている会場)だと思わせる作りに舌を巻いた。リピーターも増えるはずだと納得させられる。
そして、肝心のアイドル達。
それぞれ強い個性を放ち、キラキラ輝くアイドル達の姿を見せられて幸せな気持ちにならない人間はいないと思う。私も当然幸せな気持ちになった。‥というのが一般感覚の感想である。
突然だが、私はオタクである。
中学生の頃には深夜アニメにもライトノベルにも手を出していたし、SS文化が盛んな時代にはもうiPod touchを自分で持っている人間であったため、Safariを駆使し二次創作も漁り尽くした。今ではスマートフォンでアイドルコンテンツのソーシャルゲームもプレイする人間に成り果ててしまった。
そういった人間には『初見のコンテンツでどういった関係性であるのか、過去になにがあったのかを台詞や行動で考えてしまう』というどうしようもない習性がある。(いわゆるオタク脳と私は呼称している。)つまるところオタクと呼ばれる人間は、全体的なストーリーや演出に対する評価と、オタク脳でキャラクターやキャラクターの関係性について考え、沼の危機を察知するといった行為を初見の映画で行っているのだ。もし世界中のギャルがオタクに優しいならオタク君すごーい!と言ってくれる事だろう。
話は戻りDAY1の後すぐに鑑賞したDAY2バージョン。
それは起こってしまった。

4つのグループの中で唯一の2人組アイドルRe:vale との邂逅である。


Re:valeと、私と

イケメン‥!!

Re:valeは、元気いっぱいの百(モモ)とクールでイケメンな千(ユキ)、2人のグループだ。DAY1の時から夫婦漫才のようなMCで全くなにも知らない私でもわかるくらいの仲の良さを匂わせてくれた。
が、DAY2では『Re:valeがここまでくるまでに様々なことがあった(要約)』事を匂わせてくる。この時点で私の心はRe:valeの過去についてさまざまな考察を行い、この2人になにがあったのか、なにが起こるのか、なにが起こってしまったのか、という思考をMCの時間にひたすら考える羽目になっていた。しかしその思考は、千(ユキ)の一声で一瞬で消えることとなる。
「だからね、次の曲。いつもはモモのために歌ってるんだけど、今日はここにいるみんなのために歌います。」

いつもはモモのために歌っているんだけど

この後、私はこの台詞がずっと脳内で反響し、ライブどころではない状態であった。
この時点で私はRe:valeの2人の背景をなにも知らないが、確実に沼である、と第六感が告げる。この2人には、見届けなければならない物語と感情があると。癖が詰まっていると。鑑賞中に繰り返し告げる。
そして私は、答えを得た。

「どのグループが好きになった?」
鑑賞後、その問いにわたしは迷わず答えた

「Re:valeです!」

そしてアイナナ生活へ

そこから私のアイナナ生活はスタートした。
まずはアニメ一期の鑑賞。これを見なければ始まらないという事で、ちょうど実家帰省の予定が7/15にあった私は、その帰路からアニメを見始めた。が、アニメ一期にはRe:valeは出ていないという情報を事前に入手、まあとりあえず2期来るまでゆっくり見よう〜と考えていた。

その3日後、

気がつけば私は一期を完走していた。
このような事態になったのは、当初刺さらないだろうと思っていたメイングループ『IDOLiSH7』のメンバー達に、気づけば一人一人の成長に涙打たれ、メンバー達に襲いかかる試練に心が揺れ動いたからだ。アイドルでいる理由はメンバーごとにそれぞれ違って、後ろめたいような理由でアイドルでいる事を選択したメンバーもいる。それでもアイドルでいようとする彼らの葛藤と選択に心が揺さぶられた。

その翌日。
気づけば私はDolby Cinema版を鑑賞する選択をしていた。

2回目の上映へ

劇場版アイドリッシュセブンには上映形態がいくつもある。通常上映に加え、声出し、ペンライト持参可の応援上映、映像と音響のレベルが格段に上がり、よりライブに近づくDolby Cinema版、果ては4DXでの上映とバリエーションに事欠かさない。これが全て2バージョンあるのだから劇場で上映時間を見た人間はさぞ混乱した事だろうと思う。

アニメ一期を履修して迎える初のDolby Cinema版。
1番最初に披露されたIDOLiSH7のはじまりの曲である『MONSTER GENERERATiON』。
私はこの曲の時点で初の鑑賞の時とは明らかな違いに気づいた。

涙。
気づけば温かい感触があった。
胸に込み上げてくる「がんばれ!」の感情と、「立派になったね」の感情がぶつかり合って弾ける。
最初はデビューすらままならなかった7人が、レインボーアリーナという大きな舞台で歌って踊っている事に感情が耐えられなかった。
Dolby Cinema版の立体音響がよりライブ会場の雰囲気を作り出し、あたかも本当に会場にいるような感覚を生み出す。応援したいアイドル達がそこにいるのだ。涙の一つや二つ出て当然である。

アイドリッシュセブンというコンテンツにハマってしまったのだと確信してしまった瞬間だった。


最後に

今文章を書いているのは2023年9月27日水曜日。劇場版アイドリッシュセブンは明日『千秋楽』を迎える。
私は2回目の鑑賞の後も、アニメ2期、アニメ3期を完走し、劇場にもかなりの数足を運ぶ事になってしまった。ネタバレになるのでここでは詳細を省くが、Re:valeは案の定私にとっての沼であり、2ヶ月と少し経った今でもズブズブな関係である。
アニメを見てストーリーが進むたび、アイドル達の新しい事実を突きつけられ、ライブは魅せ方を変える。非常に稀有な体験をしたと思う。
セットリストや各アイドルの素晴らしさ、好きな場面はきっとたくさんの人達が言ってくれているので、私が詳細に語るのはこの場では避けようと思う。

では、なぜこの文を書くに至ったのか。
この文で読んでくれている皆様に、あなたに、何を伝えたいのか。

新しい出会いを大切にしてほしいという事だ。

アイドリッシュセブンというコンテンツと、劇場版をここまで続けてくれた感謝という理由も大きいし、自らの足跡を整理する目的もあるが、この幾分説教じみた事が伝われば良いなと思って文章を書いている。

私のアイナナ生活は、さまざまな出会いが無いとまず始まらなかった。勧めてくれたフォロワーとの出会い、アイドルとの出会い、各種メディアミックスとの出会い、楽曲との出会い。
アイドリッシュセブンを通じた出会いが、私を変えてくれた事はここまで読んでくださったあなたなら知っていると思う。人生を変えるようなライブ体験はもう無いと思っていた私に、こんなに劇的な出会いが待っているなんて想像もつかなかった。また、このタイミングでなければ、本編を履修しながら通い、新たな発見をする稀有な体験もできなかっただろう。そして読んでいるあなたとの出会いがなければ、この文章は私の自己満足で終わってしまう。私とあなたの出会いに何よりも感謝を捧げます。

最後に。
この文章を読んでいるあなたにも、アイドリッシュセブンを通して新しい素敵な出会いがありますように。アイドリッシュセブンだけじゃなくて、様々なコンテンツを通して新しい出会いがありますように。

心から願っています。

そして今この文章を読んで、もしもアイドリッシュセブンが気になったなら、気軽に千秋楽のチケットを取ってください。
もしも未来にこの文章を読んでいるなら、DVDやBDで鑑賞してみてください。

アイドル達は、きっとあなたとの出会いを待っています。


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