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【一幅のペナント物語#45】2泊3日で400万円の「日光」旅、行きたい?

◉嗚呼、投稿が追い付いていない!と焦っていたら、気になるニュースを見付けたので、こいつは好都合!とばかりにこちらのペナントを無理矢理紹介したい。高貴な感じのパープル+金ブチ文字で書かれているのは「NIKKO」の文字。ブルーの瓦屋根が鮮やかな建物についても小さく「YOMEI-MON TOSHOGU」と赤い文字でフォローされている。ペナント界なら「NIKKŌ/ YŌMEIーMON TŌSHŌGŪ」と長音記号でも入れそうなもんだけれど、これでは外国の方に「ニッコ ヨメイモン トショグ」と発音させてしまいそうだ。陽明門の絵のほうはその複雑な構図のせいか、微妙にデッサンに失敗していて下手っぽさがいい味を醸し出している。

◉これを見ていると、そもそも陽明門ってどんな感じだったっけ?となってしまう僕がいる。実際にあらためて見てみると・・・

陽明門(PhotoAC 撮影:隊長37さん)

なんか全然違う!!!もっと赤い色が強烈的な建物だった記憶だったのに。なんか別の建築物と間違えているのかも(耕三寺の孝養門とか)。自分の記憶の刷り込みのヤバさにビビる。案外こんな感じで誤解している名所は多いかもしれない。あなたは大丈夫??

◉このペナントの陽明門、デッサン失敗とは言ったけれど、ディティールは凄く丁寧に描き込まれていて、たとえば左右の回廊なんかも、3cm四方のスペースに多色で版が重ねられている。

無理矢理拡大。グレー、赤、白、青、金の5色で描き分けられている

もちろん実際の回廊の彫刻は全然違うのだけど、再現度を高めたいという原画制作者の想いは伝わってくるではないか。実際の回廊がどんなものかは、こちらのサイトに詳しい。

◉さて、今回この日光のペナントを採り上げるきっかけになったニュースはこちらになる。

インバウンド向けに栃木県が昨年10月から販売開始した奥日光ツアーに、2泊3日400万円の値段をつけるも応募ゼロで、290万円に値下げしても結局誰も参加しなかった。というニュースである。栃木県では「PR期間が足りなかった」「日程に柔軟性を持たせなかった」ことが理由と分析しているようだが、そもそも昨今の外国客のニーズをしっかりキャッチアップできているのだろうか? と個人的に思う。

◉コロナで国境が閉じる前あたりから、高級料理に高級な部屋でタイパの高いショートステイよりも、素朴な地元料理に簡素な古民家で自分たちのペースで長期滞在という外国人たちのほうが、結局多くのお金を落としてくれていってる印象がある。先日訪れた津和野とかもそうだった。なにせ欧米の休暇はバカ長いのだ。コロナ以降、ワーケーションの拡大も追い風になっている気がする。

◉どこかの観光地や宿施設に閉じ込めて、どっさりお金を落とさせるという昭和の観光地のような思考は、新しい旅人たち、とりわけインバウンドには当てはまらないのかもしれない。日本で長く滞在を楽しめるよう、もっと広域での連携が旅のバリューを高めそうな気がする。例えば今回の場合でいけば、陽明門と似たような全国の華麗な門を見比べる「ジャパネスクゲートウオッチ」ツアーで、耕三寺の孝養門、浅草の雷門、沖縄の守礼門とかを繋ぐトレイルを企画したら、案外300万円落としてくれる外国人はいそうだなと思ったりする。一所独占ではなく多所分配、そのために協働する。それがこれからの観光のトレンドではなかろうか?

◉にしても今回のペナントの青い屋根の陽明門。同じような配色のものをネットで見つけてしまった。アングルもとっても似ているのだけど、関連性はあるのだろうか?

画像はイラストのようにも見えるが写真っぽい。光の当たり方や色調整でこんな感じに?


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