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【自動車ライターと読むニュース】新しいZも34型らしいという話。

昨日の夜中、なかなか寝付けなくてネットニュースを徘徊してたら、こんな話が目につきました。

新型Zの型式はなぜZ35ではなくZ34? 最新車のモデルチェンジ七変化

まず、「Z」ってどんな車?

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※S30型という初期のモデルで、しかもパトカー

車好きでない人に説明すると、このフェアレディZという車は、1969年ごろから続く、日産自動車のなかでも歴史の長い車です。

で、今回の話題は、「モデルチェンジでこんなに見た目が違うのに、同じ世代の6代目モデルとして、発売されることになったそうだ」という話(え?7代目じゃないの?って事)。

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でもって、この4台とも全部「フェアレディZ」なんですが、左上が初代の「S30型」、右が「S130型」、左下が「Z31型」、右下が「Z32型」です。

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さらに、↑コイツが「Z33」

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タイトルで使ったものですが、↑この見た目が違う2台↑とも「Z34」になるそうな。車関係の仕事をしてたら、「まーそうかもねーって話」ですが、えーなんでー?って人向けに解説していきます。

モデルチェンジは「間違い探し①」

「おい!意味わかんねーよ」と思われるかもしれませんが、モデルチェンジでは、先代モデルの歴史が長いものって、長いだけあって変化の仕方も様々あるわけです(少しづつ変化したり、ガラッと大きく変わったりもします)。

間違い探しをする前に、日産のこの「S~~~」とか、「Z~~」という車両型式は、アルファベットでどの系統の車かという事を示しています。そして後ろの数字が識別番号で、どの世代の車だなと判断しています。

S130型からZ31になったときを例にすると、、、

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黄色の車が「S130」で、赤色の車が「Z31」です。この頃は、平成も差し迫った1983年ごろの出来事です。

これが、シルビア「S10とか、S110、S13/15/14」なんかが有名ですが、Sの部分が一緒なだけあってもともとシルビアとフェアレディZは、近しい関係の車だったことが分かります。

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※新しく生まれたZ系とは別に、S系としてバトンを引き継いでいる人気者のS13君(このヘッドライトめっしゃ高騰してて、中古のキッタネー部品でも、片目で5万超えるようになってた)

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それで、「Z31」がどのくらい違うかというと、どこか一緒の部分があったのかと言われると、ほとんどありません(しいて言えば、FRという駆動方式とか、2シーターと2by2の4人乗りがあるとか、シリンダーの数が6個とかあるけど)。

つまるところ、この例えは「一緒に部分を探すほど大変な間違い探しは、もはや別の絵です。」という話。だったら型番が変わっても当然ですねー。

モデルチェンジは「間違い探し②」

でも、ほとんど変わってるように見えないのが、「Z33」と「Z34」

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丸っこいスタイリングも、ライトの雰囲気も似たように見えますが、実は結構違うのがこの2台。

車の旋回性能をはじめとする、運動性能に寄与するホイールベースが違うのがポイント。Z33が「2650mm」に対して、Z34が「2550mm」と短くなっていることです。

この100mm短縮をするために、リア側はごっそり新設計です。そのため、再度の窓の下側のラインが、真直ぐなZ32風だったZ33に対して、後ろ側が切りあがったS30風のZ34になっています(あとは細かいけど、ライトとか、バンパーとか)。

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Z33とZ34は、変更点が見た目では多くないものの、見えないところが変わってるパターンという事です。

この見えないところが大きく変わってるってのがポイント、結局車って、ライトの形とか、バンパーの形状が変わったところで、車の最も重要な走るための部品ではないので、エンジンや駆動系を支えるシャーシが1番大切なのです。

だって、街乗りの車だって、たくさん買物したら重くて動かないじゃ話にならないし、たくさん人が乗って重くなるかもしれないのに、華奢なシャーシでは耐えられない、エンジン、ギア、タイヤ、サスペンション、ボディをまとめ上げている訳ですから。

実は外装とエンジンだけ変えただけ?

今回の、Z35になるかと思った新型がZ34のままだったって真相は、コレになるんじゃないかと個人的には考えています。

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実際に、諸元を確認すると、2550mmのホイールベースはそのまま、車幅も1mm差、全高も1mm差、全長は約120mm(US仕様)で、大きな差はあるが、アメリカの衝突基準を満たすため、バンパーだけ大型化している可能性がある。

エンジンは、スカイライン400Rの限定車と同じものが載るそうだが、新型Z用に作ろうとして開発していたエンジンなんじゃないだろうか。沢山は販売するつもりはないけど、試験的に製造してみて、量産のための準備のために作ったんじゃないかと思うわけです。

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といっても、エンジンなんて1車種に1種類である必要はないので、途中で排気量が上がろうが、ターボが有ろうが無かろうが、車両型式に影響する規則性は日産にはなさそうなんですよね。

シャーシはきっと新しくしたかったんだけど、煮詰めてたら2035年までに売れる目途が立たなかったのではないだろうか。デザイン的にも同じに感じる。

もしそんな売り方をするようなら、少しどころじゃなく不安材料に感じる。

何が原因だったらそう考えるか

ガソリン車を急ぎで売りに出す理由なんて、政府が発表した「2035年までにガソリン車減らす」という話が関係してるんじゃないかと感じるのが、考えに至る理由なわけです。

だって、今回のフェアリディZって、フェアリディZのお気に入りの音楽を集めてみましたというプレイリストみたいな仕上がりなんですよ。統一感が無いというか、中途半端だと感じる人が居るという事は、煮詰まってないまま2035年になる前に出したいという意向があったのではないか?と、愚考するわけです。

部品とか、デザインのコンセプトがはっきりしている部分だけ切り抜けば、この新型「Z」はカッコよくできていると思います。

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例えば、外装の話だけでなく、内装の3連メーターが奥まってあるのはZ34寄りで、台形のセンターコンソールはS30のよう。ドライバーを包むようなラウンドした雰囲気づくりにはZ32感がある(せっかくならZ31的な部分もどこかに入れてあげろよ、仲間外れは可哀そうだろ)。

ただ、全体としてみた時に、パッとしないというのは、色々混ぜるだけ混ぜて、バランスとかそういう事が、調整しきれなかったのだろうと思う。きっと、小学生の時にノートに書いた「僕が書いた最強の剣」とか、そういう類の雰囲気に見えてるのだろうと思う。

なんだかんだ言って、旧車ならではの機械感とか、力学感がたまらなく好きだし、バブル期のスポーツカーは、運転してて機械が介入しない部分が多く、ダイレクト感がたまらなく好き

名車になれるかもしれないのに、日本で売る前から、不遇の名車になってしまったら残念でならないと、個人的には思います。


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