第2話 最も古い記憶の話
一般的に子供は1歳半頃までに言葉を話し始めるが、これは1歳半頃までに言葉を記憶していることを意味している。
それでも赤ちゃんの頃の記憶がないように感じるのは、いつ・どこで・誰と・何をしたかという”エピソード記憶が発達していないからだそうだ。
ドイツの研究では「記憶が残るのは早くて3〜4歳」と言われており、平均で3.9歳からの記憶が残っているという結果に。
あなたの最も古い記憶は何歳ですか?
ガリガリガリガリっ!
保育園に通っていた頃の私を、母は「悪戯しかしない子供だった」と話す。
母の話では主にこのようなエピソードがあった。
塗装工を営む実家にある黄色いスプレー缶を使い、近所に生っている葡萄をいくつも黄色く染めた事件
保育園内に生っていた毬栗を、園児に投げつけて楽しんだ事件
そして私は小学校に上がっても相変わらずだったようで、こちらも母から聞いたエピソードを3つほど。
通学路にあるラーメン屋の看板に付いている電球を、一度すべて外し看板の下に並べた事件
町内の同い年の子にズボンを下ろされブチギレて、石を投げつけ流血させた事件
登下校の見送りを担ってくれていた5年生の子を、隠れたり逃げたりして迷惑かけすぎて「もう無理です」と断られた事件
そんな私は、小学校で十分浮いていた方だと思う。
少なくとも自分ではそう認識していた。
同じクラスのケンジくんとは仲良しでよく一緒にスカートめくりをしてワイワイしていたが、それでも孤独な瞬間が多々あった。
今思えば、私はあの時から”ノンケ”ではなかったんだと思う。
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