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【一幅のペナント物語#52】大事なのは何処なのか?ではない。誰なのか?だ

◉深紅な生地の中央に金色の「風林火山」の文字。その左手には「武田信玄」とあるので、武者姿でどっしり座っておられるのが、武田信玄公その人なのであろう。傍らには武田菱(たけだびし)の家紋と、軍旗が描き込まれている。軍旗には例の「疾如風、徐如林、侵掠如火、不動如山」の言葉が書かれているようなのだけど、スペースの都合で「如林侵 動如山」と、なんだか中途半端な感じになってしまっている。ちなみに右のほうの円の中に描いてあるハゲチャビンのおじさんも、たぶん信玄公なんだろうな・・・。

よく見る肖像画。これをもとに描かれたハゲチャビンだと思うけど、
もう少しカッコ良く描いてあげて欲しい

◉名所旧跡のような観光地に付随していないペナントは、それこそ「〇〇博」のような期間限定のテーマパークのものだったり、どこかの道路や橋のようなものがあるが、このペナントには具体的な地名がどこにもない。以前紹介した「合掌造り」と似ている気もするが、あちらは使われている写真から場所を特定することが可能だった。そういう意味ではこのペナント、異色の一品、"キワモノ"と言っていいかもしれない。

◉まあ、信玄公といえば"甲斐の虎"とも呼ばれる戦国の超有名人なので、その方面に明るい人はもちろん、だいたいの日本人がこのペナントは甲府土産というポジションになるんだろうと理解するのだろうが、どうせなら、どっか空いてるところに「甲斐」とか「甲府」とか、あるいは「山梨」の二文字くらい入れれば親切なのに。まあ、ガチの武田信玄ファンには余計なことなのかもしれないけど。

◉僕は戦国時代マニアでも歴史マニアでもないので、上っ面の知識程度しかないのだけれど、今回ペナントの中で気になったのが信玄公が右手に持つ軍配の部分。なにやら梵字みたいなものが書いてあるなーと。

実際にこんな軍配が残されてるらしい。
(歴史博物館・信玄公宝物館のサイトより転載)

調べてみると「ベイ」と発音する文字で、知力と武力を司ると言われている毘沙門天を表す文字で、戦国大名が好んで使っていたとのこと。この軍配も本当に信玄公が使っていたものかどうか、エビデンスは無いらしい。

◉山梨・甲府の人たちは、どれくらい信玄公リスペクトしてるのかなと調べてみたら、昨年50回目を迎える<信玄公祭り>というイベントの存在を知った。1,000人を超える参加者が戦国武者姿で集結する"世界最大の武者行列"だそうな。まあ、武者が行列する国もニッポンぐらいだとは思うので、日本最大イコール世界最大というわけか。サイトを見るとなかなかガチ勢の皆さんが参加しているようで、うちの地元も頑張ってるのだが、足元にも及ばないかも。記念すべき第50回目の信玄公役は、モデル・俳優の冨永愛さんだったそうで。ポスターも凛々しくカッコイイ。富永さん自身は神奈川県出身で、とくに山梨にゆかりがあるわけでは無さそうだが、令和という時代を感じさせるキャステイング。

イラストを手掛けたのは田村大さんというイラストレーター。
最初見た時は『バガボンド』の井上雄彦センセが描いたのかと思った

個人的には2020年(令和2年)のNHK大河ドラマ『麒麟がくる』で信玄公を演じた石橋凌さんがイメージどんぴしゃだなと思ってましたが、こういう武田信玄もあり、の世の中になったんだなーとしみじみ。まあでも、随分昔に夏目雅子さんの三蔵法師だってあったもんな。

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