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極楽落語塾【干物箱編】〜モノマネ芸人ってスゴい!〜

 こんにちは。今回取り上げる演目は【干物箱】です。

 遊び人の息子に喝を入れるため、外出禁止を命じ2階に軟禁させた父親と、それを回避して遊ぼうと企む息子との滑稽なやりとりが展開される噺です。

ーあらすじー

 父は軟禁している息子に対し、たまには銭湯に行ってリフレッシュしてこい。と伝えます。息子は久しぶりの外出で喜びましたが、帰宅時間が設定されていて、女のところには遊びに行ける余裕がありませんでした。

 しかし、どうしても遊びに行きたい息子は閃きました。自分とよく似た声の持ち主である友達に代役として、家にいるよう頼みました。ちょうど良い時間帯に帰宅し、顔がバレないよう2階に上がること。そして父とスムーズに会話ができるようセリフを教え込みました。

 そうして息子は気兼ねなく女のところに足を運びました。その頃息子の家では友達がうまく立ち回ります。しかし、段々とマニュアル通りの会話が展開できなくなり、本人じゃないと疑われてしまいます。父は様子を伺いに、2階に上がります。父が部屋に入るや否や、外から声が聞こえてきます。それは息子が、友達に対して、「財布を忘れたから取って!」という声でした。ちょうどタイミングが悪く、父は事情を知り怒ってしまいます。

 息子の悪巧みを知った父は、「親不孝者はどっかいっちまえ!」と怒鳴ります。しかし、事情を知らない息子は、「お前(友達)は器用だな、親父にそっくりだ。」と一言。息子は、当の父とも知らず、父の真似も上手だと感心してしまうというオチで終わります。

ーこの噺を聴き、思ったことや考えたことー

 なかなか滑稽なお話です。当時、声色(こわいろ)遣いという芸者がいました。主に歌舞伎役者のモノマネをして、見る者を楽しませていました。歌舞伎は大衆文化であったため誰もが共感でき、笑えたのでしょう。

 また、声帯模写を教える稽古場もあったほど、モノマネという文化が芸者だけでなく一般人にも根付いていきました。この友達は本職貸本屋でしたが、息子の声のモノマネを特訓したのでしょうか(笑)声色の名人ですね。

 現代にもこのモノマネは根付いています。しかし昔のモノマネとは違うのは、なかなかマニアックなモノマネや誇張しすぎたモノマネなど、バラエティに富んだモノマネが多いことです。

 ・細かすぎて伝わらないモノマネ
 ・誇張しすぎたモノマネ(ハリウッドザコシショウが大好きです)
 ・この人が絶対言わなそうなセリフ(個人的に井上小公造が面白いです。)

 お笑い向上委員会で野性爆弾のくっきーが、似ているだけじゃだめ。とモノマネする芸人に対してダメ出ししていました。なるほど、現代では似ているだけでは物足りない。「おお!すごい!」とはなるが、その先の笑いがない。と妙に納得してしまいました(笑)

 似せるだけではなく、自分なりのアレンジを加え、その人とは違うオリジナルを+αすることで笑いが生まれるのです。一般人のYouTuberがたくさん生まれ、これからは個の時代と言われていますが、人の面白いことや仕草を観察しうまく取り入れながら自分なりのアレンジを加え、オリジナルを発信していくことが大切です。

ーまとめー

 この噺からこんな考察になるとは思いませんでしたが、面白い気づきができたので記事にしてみました。最後まで読んでいただきありがとうございます。
 落語好きの方もそうでない方も、このnoteをきっかけに落語について語れる日がきたら最高です。少しでも多くの人に読んでもらいたいので密かに続けていきます(笑)


 ちなみに、ハリウッドザコシショウの誇張した福山雅治が最高に好きです(笑)



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