~フットサル人口の激減から見えてくるもの~
この前、ふとちょっと前の記事だがこのような記事を見つけた。「Fリーグ」自体が非常に厳しいのはスポーツビジネスに関わるものとして大枠は把握しておりますが、今回僕が気になったのは「フットサル人口」の減少の部分。
たった4年でフットサル人口が半分以下に・・・!!
日本生産本部が発表する「レジャー白書2017」によるとフットサルの競技人口は2011年のピーク時の「370万人」から2015年では「150万人」になっており、今はさらに減っていると予想されている。
「え、こんなに減っているの!!?」と思ったのが正直な意見ではある。僕はサッカーやフットサルが好きだから多少のことがあっても競技からは離れようとは思わないがみんなが僕みたいな意識の人だけではない。思い当たる理由を僕なりに考えてみました。
理由その1:フットサルコートの予約の方法がめんどくさすぎる!!
僕自身もフットサルの幹事をやることが多いので十分理解しているが、フットサルを企画するという行為は「飲み会の幹事」と類似している。
①日程を決める⇒②お店の場所と予算を決める③⇒出席をとる④飲み会の実施。おおむねこのプロセスであり、フットサルの企画もほとんど変わらない。
しかし、ここで大きく違うと思うは②の「お店の場所=(フットサルではコートを予約する」という部分である。
飲み会の場所を決める際は自分の行きつけのお店で実施しない限りは、多くの方が「ぐるなび」や「食べログ」、「ホットペッパー」などのプラットフォームを活用して「口コミ」「メニュー」「金額」「立地」を確認してお店を予約すると思う。上記の3つのサイトにどこかに行けば、検索もしやすいので幹事という行為は手間がかかるが、お店を選ぶ行為自体はそんなに大変ではない。
それがフットサルコートを予約する場合はどうだろうか?一応、フットサルコートの情報が集まっているサイトはあるが、予約自体は各施設のHPに行って、直接予約する必要があるし、メールで予約して返信が来たら予約確定、電話予約のみなど、一つのコートを予約するのに非常に時間と手間がかかる。
それだけではなく、フットサルコート自体は当然、居酒屋の店舗数に比べたら圧倒的に少ないため、すでに予約一杯のことも多くいくつかの施設のHPに直接訪れる必要(経験上は平日の予約なら3~4つ、土日祝の予約であれば10ほど)がある(プラットフォームが当たり前の現代ではこの行為自体はユーザーが離脱するポイントになってしまう)
また、口コミもほとんどないため、サッカーやフットサルにエンジョイで取り組みたい人にとっては「施設までのアクセス」「スタッフの対応」「更衣室の綺麗さ」「着替えスペースの清潔さ」「周辺施設情報」「他のコートのお客様の様子」などの情報がわからず、結果としてフットサルの企画がなくなってしまうことになる。
食べログのような「するスポーツ」のプラットフォームサイトが出来ることはサッカーやフットサルだけに限らず、今後のスポーツを「する」産業からすると必ず存在しなければならないものだと思っています(スポーツ人口を増やすという観点からの意見です)
理由その2:質の問題を抱える「個人フットサル」
フットサルが普及した理由の一つに「サッカーでは11名集める必要があるけど、フットサルは5名いれば出来るやら集めやすい」というものがあったと思いますが、実際は5名集めるのも結構大変だと思います。
その結果として「個人フットサル」というものが企画され、個人ないしは2名などのグループが「決められた時間」に「決められたフットサルコート」に集まり、「その日集まった人たちでひたすらゲームをする」というサービスが始まりました。
個人フットサルは施設側にとっても収益源になるし、何より収益になる=お金になるからこそ「個人フットサルを企画する会社」も誕生し、気軽にフットサルをプレーできる「機会」が出来たということは言うまでもありません。
とはいえそれでもフットサル人口が半減しているということは僕は個人フットサルの部分に大きなヒントや課題があると思っています。
個人フットサルという企画が各フットサルコートで実施され続けると、自然とそこは個人フットサルという名の「コミュニティ」化が進んでいきます。
僕自身も今、フットサルのコミュニティを運営しているのでよくわかるのですが、コミュニティは質が落ちてくると一気に参加者が減り、衰退し、最終的にはなくなってしまいます。
質を維持もしくは向上するということはコミュニティ参加者の満足を高め続けることとイコールだと思っています。そのためにはコミュニティに入る前と後での期待値のコントロールが必要です。「参加者が求めていることをコミュニティを通じて還元できているかどうか?」これが一番大切だと思っています。
個人フットサルという企画がお金になるということから、色々な施設や会社が参加者をたくさん集めるようになりました。そこにはサッカーの経験や旨い下手は関係なく集まるようになってきました。(ただ、施設側も個人フットサルの参加の注意事項をを記載したりして、予防線は張っていますが、その通りに運営しているとは思えないことが多く、僕も嫌な思いをしたことがたくさんあります)
・(上級者~エンジョイまで参加可能)って書いてあったから、強めのシュートを打ったら注意され他の参加者から「空気をよめていない」的な雰囲気を醸し出され、参加したくなくなった
・「エンジョイ志向」って書いてあり初めて参加をしたが、周りがうまい人ばかりでよくわからない守備の指示をされたり、その通りに動かないと「ちゃんと守備しろよ!」とか「そうやって一人がさぼるとみんながつまらなくなるからちゃんとやれ!」みたいなことを言われフットサル自体が嫌いになった
・(女性参加者)「男女ミックスフットサルで初心者向けのフットサルに参加しようよ」と友人に誘われ、3年ぶりにフットサルに参加をしたが、むきになった男性に接触され、転倒し、うでに擦り傷が出来た。もう参加したくなくなった。
こういったことを理由にサッカーやフットサルから離れてしまった人はたくさんいると思います。ただ、これは僕はそのフットサルに参加していた他の参加者が必ずしも悪いとは思わず、結局はコミュニティとして運営している施設側や会社の方の「売上」だけを意識した運営の結果だと思っております(仮にきちんとした運営が出来ていればフットサル人口がここまで減ることはないと思っております)
勿論、中には素晴らしいサービスを提供している個人フットサルの会社や施設もございます(そういったフットサルコートが結果として売上も上がっている。それは立地が良い、安いという理由だけではないです)
僕は学生時代にフットサルコートでアルバイトをしていました(そのフットサルコートは最寄駅から歩いたら30分以上で車か自転車でないと来れません)。そこで個人フットサルと大会運営を主に担当していました。
僕が担当する前の個人フットサルは毎回5名程しか集まらず、直前で中止ばかりでした。僕が担当するようになってからは
・人数が少なくても実施をする(少しでもくれば売り上げにつながるから)
・絶対に中止にしない(荒天時は除く。「あそこにいけばボールが蹴れる」という場所を作る」)
・レベルを明確にする(当日はエンジョイ~ガチの間で、週1ペースでサッカーフットサル、またはランニングなどの運動を行っている人と定義)
・レベルが偏りそうなときは自分が入ることにより調整をする
・絶えずコートでは声を出して、初めて来たお客様の「顔」と「名前」を覚えて積極的に自分から話しかける
これだけを徹底したら、毎週月曜日に必ず20名×2回の合計40名が集まる個人フットサルのコミュニティが出来て、そこの参加者が大会に参加したり、他の平日の夜や土日に友人を誘って、コート利用をしてくれて、売り上げに繋がりました。
実体験があるからこそ、こういったビジネス感覚をもって運営をすればフットサルの競技人口は必ずまた増えていくと思います。
スタジアムビジネスやスポンサーシップ、スポーツのデジタルマーケティングなどが注目されていますが、日本でスポーツを発展させるのであればこういったグラスルーツの活動に個人レベルで取り組むことが必要だと思っています。
そしてその先に「スポーツビジネスの発展」が僕はあると思っています。
目の前に問題に取り組むことの大切さを改めて感じました。