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【刊コレ】週刊ザテレビジョン創刊号('82.9.22)

月刊『ぴあ』の創刊号をきっかけに「"あの頃"のカルチャーってどんなだっけ?」という好奇心からハマり出している創刊号集めですが、当時の大衆カルチャーがわかりやすく集積されているのは、やはりTV情報誌じゃなかろうか、ということで入手してみました。


◉表紙と裏表紙

「ザテレビジョン」は「テレビと遊ぶ本・週刊カドカワ」が副題だったんですね。
当時の角川映画トップスターが表紙になるのも当然ですね。カメラマンは篠山紀信御大。
表紙がキラキラし過ぎて、裏表紙の堀内孝雄氏のスター感が薄れちゃってる気が・・・

今回手に入れた創刊号は1982年(昭和57年)9月22日の発売。届いたものを見て「レモンを持ったスターが表紙」という同誌の特徴を思い出したんですが、実はWikiによると、レモンを持ったのはこの創刊号の薬師丸ひろ子さん以後しばらく無くて、3年半後の1986年(昭和61年)3月14日号の荻野目洋子さんから定番化したんだそうです。

本誌も昨年ついに休刊となり、本誌コンテンツはレモン表紙の伝統と一緒に『月刊ザテレビジョン』に吸収・継承されているとか。テレビ殆ど見ないので、今回調べるまでTV情報誌の趨勢とか、まったく知りませんでした💦

◉目次

(左)目次前のカレンダーページ。毎号、表紙のスターがカレンダーになったみたいですね。
こんなふうに本誌の1ページを切り取って使うパターンはあまり見たことがないかも

今見ると、アッと驚くようなコンテンツがあるわけでもなく、手堅く構成された雑誌に見えます。1962年(昭和37年)創刊の『週刊TVガイド』という老舗がほぼ独占していたマーケットに、果敢に挑んだ角川さん。老若男女問わず全層に読まれていた『TVガイド』に対して、20~30代の若者層にターゲットを絞った誌面作りをしたという話ですが、チャレンジャーとしてはもっと大胆に差別化を図る仕掛けがあっても良いなと感じました。

◉コンテンツPICKUP

📺オーソドックスな2色刷りのテレビ欄

一番右列の「TVKテレビ」というのは神奈川の放送局ですね。
左上の「今日は何の日」的な雑学と左下のタイプライター「マック」が気になります。
ちなみに本家・パソコンの「Macintosh」のアメリカ本国発売はこの2年後!

民放6局、NHK2局の僕のような田舎者にとっては夢のようなテレビ欄(笑) 我が地元は民放3局ですからね(もちろん今も)。細かい番組まで触り出すとキリがないのでやめますが、昭和のテレビは歌番組もアニメも映画も元気だったんな~とノスタルジックな気持ちに浸れますね。あなたの懐かしい番組見つかりましたか?

ライバルの『TVガイド』がどんな誌面になっていたのか分からないのですが、当時の新聞のテレビ欄(以下)と比べても『ザテレビジョン』の見せ方が新しくて優れているという印象はないですね。

当時の新聞テレビ欄(同じ時期の同じ曜日のものをもってきました)
出展:『ザ・テレビ欄~80年代のアイドル・歌謡曲編』(TOブックス刊)
埼玉、千葉、群馬のローカル放送まで網羅

📺時代劇も刑事物も連続ドラマが元気だった時代

金八ではなく貫八の時代ですね。全然見てませんでしたが
この回のあらすじを読むと、ちょっと見てみたくなりましたよ

1週間分のテレビ欄の後に来るのは連続ドラマの紹介ページです。2ページに渡って27本のドラマのあらすじが紹介されています。昼間や深夜帯のドラマも急増している現在とでは単純比較はできないですが、結構多い印象はあります。ここから90年代に向けてトレンディドラマが花開いていくんですよね。まあ、僕自身は当時ドラマはあまり見ておらず・・・、上の中では『宇宙刑事ギャバン』と『影の軍団』くらいを見てた気がします。めちゃくちゃ偏ってますね💦

📺創刊記念インタビュー

本誌の中で一番創刊号らしい企画は、これかもしれません。人物セレクトは番宣的な感じで役者さんに偏っていますが、これもカドカワの看板が効いているのでしょうか。「スター初めて物語」というテーマで「私の"初めて"」を聞く内容になっています。文面から思うに、実際に対面でインタビューしたというより電話取材+提供写真でまとめた感じ? 全員そうではないかもしれないですが、さすがにキッシンジャーとフジ三太郎は対面インタビューできてないでしょ

📺そうか、五木ひろしさんもアイドル枠だったのか!

たのきんトリオの中で、やっぱりよっちゃん(野村義男)の情報量の少なさが際立つ。
あれ?よっちゃんてジャニーズ事務所いつまでいたの?➡意外と早く抜けてた

20人分の枠に50音順で収まっている顔ぶれの中で、たのきんトリオやシブがき隊に混じっている五木ひろしさんの存在にハッとなります。確かにファンの年齢層は違っても、その人にとってはアイドルってことだよねと再認識。逆にジュリーはアイドル枠に居ても違和感ないのが凄いですけど。

この年の5月にデビューしたばかりの中森明菜さんがフィーチャ―されているのが個人的に嬉しいですね。今年、久しぶりのカムバックのニュースも嬉しかったですが、もうデビューして42年! なんだか遠くまで来ちゃったな・・・感がハンパないです。メインで取り上げられている水野きみこさんについては申し訳ないけど、全然覚えがありません💦

📺ビデオカセッターってなんだ? DADってなんだっけ?

左下にビデオソフト情報がありますが『STARWARS』第1作が3万6500円ですって!

競合誌『TelePAL』と比べて、めちゃくちゃガジェット系の記事が少ない印象の本誌。この2ページがまあ唯一の記事かもしれません。それだけテレビ番組情報誌というポジションを頑なに堅持しているとも言えますが、このページにも書かれているように「日本において世帯不況率が10%を超えて、さらに上昇気味」なマーケットを考えると、もっとそういう情報欲しかったかもしれません。実は本誌創刊の2カ月前に『MONOマガジン』が創刊されていますが、そこでもビデオデッキなどが結構ページを割いて特集されていますので、このボリュームは物足りないですね。

「ビデオカセッター」というのが「ビデオデッキ」のことだというのは解りましたが、「DAD」ってなんだっけ?と思って調べてしまいました(記事中には何の略かも書いてないので)。Wikiによれば「DAD」は「Digital Audio Disc」の略で(これは想像どうり)、いわゆるCD等のデジタル音声データの記録規格で、まあ要するに「CD」のことでした。広義にはMDとかも含んでいるようですが。

実はこの時、まだ世の中はCDというものが存在しておらず、ソニーやフィリップス等4社共同による「CDシステム」発表がされたのがこの年(1982年)の8月31日。ソニーから世界最初のCDプレイヤーと最初のCD50タイトルが世界に向けて発売されたのが10月のことなんですね。いやーびっくり。だから記事にも「CD方式」という言葉は出てくるのですが「コンパクトディスク」というワードは出てこないんですね。

DADはこうした来たるべきE・C(エレクトロニクス・シティ)のメディアの核となるべき可能性を秘めて、この80年代初頭に登場して来た、近未来への橋渡しをする画期的な製品なのである。
21世紀を見据え、20世紀に舞い降りた宇宙的エレクトロニクスシステムといってもいいだろう。(中略)DADはオーディオのみならず、エジソンの電蓄発明以来のサウンド革命を、いま呼び起こそうとしている。

記事より抜粋

というなにやら意味不明のコーフン気味の文章が、CD登場への期待を伝えてくれますね。

50タイトルの中の#1はビリー・ジョエルの「ニューヨーク52番街」だったそうです。

ちなみに実際に生産されたCDとして最初の製品は、フィリップスが作ったABBAのラストアルバム『The Visitors』らしいですよ。

📺FM放送局もまだ2つだった?

この頃はパーソナリティーに芸人さんやアイドルの名前はみかけませんね(笑)

そもそも1969年(昭和44年)にFM愛知が民放として日本で最初に開局、翌年、FM大阪、FM東京、FM福岡が開局し、長らく4局のみに留まっていたFMラジオがこの年(1982年)から全国各地で開局フィーバーになっています。関東圏ではFM静岡が1983年に開局なので、この時点では2局ということなんですね。現在は、関東地区のFM曲は17局だそうです。(日本民間放送連盟データより)

さて、アニメ番組の紹介などまだまだ触れたいページはあるのですが、あまりにも長くなっちゃったので我慢します! 最後に興味深い「ザ・記録」というランキングが載ったページを貼っておくので、お好きな人は拡大してチェックしてみてください。

「新しい放送サービスの知名度」ランキングで、CATV、ホームファクス、ビデオディスク
などが並んでいるのが時代を感じます。「キャプテン」とかそういやありましたよね。
「Dr.スランプ」や「巨人軍」「石原軍団」「欽ちゃん」などの人気が伺えるデータです

◉次号予告

この雑誌にはいわゆる「編集後記」的なコーナーは見当たらなかったので、次号予告から編集のベクトルを探ってみます。

創刊号以上にドキュメント性をグレード・アップ」の言葉が示すように、わりとリアルタイムな時事ネタを採り上げる方針っぽいですね。監督浪人中だった長嶋茂雄、金八先生、『さよならジュピター』直前の小松左京、そしてのべ数万人の命を奪ったというハマーの戦い直後のシリアまで。確かにふり幅広いです。

こうやって見てみると、同じ時期の12月に創刊された競合誌『TelePAL』に比べ手堅いつくりになっている感はやはり否めず、どちらかというと意識して差別化したはずの『週刊TVガイド』の層に被っているような気もします。同時期の『週刊TVガイド』入手して見てみようかな(笑)

ただこの創刊号レビュー記事【刊コレ】は、かなり高カロリーなので、書くのにとってもパワーがかかるので、スタミナ付けて挑みます💦

【余談】掲載広告だけでレビューしてみたい!

当時の世相を知る、という意味でテレビ情報誌を見てみましたが、実はここに入れ込まれている各種商品広告が非常に面白くて、それだけでネタになりそうなので、別途、記事にしてみたいなと思います。

たとえばこの創刊記念プレゼントのページも、アイテムのラインナップとかにいろいろとツッコミどころあると思いませんか?

左の「劇団ひまわり」の研究生募集広告には、幼い頃の中嶋朋子さんが。蛍~~~!

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