見出し画像

「誰かを応援する」と言う娯楽 3

時は流れ、僕はなぜか遠く離れた土地で働いており、3月納品の巨大プロジェクトが年明けにまだ仕様が固まっていないといったハードでクレイジーな状況に身を置いていたため、ハースストーンはレジェンドどころかランク5にも届かない月が続いていた(ランクは月ごとに一度リセットされ、前月時のランクに基づいてどのランクから開始されるかが決定される。そのため、毎月一定以上ランクを上げないでいると、どんどん下のランクからの開始となってしまう)

この手のカードゲームは定期的に新しいカードが追加され、それと同時に古くからあるカードが入れ替えで使用できなくなっていくことで常に新しい環境が提供される。それによってかつて強デッキとして名を馳せたデッキでも、キーとなるカードが環境から無くなってしまうことでそのデッキのコンセプトが維持できず、跡形も無くなってしまうようなことがよく起こる。

僕も使うデッキを環境に合わせて変えながら細々とプレイしていた。好きなデッキを使い続けることができなくなった寂しさからか、往々にして以前使えていたカードの方が強く感じ、前のデッキの方が楽しく感じる。(フレイムウェイカー好きだったなぁ)

ふとまたyoutubeを見ると、以前「そっ閉じ」したzico39チャンネルの動画がまた関連動画におススメされていた。タイトルを読んでみると、彼もまたレジェンドを目指し、「ランク5以降の壁」に阻まれているようだった。この手の投稿者の方々は毎月レジェンドに行っているものだと思っていたので、自分と同じような状態と知り、少し興味が出て動画を開いてみた。

驚いたことに、彼は以前僕が動画を見た時と同じコンセプトのデッキを使い続けていた。「ミルローグ」と言うとても特殊なコンセプトのデッキで、「お互い手札は最大で10枚しか持てないこと(11枚目以降に手札に入るはずだったカードは消失する)」「デッキの残り枚数が0になった後はカードを1枚引く行動が発生するごとにダメージを受けること(そしてそれが回数を重ねるごとに1点ずつ増加すること)」を巧みに利用し、お互いがカードを2枚引くカード(コールドライトの託宣師、通称コルさん)で相手の手札を10枚にして、相手の場のカードを手札に戻す呪文で破壊(本来は手札に戻されるだけなのでまた使用できるのだが、相手の手札が10枚の時に使用すると手札に戻れず消滅となる)していく。

しかしこのミルローグと言うデッキは、新カード追加に伴い旧カードが使えなくなる(通称スタンダード落ちと言われる)環境の変化により、これまで非常に重要な役割を果たしていたカードが使えなくなってしまっていた(コルさんを増やすカード等)。

本来ミニオンを召喚して攻撃させたり、直接ダメージを与える呪文を唱えたりして相手のライフを削って勝つゲームで、ミルローグと言う非常に特殊かつ、もはや弱体化してしまったデッキを使い続けてレジェンドを目指すのはコンテンツとしては確かに面白いなと思った。

ランク戦の様子は日々Twitchと言うゲーム配信を主とプラットフォームで生配信をしていて、youtubeはそのハイライトのようなものだと言うことがわかったので、Twitchを見に行くことにした。その時は配信が行われていなかったので、配信ページ内のリンクからブログを読んだ。「自殺を思いとどまった経験とその後の死生観」と言う随分と重々しいタイトルが最新記事だった。

正直、「なんか態度の悪いいけ好かないやつが特殊なデッキでレジェンドを目指す変な企画やってるから見てみるか」くらいの気持ちで読み始めたそのブログが、とても面白かった。(続く)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?